9/4 平成25年の決算を評価~朝霞市議会本会議
4日、市議会本会議では、9月定例会で提出された議案の質疑をおこないました。
これから専門分野ごとに議論をしますが、その前の露払いとして、総括的なこと、議員全員で共有した方がよい問題を議論します。
昨日は、
9:00~16:00頃までは、平成25年の各会計の決算 6議案
16:00頃~18:00頃までは、平成26年度の各会計の補正予算 6議案
18:00~19:00頃までは、一般的な条例改正 4議案
19:00頃~21:00までは、子ども子育て新制度関連条例 4議案
最後 人事案件 1議案
の質疑が展開されました。私が通告した質疑予定は「本会議で決算や子ども子育て関連条例など市長提出議案への質疑を行います」にまとめてあります。
平成25年度一般会計決算に、私は、決算情報の公開のあり方、決算の行政の自己評価、総務省の決算・財務改革の対応、各分野の評価で質疑をしました。
①決算情報の公開の必要性は、最近も財政課が理解を示し、前向きな対応になっています。
ここ数年のものであれば、朝霞市の決算書、決算統計など主要な決算情報は公開されるようになっています。私はさらに、インターネット上での公開、さらにはオープンデータ化の検討など確認しました。インターネット上では、決算書、行政評価、決算カード、財務諸表なども公開されていることが報告され、オープンデータ化はこれからの課題ということでした。
②決算の自己評価について尋ねました。
しかし、自治体の最終損益にあたる「実質単年度収支」が600万円のプラスと、久しぶりに黒字になったこと、貯金にあたる「財政調整基金」の増加があったことが報告されたのみで、全体の傾向がよくわかりませんでした。私のツッコミ不足の反省でもありますが、市民・法人の所得は横ばいなので、税収の増加は徴収率の向上であったこと、資産売却の収入があったこと、建設事業での国庫補助の利用の拡大など取り組んだことと、補正予算をあまり組まなかったことが収支改善の原因であったようです。
補正予算を組まずに、支出を膨らませなかったことは評価しますが、収入に関しては一過性のもの、収入を得るのに労力がかかりすぎるものが多く、気を緩めてはならない、ということは感じ取りました。
借金の残高についても質疑をしました。5年後から10年後にかけて急速に減少し、新たに借金をしなければ、現在310億円あるものが10年後には、72億円にまで縮小することが明らかになりました。
このうち、国が借金の返済資金を手当てしてくれるものが188億円あります。それを除いた120億が朝霞市の全責任で返さなくてはならない借金ですが、それは10年後には16億円まで縮減します。
問題は、国が自治体に出す「地方交付税」が払いきれずに肩代わりで借りさせられている「臨財債」の存在。いずれ国は返すというのですが、財政力指数1.0以上の「富裕自治体」になると、その年の返済資金は、結果的に踏み倒される仕組みになっている借金です。朝霞市や和光市のように、ときどき「富裕自治体」と位置づけられる自治体にとっては地雷みたいなものです。
地雷であるので、いずれは借りない運用を考えなきゃ、と問題提起をしました。財政当局も、現在は現金確保が最重要課題なので当面使うが、時期がきたら借りる額を抑えていきたい、という答弁でした。ここの問題意識は共有できたと思います。この新規発行が10億円程度あるので、10年後の財務残高は返済分も差し引き、150~200億円で推移するのではないかと見ました。
※このあたりの感覚を養うのに、8月29日自治日報の小西砂千夫先生のコラムが役に立ちました。
③総務省の決算・財務改革については、進捗を確認するにとどめました。このなかで、公共施設の維持管理計画には10月にとりまとめするということとが報告されています。また外部監査については必要性は議論されているが今後の課題という答弁です。
④今年も市の事業を受けている「指定管理者」の剰余金を、大量に返済させていることを問題にしました。
