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2014.05.07

5/7 消費税増税で作った財源を横取りするかのにような法人税減税を主張するなら政策効果と効果が出る期限を明示せよ

消費税増税をしたばかりのところで、法人税減税を打ち上げる安倍政権は無定見ではないかと思っています。

民主党政権をぶっつぶした消費税増税は国益をもって判断されたものですが、社会保障費の増大や現在の債務残高をふまえて、持続可能な国の財政を作るためものだったと思いますし、私もそのように理解しています。

ところが、そうして国民がつらいと思いつつも、国の未来を考えて受け入れた増税財源を、簡単に法人税減税に走るのはどうかと思います。
法人税減税が政策的効果があるのか、私は疑問です。

政府税調に入り込んでいる太田弘子氏などが盛んに経済効果がある、と押し込んでいるものですが、産業が海外に流出しないインセンティブはあるものの、海外から産業が税金が安いからと日本に環流してくると言い切れるものなのでしょうか。
法人税減税によって企業に残る現金が、ちゃんと消費にまわるのでしょうか。儲けの残りから払う法人税が惜しいから日本から出て行く企業が、直接のコストである賃金を上げたり、下請け、孫請けに対する仕入れコストの切り下げをやめる、ということがなければ経済効果などないのです。

むしろ、企業が儲けを残しても税金が取られなくなるのですから、企業活動は活性化しても、それは需要にまわらず法人の蓄財にまわされることになります。それこそ、今の経済構造を歪めている元凶です。
税金が浮いた分の現金が法人の蓄財となれば、その現金は個人消費の需要を生みません。需要がないなかで蓄財した現金に具体的な投資先もないのですから、ただ投機資金に回るだけです。それは投資してもただ現金らしきものを保有することになるだけなので、再び、バブル崩壊の道と、その後のデフレへの圧力になります。

税金以上につよい直接的なコストである、賃金を払うわけがないし、仕入れコストを上げるわけもないし、そうであるなら消費も増えませんから、何の効果もないのではないかと思っています。残るのは、今社会問題になっている、企業だけが蓄財して、国民の貧困化と政府の財政赤字の死屍累々ではないかと見ています。

国民にとって税金がみんなの生活を支えるための共同の財布という考え方がとうとう確立できなくなります。払った税金が自分たちを苦しめる企業・法人に持って行かれた、という被害者意識しか醸成しません。その結果、税金を払うことに対するモラルはさらに下がるのではないかと思っています。

残念な政策判断はしないでしほしいものです。

●甘利経済再生担当相と、太田弘子氏は、法人税減税によるトリクルダウンの、政策効果の目標値と、その実現の期限目標を示すべきだと思います。社会保障はじめ他の政策で、当たり前のようにやらされていることを、法人税減税においてもならってもらいたいものです。とくに太田弘子氏は、福祉を切れ、政府支出を抑制せよ、財政を再建させよと言ってきた人です。責任ある説得をしてもらいたいと思います。

●労働者に、長時間労働や過剰な感情労働を要求して世の中壊し、そのツケは保育所のコスト増大や、家庭の崩壊、精神医療関係のコスト増大となって余波を受けている企業が、そのコストを負担せずやりにげして、それが改革だと言ってはばからないのは、どうかしているとしか思えません。

●競争力強化による産業再生、そのための小さな政府という路線は、イギリスも、アメリカも財政悪化をもたらしてきています。減税の先食いばかりされて、国民を支える十分な社会保障が構築できないので、貧困は底に滞留し、結果として、人権の観点で民主主義国がやらざるを得ない、国民の生存の極限を支える、最もコストのかかる福祉支出が増えざるを得なくなるのです。

●現在、法人税を払える企業は東京に集中していますから、法人税減税の効果は東京と名古屋に集中することだと思います。消費税は地方でも払っていて、それが増税になっていますから、地方から東京の資金の移転が起きることになります。

●消費税増税は必要だという私も、それでできた財源をすべて財政再建に使え、という財務省の金科玉条を言うつもりはありません。銀行に環流させても、投機資金にしかならないからです。使う先が、消費に効果が出てこないところに使っても仕方がないと思っています。
私は、消費との関係で言えば、法人税減税は公共工事予算の増大以下の判断だと思います。今回上げた消費税の1~2割を、現在、ワーキングプアに支えられている介護、福祉労働者の待遇改善に使うだけでも、人材確保難の悪循環と、支出を抑制しすぎて生活している彼らが消費の拡大に回していきます。また社会で生産活動に邁進したいという人たちへの目詰まりを解消する効果も出てきます。高齢者医療費の軽減などにまわせば、今度は現役世代が退職後の不安を解消するための不必要な蓄財をせず消費に回すことが可能になります。

法人税実効税率引き下げ 来年度実施明記の考え NHK 5月7日5時05分

フランスを訪れている甘利経済再生担当大臣は、日本時間の7日未明、記者会見し、安倍総理大臣が意欲を示す法人税の実効税率の引き下げについて、来月取りまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太の方針」に、来年度からの実施を明記したいという考えを示しました。

OECD=経済協力開発機構の閣僚理事会に出席するためフランスを訪れている甘利経済再生担当大臣は、日本時間の7日未明、記者会見しました。
この中で甘利大臣は、安倍総理大臣が意欲を示す法人税の実効税率の引き下げについて、「何年かけて、どれくらいの数字にするかは、自民党税制調査会と調整する必要があるが、始めるということはきちんと意思表示することが肝要だ」と述べ、来月取りまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる骨太の方針に来年度からの実施を明記したいという考えを示しました。
また、記者会見に先立って、甘利大臣はOECDの閣僚理事会で、「日本の累積赤字がGDP=国内総生産の2倍近くになっていることは大きなプレッシャーだが、財政を緊縮化するだけではマイナスのスパイラルに陥ってしまう。日本は財政再建と経済の成長戦略を組み合わせて取り組んでいく」と述べ、財政再建と経済成長の両立を目指す考えを強調しました。

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