6/2 福祉労働者を地獄に叩きこむ朝日新聞の一連の社会福祉法人叩き
朝日新聞が、連日社会福祉法人の内部留保たたきをしている。全国で2兆円ある、といい、税金にたかる前に、待遇改善のためにはき出せというもの。そしてその情報源が財務省である、と臆面もなく書いています。
2兆円という金額に驚いて、思考停止しまいがちですが、この金額が1法人あたり、1施設あたりどのくらいの金額になるのかという感覚が重要でしょう。
その金額で驚かせて社会福祉法人に埋蔵金がある、と思わせる手口だと思います。日本全国に社会福祉法人は1万9206法人(2011年)あり、1法人あたり1億円程度の内部留保がある、ということになります。
これが多いか少ないかは、評者によって分かれますが、私はその程度の金額だと思います。社会福祉法人といえどもその福祉事業をするための建物は、減価償却が必要であり、それは内部留保になる。社会福祉法人には数十ヵ所の施設や事業を運営しているところや、自治体ごとにある社会福祉協議会のように大量の福祉事業をしている法人もあり、1施設になおすと数千万円程度となります。
やや高いかも知れないが、法外という内部留保ではないはずです。
一方、こうした社会福祉法人叩きを始めた経産省は、民間企業を管轄している。その民間企業の内部留保は270兆円にものぼります。赤旗あたりは、それをはき出して賃上げ、と言っていて、私はそのすべてに賛意を示すわけではありませんが、過剰な内部留保を日本の民間企業が貯め込んでいる、ということには同意する。その一部を賃上げや、非正規労働者の正規化、請負、下請け企業への圧力をやめることに使えば、消費の限界にあえいでいる人が消費に使い、日本の景気が良くなるのだが、「非現実的」「内部留保がすべて現金だと勘違いしている」などと反論して、必死に冷笑して却下しています。さらには法人税減税しろしろ政治に圧力をかけまくっているのです。
こうした経産省の手口は、まことに矛盾した姿勢と言わざるを得ません。
こうした力学を読者に紹介せず、経産省やそれに乗じている財務省のいうまま、福祉サービス基盤を不安定化して、壊そうとする朝日新聞の姿勢には不勉強と言わざるを得ないと思っています。
利権という問題よりも、福祉労働者が、奉仕の精神にがんじがらめになっている上に、利権・利権という人たちによって福祉のワークルールの「岩盤規制」を壊され、低賃金、不安定雇用にあえいでいる中で、内部留保が貯まってしまっている、という現実もあるはずです。というなら、利権を壊せではなくて、福祉労働とその対価を記事にすることが大切で、福祉利権などとやってしまったら、ただてさえひどい福祉の労働環境がさらに悪化してしまいます。
多分、この記事を書いた記者たちは、福祉の必要な人、支える人の視点になって何かを見たり聞いたりした経験がないのでしょう。
朝日新聞 5月31日 社福の内部留保2兆円 「待遇改善の財源に」 財政審推計
朝日新聞は根拠のない理由で年金不信を煽って、民主党と心中した失敗をしたはずです。
●私は民主党政権誕生直後、労組があるから政治がおかしい、というような産経新聞以下のキャンペーン記事を貼ったので、お金を払って読むのはやめました。つくづく「リベラル」な社会的強者の常識のための新聞だと思います。
●メディアスクラムという悪習で、朝日新聞は指折りひどいやり方をするところだ、と認識しています。
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コメント
規制で参入が制限されているなら、清廉を求められるは当然ではないですか。
新聞の指摘を、ただ感情的に蔑視し、差別だとか迫害とか叫ぶだけでは、利権があると自白しているようなものですよ。
企業の内部留保、全産業(数百万社)で270円。福祉法人の2兆円(1万社)は、一社当たりでは全く遜色はない。
むしろ、非課税という特権を享受し、非営利を自称しているなら、私企業と比べて内部留保は過度に多いと言わざるを得ない。
ヒエーリ、ヒエーリと叫んで異論を封殺し、批判者にネオリベ等のレッテルを貼って抑圧している態度が、批判を増していることに気が付きませんか。
世人は、ヒエーリを自称している連中が、実は商人よりゲスなことに気づいたのです。
ほんらい、差別反対とか助け合い・弱者救済を主張するなら、その主体が公正であることが必要です。なぜか、弱者の権利を主張する人々は、利権の存在を指摘されると発狂しながら逆切れします。
このような態度は弱者や被差別者の権利擁護が社会に浸透することを妨げる原因の一つです。
投稿: 山本たかし | 2014.06.19 00:59