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2014.04.29

4/29 国民の借金が8000兆円?

昨日のニュースで衝撃を受けた方が多いかと思いますが、国の財政制度審議会が2060年に日本の借金が8000兆円になる試算を出した、という報道を流しています。

現在の1000兆円が50年でどのように8000兆円になるのか、正確な報告を読んでみないとわかりません。いくつか矛盾する数字も並んでいます。GDPの200%の債務残高=1000兆円が、GDPの397%=8000兆円ということは、GDPが2000兆円にも成長していることになります。

そして、結論が
「今の財政健全化目標のあとの2021年度から2026年度の間に集中的に「基礎的財政収支」を改善させる場合、2060年度の債務残高の比率を、現在の水準に近い200%に抑えるには、6年間でおよそ30兆円の収支改善、比率を100%まで下げるにはおよそ45兆円の収支改善が必要だとしています。
財政制度等審議会では、このままでは将来世代に極めて重い負担を背負わせることになるだけに、国や自治体は歳出の大胆な見直しやさらなる増収策に早急に取り組むことが必要だと警鐘を鳴らしています。」
と書いています。

現在、国の財政支出94兆のうち23兆円が国債費ですから、30兆だの45兆だの支出を削減したら、私たちの払っている税金の半分以上が国債費になります。そのようなことができるわけがありません。もちろんこれは数年間の累計の数字ですが、それならもう少し、丁寧で実現可能な数字として、単年度で5兆円の改善とか言うべきでしょう。

財政が大変だということを過剰に印象づけると、着実に改善していこうとする方法論を持った議論がばかばかしい議論として冷笑され、定着せず、数字も見ないで大変だ大変だと過剰に大騒ぎする国民と、どうせ何やってもダメだからと漫然と行政サービスの垂れ流しを使い倒す国民との分裂状態になります。その結果として、財政の立て直しがかけ声倒れになって、我慢させられた気分が蔓延している中で、景気回復などで増収があっても、国・自治体ともに、このときとばかりパーッと使ってしまう結果になります。
本来は景気がよくなったら支出を引き締め、景気が悪くなったら支出を緩めるというのが、財政運営のあるべき姿ですが、日本はいつも真逆なことをやっているのです。

財政制度等審議会のように、できもしない数字を並べ立てて、その帳尻あわせのために、社会的弱者をモラルでいじめるようなことばかりやっていても、何にもこの社会は良くならないといのうが私の見立てです。

また無理な財政再建をやると、国の借金を返すことは成功しても、その現金は金融機関に環流するだけです。その資金は有用な投資先がなければ、投機資金になるだけで、マネーゲームの担い手ばかり豊かにします。そのことはデフレを招くほか、さらに雇用や社会保障の保護をムダなこととして圧迫し、社会をさらに不安定化させます。

国債の危機は、金利負担の増大リスクが危険なので、そこを回避するための財政再建が一定の目標になろうかと思います。現実的な財政再建の選択肢を提示して、国民が受け入れられるような提案を出して、安易に社会保障が自治体がと、責任を誰かに押しつける酔っ払いの天下国家論に終わらせないことが、一番財政再建につながる道ではないかと思います。

●私も財政再建が必要だ、という認識を持っていますが、このような極端な議論をされると、財政再建よりも社会保障を守れという声を優先課題にせざるを得ません。欧州の安定した政府運営をしている先進国の税率はどうなんだ、財政構造はどうなっているのだ、どのような行政サービスの水準なのかと考えて、何が日本にできていないのか、と考えていくことが大事なのではないかと思います。

●こういう数字が出てくるのは、太田弘子あたりが景気回復すると強弁して強引に推進している法人税引き下げへの牽制だと思いますが、それでとどまってくれればと思います。

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