7/23 役所の不明金はいつ誰が弁済すべきか
市役所で、生活保護の決定から定例支給日までのつなぎで払う資金前渡金で32万9000円の使途不明があったと報告を受けました。
事情を聴くと、1回あたり10万円~20万円のお金を、多頻度払うなかで、毎月700万円ものお金を福祉課が預かって支払手続きをしていたことのなかで起きたトラブルです。
盗難か紛失か確認できないなかで、報告を出し、業務改善をするようです。
しかし、政治筋の無茶な事務手順の要請もあって、まずもって職員の注意力だけではないシステムとしてお金がなくならない事務処理ということを再構築するには、若干市民サービスが低下しても、乗り越えなくてはならない課題が多くあります。
●この不明金問題にあたって、朝霞市は、職員に「自主弁済」させていて、そのやり方に問題があります。
報告では、5月末に不明金の発生が確認されたのですが、6月9日には、盗んでいるということでもない福祉部長以下福祉部所属の担当経理職員まで含めて管理責任を名分に、32万9000円を弁済したというのです。
もちろん市民的には管理しきれなかった職員が弁償しろ、という感情的な意見が出やすいことはわかります。
しかし、問題はいくつかあります。
自治体職員の賠償責任を定めた、地方自治法第243条の2というところでは、「資金前渡を受けた職員」と特定されており、これには厳密な解釈がされ、福祉部職員の連帯責任という考え方はありません。
また賠償をするにしても、地方自治法第243条の2第3項では、市「長が監査委員に対して事実を監査し、賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求め、その決定に基づき、期限を定めて賠償を命じなければならない」と手続きを定めています。
さらには、労働基準法第16条や民法などの解釈から、職員に賠償責任を求める際には、その故意性や責任範囲、労働者としての負担能力からくる法解釈として「経営上起こりうることであり、事業活動によるリスクはそれにより利益を得ている使用者が負担すべきという報償責任」の範囲でしか損害賠償を認められません。そうすると今回のように連座として、処分もなく、下級職員にとっては責任もない損害を、自主的に弁済させるというやり方がよいわけありません。
また、これとは別に管理がうまくできなかった経理担当者たちに、人事的な処分が行われることになろうかと思いますが、そうしたものも明確になってから、「弁済」なのだろうと思います。
公務員のありようとしては、真相究明→人事処分→損害賠償請求や自主弁済という流れになるのだろうと思いますが、公正な手続きをすっとばして、払いたいと言っているのだからいいだろと言わんばかりに「自主的に」弁済したからいいんだ、というやり方はとても問題なのだろうと思います。
●この話を相談したところ、逆にわけのわからないお金が出てきたら、職員みんなで自主的に使ってしまってよいのか、という問題がある、と指摘されました。
わかりにくい問題があったときには、反対の事件がでてきたときにどう対処するのか、と考えるのも必要です。
●朝霞市の職員採用は辞退率が高く欠員で年度がスタートしています。職員の辞退が多いのは、試験日の関係などいろいろな前提はありますが、こういう不公正なことをしない、という明確に公正な職員政策を採用しないと「朝霞市はよい職場である」という評判は立たず、職員採用は引き続き困難な事態になるだろうと思います。
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