9/29 保育料値上げの考え方が示される
29日午前、朝霞市の保育園運営審議会が開かれ、傍聴いたしました。
来年度からの制度改革にともなう、保育の入所調整の点数表と、保育料について検討が行われました。
点数表は従来のフルタイム1人につき30点を基準とする点数体系を踏襲しつつ、①日当たりの勤務時間数ではなく、月勤務時間数で点数を振り分ける、②認可保育園や小規模保育室B型に転換する家庭保育室にそのまま在籍希望する場合の点数加算、③2歳児までの保育しかない施設で3歳児になるときの転園の点数加算、④育休復帰の点数加算、⑤通信教育など居宅内就学の点数を新設、など。
①はフルタイムを1月160時間以上の勤務と定義(8時間×20日)。今後その詳細な計算方法が明らかになりますが、機械的に計算すると、人によっては月によって勤務時間数が大きく動くため、それだけで点数差が不利益に展開しそうです。
②は、転換園が手続きとしては全くの新規入所として扱われることから、継続して転換園に入所希望する人に不利益にならないための対応。通常20~85点の点数になるなか、100点加算となります(定員超えなければ自動的に入れます)。一方で、家庭保育室から転換する園は、定員が少なくなるので、継続して預けたい人が定員より多ければ、100点の下駄を履いた人たちのなかでの点数順の選別になります。その際、選別から落ちると、5点加算で二次希望以下の園の選考に回ることになります。そうなったときには、かなりきつい選別になるのではないかと思います。
このままでよいのかと思います。
③連携園の対応ですが、朝霞市内においてまだ具体的に話が進んでいるところはありません。
④育休復帰の加算が、2点で、あまり効果はないのではないかと思います。2年連続待機ということで4点加算、家庭保育室利用中で5点加算というなかでの2点は気休めぐらいの数字かなと思います。
保育料の改定案については、具体的なものは示されませんでしたが、必要性として、
①新制度の移行にともない、2.3億円の財源不足が発生すること
②前回の改定が平成3年であり、それ以来上げないことで、周辺市より相当低い保育料になっていること、
などが理由です。
朝霞地区4市の保育料比較表(pdf)
※これは私が作ったものです。本当は運営審議会にこの程度のものは出して、数字を基本に議論してもらいたいものです。また、実際に保育料を取る実務をやったり、払う側に立った委員が少ないので、ピンと来ない話なのかも知れません。
さらに改定の考え方として、
①保育料の算定基準を前年度所得税額から、個人市民税の所得割額に変更し、子どもに対する扶養手当の廃止がなかったこととみなして計算してきたのはとりやめる。
②現行の20階層から増やす
③兄弟姉妹在園の場合、すべて、1人目の児童を全額、2人目の児童を半額、3人目の児童は無料とする
④低所得層(C1からD1階層)のうち、固定資産税が課税されている世帯を1階層上げることを撤廃する。
という方向性が示され、審議会委員として、10月8日までに保育課に意見を提出することとなりました。
子ども子育て支援法に必要な手続きであり、また保護者代表等の意見を聞く意味から、10月3日も子ども子育て会議で、構成委員から意見聴取し、10月27日に開催予定としている次回保育園運営審議会に、市は改定の原案を何案か示して、審議会として選ぶということになるようです。
●保育料の改定に対する私の考え方です。
①保育財政が膨らみ、今回新制度発足にあたってさらに財源不足が発生する、周辺市より安い保育料となっていることなどを考えると、一定の値上げとなる保育料改定が必要。
②様々な緩和策として入れられているものの、複雑化した保育料や自己負担を整理することは、保護者、保育現場、市役所の事務簡素化のために必要。
と受け止め、値上げは必要としながら、
①行政処分とはいえ、契約的な意味も持つので、保護者等の当事者集団との意見調整を進める。
②値上げで捻出する財源総額を明確にする。今回必要な総額を示さなかったことは議論の混乱を招き問題であった。
③税額転用方式のうち、累進課税である所得税から、税率1本の個人市民税の所得割に切り替えることは、世帯所得の把握を透明化するものとして理解する。
④廃止された扶養控除が残っているものとして再計算することは、事務の煩瑣化と所得把握を難しくしていること、そのことの効果は、高所得者ほど効果が大きいこと、所得の評価による保育料の軽減程度では多子世帯の生活維持に意味をなさないことから廃止することは理解するが、保育料の第三子以降の無料を継続することが前提である。また廃止にあたっては、低所得の多子世帯に対する相談対応の拡大や所得補償策などが必要である。
⑤兄弟姉妹在園の場合、第一子、第二子の順で保育料を計算するのではなく、年齢の低い方から保育料を計算すること。
⑥主食費や、どの園でも別途徴収している物品購入や行事費用などは、保育料に含め、保護者の所得格差による負担感、保護者や保育現場の事務量・注意力の軽減を図ること。
⑦保育料の値上げは、所得に応じたものとすること。具体的には、低所得者層の値上げを抑制し、3歳未満児は現行より著しく上げず、3歳以上児、高所得層の負担で財源の調整を図り、近隣市との均衡を図ること。また、値上げに際しては、年少扶養控除の廃止分について考慮すること、
が必要ではないかと考えています。
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