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2014.04.18

4/18 社会福祉法人悪者論は経済産業省の調略

奇妙奇天烈な規制改革会議の提言です。「社会福祉法人に社会貢献活動を義務づけ」

福祉分野を自省の縄張りにしようとする経済産業省の調略がきいています。社会福祉法人が1億円貯金を貯め込んでいるとか、盛んに悪宣伝を繰り返して、とにかく譲歩させたものです。

社会福祉法人だって、減価償却や運転資金の留保は必要で、1億円がそれに該当するのか、各種補助金の人件費を著しくピンハネして蓄財されたものなのか、まったく説明がなされていません。それでこの悪宣伝をまんまと信じて、本来業務をちゃんとやれ、と言うだけの提言を、さも社会福祉法人が仕事をさぼっているかのような言い方をするのは妥当なのでしょうか。

社会福祉法人は、規制改革会議がイコールフッティングという点ではほとんど見過ごしている学校法人や宗教法人などと違い、役員報酬自体禁止されていますから、現金にしろ資産にしろ持ち出すことがほとんど禁止されていて、蓄財する意味は福祉事業の新展開か、施設の更新ぐらいしかありません(学校法人や宗教法人は自民党の票田ですからねぇ。デフレの下で学費をつり上げるだけつり上げて、さらに公費の補給まで受けて豪華校舎の建築に邁進している学校法人などどうなっているの、と思うところが多いのですが)。

もちろん利用者をえり好みする社会福祉法人を何とかすべき、という点については、この提言が言いたいことの一部は理解しないわけではないのですが…。そんなこと規制緩和とは何の関係もなく、社会保障関係の審議会や各自治体の福祉関係の審議会等で十分に議論してほしい話です。

保育園問題で証明されていることなのですが、経産省の都合で福祉事業をいくら規制緩和しても、福祉事業への新規参入は僅かしか進まないんですよ。岩盤規制があるからなんて話ではない。もうからないから人件費ピンハネするしか事業者のインセンティブはない。そのための規制緩和もしましたが、それによって運営者も労働者も人材確保が難しくなり、市場から手痛い反撃を食らっているところです。
ウンコの始末をしたり、少なくとも60キロ近くある人間を何人も抱える仕事を、他の人より著しく安い賃金で首切りやすい雇用制度のもとでやりますか、ってことです。新規参入が起きるのは、法人格の問題ではなくて、福祉事業者に払われる補助金・給付金の額の水準です。

社会福祉法人に社会貢献活動を義務付け 規制改革会議が提言
2014/4/16 22:05 記事保存

 政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は16日の会合で、介護や保育事業を担う社会福祉法人と民間企業の競争条件を整える提言をまとめた。財務諸表をホームページで開示し、透明性を高めるよう要望。財政面で優遇を受けている社会福祉法人に低所得者への無料・低額の福祉サービスなど社会貢献活動を法令で義務付ける。当初要求していた特別養護老人ホームの民間参入は見送った。

 提言では厚生労働省に2015年までに社会貢献活動の義務付けを実現するよう要請。従わない場合、業務停止や役員の解職勧告などの罰則を科すべきだとした。14年中に社会貢献活動の定義を定めることも求めた。

 社会福祉法人は全国で2万弱あり、特養などを運営。特養では寝たきりといった要介護高齢者に約8千カ所で介護サービスを提供している。ただ、特養を運営できるのは社会福祉法人と地方自治体に限られている。

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