7/10 青函トンネルをもう1本くれという青森県
青森県議会議長が、国土交通省に、青函トンネルをもう1本掘れって要請しているようです。来年の北海道新幹線の開通があっても、青函トンネルの稼ぎ頭の貨物輸送のために、貨物列車と共用しなければならなくて、そのため、事故防止の観点からトンネル内の新幹線の速度を上げられないから、新幹線用に1本掘ってくれ、ということだそうです。
青函トンネルをもう一本掘ったら、蟹田・木古内間は複々線になるんですよ。
都市部で税金がほとんど注入されていない満員電車で、複々線化工事が進まず、行われず、渋滞ノロノロ運転の電車で仕事に行っている人からすると、何ともため息の出るような要求だと思いませんか。
しかも最近の通勤電車は、人口減を口実に、ダイヤ改正のたびに不便になっています。人口が減ろうが勤務時間が多様化しようが、朝はともかく夕方は全然通勤が楽にならない。
新幹線に話を戻すと、
新幹線として使うときに140キロ制限から300キロ走行になるために1兆円かけて、新幹線が速くなる時間は18分。
またそもそも採算に疑義がある北海道新幹線がトンネルをもう1本抱える余裕があるのだろうか。
そのために、今なら1兆円もかかるような事業、国土交通省にはまともな判断力を働かせてほしいものです。
●同じカネ呉れでも、青森県は新幹線に浪費するより過疎問題など解決しなきゃならないことはいっぱいあるだろう、と思うのです。
●記事中で県議の声として、トンネルの使い方を工夫するぐらいなら「初めから2本目のトンネルをほっか方が賢い」などと言っているのですが、その工夫のコストは1兆円もかからない。せいぜい数百億円です。
自治体の政治家が、圧倒的にコストが安いやり方があるのに、その作業をイメージするのが面倒くさくて、最初から作り直せ、建て直せ、って言いがちです。築50年もいっていない公共施設を壊して建て替える話は珍しくない議論です。補修するぐらいなら建て直せ、って。そういう電気製品を次々に買い換えるような面倒くさがりの議論、要注意です。
「第2青函トンネル」建設を 青森県内で待望論 河北新報
新幹線も減速走行となる現在の青函トンネル
北海道新幹線・新青森-新函館北斗の2016年春開業を前に、青森県で「第2青函トンネル待望論」が急浮上している。現状ではトンネル内は高速走行できず、所要時間が長くなるためだ。2本目となる世界最長の海底トンネルの建設は夢物語にも聞こえるが、県幹部は「非現実的な話ではない」と真顔で語る。
「国土強靱(きょうじん)化に力を入れているのだから、もう1本掘ってくださいとお願いした」
青森県議会の阿部広悦議長は6月30日の定例記者会見で、12日に国土交通省を訪ねた際、事務次官に非公式ながら要望を伝えたことを明かした。
国は11年、新青森-新函館北斗間149キロのうち、青函トンネルを含む82キロの区間は、在来線特急並みの速度とする考えを示した。トンネル内で高速走行の新幹線が貨物列車と擦れ違うと、風圧でコンテナ破損などの危険があるためという。
全ダイヤの高速走行を前提に、05年に工事計画に同意した青森県は反発した。完成まで、総工費の一部約800億円を県が負担することも反発の背景にある。
両駅間の所要時間は高速走行なら39分だが、減速すると18分遅く57分となる。利用促進へのうたい文句が「約30分」と「約1時間」ではアピール度が大きく違う。
国はその後、県の反発を抑える形で、18年春から1日1往復に限り高速走行すると表明した。新幹線の中に丸ごと貨物列車を載せるトレイン・オン・トレインや、擦れ違う時のみ新幹線を減速させる技術も研究するという。県などによると、どちらも例がなく、実現の見通しは立ってない。トレイン-は研究と新車両の製造に計約3000億円かかるとされ、擦れ違い時減速は安全への懸念が大きい。
新たな青函トンネルを建設する場合、総工費は約5000億円と見込まれる。過去のトンネル工事の地質データがそろっているので、既存の技術で建設は可能だ。
県議の一人は「膨大な費用を使い、ただ貨物列車を新幹線に載せるだけなら、初めから2本目のトンネルを掘った方が賢い」と指摘する。
全ダイヤの高速運行は北海道からも要求されている。
青森県の千葉耕悦新幹線・並行在来線調整監は「自民政権になり、大型公共工事を復活させようという声が全国各地で上がり始めている。国の高速化への対応次第では、第2トンネルの建設を要望する可能性はゼロではない」と話す。
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