10/26 四十七士を見下ろすマンション建設
午前中、管理組合理事会。築14年を過ぎ、いろいろなものが交換時期に入っていて、議案にはそうしたことが山守り。管理組合運営のバランス取りが大変な時期に入っているなぁ、と議論を聞いて思いました。新役員のうち半数が前年度からの留任となったことが、管理組合史上画期的なこと。継続性が何よりで、新役員になられた方にお礼申し上げたいです。
午後、泉岳寺に隣接するマンション建設問題に端を発した、「シンポジウム社寺仏閣と地域の景観」を聞きに、泉岳寺会館まで出かけました。
泉岳寺は、山手線新駅と、その隣の駅品川がリニアターミナルとなることなどから、まさに不動産バブルが活況を呈して、開発に乗り遅れるな、と様々な不動産業者が乱開発に手を伸ばしています。
そのなかで、四十七士がまつられる泉岳寺の真横に、高いマンションが建設されることになり、マスコミ等でも話題になっています。日本人の多くが関心をもつこの場所に、カネにあかせてこんなことするのはけしからんと私も思い、応援と、景観のあり方を考えるため、参加しました。
シンポジストからは以下のような話がされました。
・「美しいまち」ということに客観性がないと決めつけられて、建築確認制度が、社寺に必要な景観が守られない、という五十嵐敬喜法政大学名誉教授の話からシンポジウムはスタート。
・京都の景観を守る取り組みをしてきた中林浩神戸松蔭大学教授からは、京都の景観破壊を紹介していただきながら、高さを中心に規制強化をしてきた取り組みが紹介されたものの、一方では、企業の保養所の処分地などを舞台に、景観を食い物にしたマンション開発が景観を壊している問題を指摘されました。
・浅草寺景観訴訟原告団の白田さんから、景観を保つために浅草寺が努力してきた歴史などを紹介していただきました。白田さんの最後に紹介された雷門山門に掲げられた「実相非荘厳金碧装成安楽刹/眞身絶表象雲霞画補陀山」という言葉をひきながら、「真実の世界はとても形に表すことができないが、整えられた塔堂伽藍の美は仏の浄土、風景の妙は観音様の居所である補陀楽山を自ずと感じさせるものである」という言葉を紹介し、社寺仏閣の景観を整えておくことが、精神的価値を高めるのに重要であることをお話されました。
・泉岳寺受処主事の牟田さんからは、泉岳寺の歴史をひもときながら、宗教的場所にとって見下ろされることのおかしさを訴えられました。一方で、工事にやってくる職人たちが境内で昼休みを取られている、やっぱり心休まる場所であること、確認している。ぜひ守りたい。
お話していただいた全員からは、近代合理主義の追求としてのマンション開発と、東洋的な価値や伝統を守るための景観との葛藤となっていることが指摘され、その象徴となるのが、社寺をめぐる景観である、との話となりました。
私が興味深いのは、社寺がテーマなので、マンション開発をめぐる運動で繰り広げられる市民運動的キーワードではなく、義や武士道などという価値をめぐる議論になったことも興味深く、泉岳寺のマンション問題は、義と、経済的価値を天秤にかけたたたかいなのではないかと受け止めました。
※シンポジウムの最後に読み上げられた「泉岳寺宣言」は続きを読むに記載します。
●港区議会では、建設見直しを求める請願を全会一致で可決しています。やはり政治としては、単に高層建築反対というだけではなく、歴史的価値を守りたいということでは一致できるんだ、と確認しましたが、建築規制などの制度が、そうした民主主義とは直結していないことが課題ではないかと感じました。
泉岳寺宣言
本日、私たちは、日本の首都東京高輪の地にある名刹泉岳寺に集い、様々な論議を経て泉岳寺の景観(普遍的な価値)が危機にあることを深く認識しました。この地は、あの元禄赤穂事件で有名な浅野家主従の墓所として国指定の史跡となっている東京屈指の名跡です。
今回の危機は、2014年7月突如として起こりました。事業者により建設計画を告げるチラシが、地元住民に配られ、その中に泉岳寺門前脇に高さ24mものマンション建設計画が記されていました。泉岳寺ならびに地元住民は、ただただ唖然としました、このままでは日本の「文化」が破壊される、と。
最近、泉岳寺のある港区高輪地区や白金地区は、山の手線の新駅建設の計画などもあって高層マンションが目立つよ引こなってきていますっそして、残念なことに、戦後から一貫して政治家も役所も泉岳寺が持つ歴史上の重要な価値に極めて無関心であったことが災いとなり、あっさりと高さも色彩も不具合な高層ビルが乱立する地域になってしまっているのです。また今回の泉岳寺の危機は、私たち地域性民の政治や景観への無関心が招来した人災でもあります。言い換えれば私たちの無関心が区政に反映して明確な都市計画も景観計画もないまま、開発業者のなすがままにさせてきたことは反省すべき点です。
しかし今日、私たちは、シンポジウムの様々な議論の中から、泉岳寺が江戸時代を象徴する寺院であること、同時に太平の世となった元禄時代、「武士の一分(職分月あるいは「武士のエートス(精神)」という価値観をもって華と散った47人(赤穂浪士)の覚悟が、日本という狭いワクを越えて、世界中の人々にひとつの日本文化論として受け入れられていることを認識しました。
ある歴史上の一一つの出来事が、300年もの長い間、封建時代と近代という大きな時代の流れを超えて、浄瑠璃、講談、歌舞伎、小説、テレビドラマ、映画などの芸能として翻訳されることの意味は何か。今や高輪「泉岳寺バこ眠る「赤穂義士の物語」は、遥か日本を越えて、広く外国にまで、「武士道精神」として
受け入れられ、るようにかっています。
これは歴史的に見てもとても貴重々ものであり、そうしたものは私たちが後世に伝え残していかなければならないのです。高輪、白金地区ではもはや景観からその歴史を顧みることが出来る地域はごくわずかです。
これ以上その破壊を許してはなしません。
この「マンション建設予定地]は、かつて国指定史跡のある「泉岳寺」の境内そのものでてした。私たちは、その価値(墓地、境内及びそのバッフフゾーン)の全体を少しも損なうことなく、永久に保持しなければなりません。そして、マンション建設などを許容している都市計画・文化財保護法などを修正しなければならないのです。
私たちは、事業者に対してマンション建設を中止し、この価値を一層増加する方向で土地利用を行うことを心から強く希望するとともに、この要請が聞き入れられない場合には、全国、全世界の泉岳寺・赤穂義士ファンにこの不条理を伝えながらマンション建設反対運動を行っていくことを宣言します。
2014年10月26日(日)
国指定史跡・泉岳寺の歴史的文化財を守る会
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