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2014.07.14

7/14 財政の外部評価

朝霞市外部評価委員会が財政をテーマに討議するので、傍聴してきました。外部評価のキモのキモとなる分野で、市役所がどのような厳しい言葉を受け止めるのか、委員に何を説明するのか興味深く、近く開かれる市議会の決算審査の参考に、と思っての傍聴でした。

委員の発言も宙をつかむような感じでしたが、そうなったのは市役所側からの資料提供など運営に問題があったのではないかと思います。その結果、節約せよ、収入を確保せよ、滞納対策をせよ、という一般的な意見にとどまっていたと思います。

そのなかでも委員からの注目すべき意見は、中期財政計画の策定をせよ、というものがあって、10年ごとの総合計画の運用や、50年単位の公共施設の適正管理、長期債務の管理などを考えると、そうしたものをせずに自治体運営していることは恐ろしくないのか、と私も常日頃考えていたことです。

ところが市役所側は、国の政策変更で予測できない、と言って中期的な計画を立てようと一切しませんが、私はそれは財政の裁量権が制約することを恐れた行政の防戦だとみています。どこの企業に中長期の経営計画や会計計画がなく運営するところがあるか、と思います。国の施策が違ったら、差異分析をして修正をかけていけばいいことのはずです。

評価委員会の議論が困っていたのは、運営の問題ではないかと思いますが、自治体の財政を議論するには、抽象的な議論が多いので、最近10年ぐらいの決算カード、地方交付税の仕組み、基礎的な財政指標の解説などの提供が不可欠です。議論に出ていた中期財政推計など、すみやかに委員に資料提出することが必要ではないかと思いました。出されていたのは事業評価シートだけでした。これには数字はほとんど書かれていません。

また、自治体財政改革には、見本となる方法があると思うのですが、そうした事例紹介や資料などの提供もされていませんでした。朝霞の「オレ流」で問題解決の処方を発見しようとしても限界があります。

財政悪化が毎年続いていることに議会が何をしていたのだ、という意見があり、至極もっともで、そうした議論をもう少し広げて、議会がどのように財政監視していくべきなのかという意見があったらよかったと思います。

●一般的に自治体に節約を求めても、無理な禁欲を続けて仕事させられていると、節約して余ったお金を鵜の目鷹の目で狙っていて、結局節約した財源から新しい事業をこじつけて「切実な要求」「あったら元気になる事業」と言って浪費してしまいます。
節約の積み重ねではダメで、全体の財政運営の絵姿を書いて、統制かけていかないと、財政再建などできません。

●財政の議論をしていると経常収支比率がいつも話題になります。さも収支の健全性を図る指標として見られていて、古い教科書には、75%や80%が望ましい数字として掲げられています。
しかし経常収支比率は、無駄な公共事業を積み上げると経常経費の比率が下がるので、経常収支比率は改善したことになります。しかしそうした場合、後年度に大きな犠牲がやってくることになります。経常収支比率はあくまでも相対的な数字でしかないので、前年比での若干の増減から健全性を読み取ることは可能ですが、数字自体を絶対化すると危険です。
今の自治体は、介護保険制度の創設や児童手当の拡充などで、国から自治体財政を経由して行われる事業が増えたので、経常収支比率は80%なんてことはあり得ません。90%前後が平均的な水準で昔の感覚では硬直化しているということになりますが、公共事業から人の支援に市町村の役割が変化するなかで、それが悪いこととは言えないように思います。

●自治体財政を考えるときには、収支と、資金繰りと、債務管理とで全く違う姿が見えてきます。朝霞市の場合は、基礎的収支は年6~10億円の黒字、資金繰りは年4~5億の流出、債務管理では債務残高が毎年10億円前後減少という数字になります。過去の大型公共事業の債務返済で、資金繰りが行き詰まりつつあるというのが朝霞市の財政の今の姿です。

●まずは自治体の財政状況について、きちんとまとめた財政白書の作成が不可欠だと思います。収支なのか資金繰りなのか債務管理なのかまったく概念が混乱したまま、財政が大変、という言葉だけで問題解決をしようとしても混乱するだけです。

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