「指定管理者」とは、自治体が箸の上げ下ろしまで指図するアウトソーシングのあり方はまずい、という問題意識も含めて作られた制度です。もちろん数年に1回、価格競争的な競争原理でアウトソーシングを決める弊害はあるものの、そうしたメリットもある制度です。
「指定管理者」という、仕事を受けてくれた企業・団体が、自治体がダメと予め決めた仕事以外は総意工夫をもって、利用者・市民にとって効果の高い仕事をしてくれることが大事です。わくわくどーむの1階で、水着やゴーグルなど水泳用品を販売しているのも(それには税金は使われていませんが)、指定管理者としての総意工夫の一つです。
ところが、朝霞市はその指定管理者が余らせたお金を、毎年ほとんど同じ額、大半を吸い取ってしまうので、まさにスターリンの飢餓輸出よろしく、中にいる人たちは節約しか努力しなくなり、財源保証がされないので新しいことはしなくなり、もちろん働いている人の権利は抑制されます。そんなことで市民サービスが向上するのか、と考えています。
そのあたり質疑をすると、市は、「自主返納だ」「外郭団体がお金を余らせても仕方がない」と言い張ります。
仕事を発注する側が、定期的に返納するのか協議していれば、仕事を受けた側は余ったお金すべて返そうとするに決まっています。しかも受けた団体は、市の外郭団体なので、市の出向職員やOB職員が運営の基本にタッチしています。市の都合もわかりすぎるぐらいわかっているので、市の方針に逆らってまで現場を守るかどうかは定かではありません。
外郭団体の一つ、社会福祉協議会は、地域福祉の推進のために地域に働きかけを行うコミュニティソーシャルワーカーを置く、障がい者ケアプランの作成をする体制を強化する、などなど地域的・社会的テーマを持っているのに、こんなふうに自由になるお金を吸い上げてしまったら、市の指示があるまで何も始まりません。
今回わかったことは、各指定管理事業の大量の剰余金の原因を、市として掌握していないということでした。
私の知っている話では、大量返金しているお金がそれだったと思うのですがいるはずの休暇代替職員がいないので、職員に有給休暇を取得させないばかりか、親か子の慶弔休暇しか休ませない、などなど、法的にも倫理的にも問題のある現場運用がされている話でした。
これからもこの問題はしつこく追っかけて、外郭団体を市の単なる下請け・指示待ち組織にしてはならない、と思い取り組んでいきたいと思います。
⑤国庫補助金の活用努力
朝霞市は数年前まで、大きなもの以外は、国庫補助金をほとんど使わずに土木工事をしてきた問題を数年前に質して、現在の都市建設部が、国庫補助の活用に努力した結果を問いただしました。
数年前は、約20億円、10桁の土木費のうち、数百万円程度の国庫補助しか使われていませんでしたが、8桁半ばの数字になってきました。もちろん無駄な公共工事はすべきではありませんが、必要な工事、やるべき工事のなかで補助があれば使っていくということが不可欠だと思います。
小泉元首相がガソリン税を一般財源にする、と打ち上げたときに、道路特定財源を守れ、とユーザーも一体になって抵抗したことを思い出しますが、そうやってこぶしを挙げた都市部のドライバーが、その使い道に無頓着なのには驚きます。吸い上げられた道路特定財源は、自治体に自動的に配分された「地方譲与税」以外、都市部の自治体が、あまり使っていなかったのが現実です。
しかし、介護保険の創設、子ども手当の拡大、保育制度改革、障がい者福祉、予防接種の拡大など、自治体は否が応でも生活の安全保障を担う、社会保障政府になっているなか、放っておくと、自力で公共工事はどんどんできなくなってきます。また公共工事関連の予算は、まだ国ががっちり握っていて、自治体に原資が配分されていません。したがって公共工事をやらなくてはならないとすれば補助金を活用するしかありません。
北海道にいた頃、自治体関係者と関わって、国からの補助金事業をどうやって使っていくか、工夫していることと、朝霞で議員になって、補助金にあまりピンときていない役所内の空気の違いから気づいた課題です。
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