2/9 東京都知事選の市区町村別得票から見えるもの
昨日は、東京都知事選がありました。珍しく東京の選挙にしては開票が早く、1:15には市町村別で開票結果が都選管から発表されています。
これについてはいろいろ感想がありますが、まずは出てきた得票数をいくつかの切り口で見てみたいと思います。
なお、比率は、全ての有効投票に対する各候補の得票率です。よく使われる「相対得票率」とは若干異なりますので注意してください。
【舛添氏関係の特徴】
すべての区市町村で舛添氏が1位であることは違いないのですが、その強さをみると以下のような特徴があります。
・舛添氏が50%以上の得票:御蔵島村と小笠原村以外の島、西多摩郡
・舛添氏が45%以上の得票:墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区、八王子市、立川市、青梅市、昭島市、福生市、東大和市、武蔵村山市、稲城市、羽村市
・舛添氏が40%未満の得票:目黒区、渋谷区、中野区、杉並区、武蔵野市、三鷹市、小金井市、国立市
※下町の区と多摩地区の保守地盤、島で圧倒的な得票を受け、民主党の現職代議士がいたり(目黒、渋谷、中野、杉並、武蔵野)、革新系市長がいたところ(国立)を中心に凹みがあることが見られます。
【2位争い】
アンチ自公で宇都宮、細川の2人が立候補しましたが、どちらに支持が多かったのでしょうか。多くの市区町村はプラスマイナス1%の範囲での差で、二分された、という結果になりますが、偏りのある市区町村を見てみると、以下のようになります。わかりやすくなるように、宇都宮氏が強い順に並べます。
・宇都宮氏が5%以上優位:清瀬市、大島町、
・宇都宮氏が3%以上優位:北区、板橋区、東村山市、狛江市、東久留米市、武蔵村山市、三宅村
・宇都宮氏が1%以上優位:江東区、大田区、中野区、杉並区、荒川区、足立区、葛飾区、立川市、昭島市、調布市、小平市、日野市、国分寺市、国立市、福生市、東大和市、多摩市、羽村市、あきる野市、御蔵島村、青ヶ島村
・細川氏が1%以上優位:台東区、世田谷区、町田市、稲城市、奥多摩町
・細川氏が3%以上優位:中央区、目黒区、渋谷区、武蔵野市、神津島村、
・細川氏が5%以上優位:千代田区、港区、檜原村、八丈町
・その他の市町村はプラスマイナス1%以内
※保守系のうちしか選択しない市区町村と、都心の特区指定を受けそうな地価の高いところ、新自由主義の勝ち組の多いところで細川票が多く、共産党の比例票の多いところや革新系首長を最近までもっていたところで宇都宮票が多いことがわかります。原武史著「スターハウスとレッドアロー」を思い出します。
共産党の新自由主義攻撃は一定の効果があったと思いますし、細川氏が小泉構造改革のままの政策を打ち出したことは逆宣伝に効果を挙げたと思われます。
細川氏の広がり方は、さきの参院選での鈴木寛候補の得票とよく似ているとも言えます。また、従来新自由主義に親和的な中野、杉並や、国立、調布などで宇都宮氏が優位だったのも、地方議員の数との関連性が見られるのではないかと見ています。
島部が、町村ごとに、宇都宮氏と細川氏の間で極端な違いが見られたのも面白いところです。
【せまりくるたもちん】
田母神氏の得票が多いところをみると、15%超えが千代田区、中央区、港区、小笠原村というのが興味深いところです。どうやって選挙やっているんだろうと思うような区・村で強いと感じます。しかし千代田区や中央区に住むエリートがキワモノ候補に2割近くも投票していることに少し驚きです。
一方、多摩地区・島では全然歯が立っていない数字が出ていて、23区と多摩地区では選挙風土が違うことをうかがわせます。
【さらに調べてみたいこと】
先の衆院選、参院選の政党別得票率とぶつけて、舛添についてはきちんと票を出す公明党票とのジャンプ率、宇都宮については同じく共産票とのジャンプ率、細川については民主党得票との比率を見てみたいと思います。そのことで市区町村の歴史性や現職自治体議員の数との関連性が見られるのかと思います。
また低投票率であったということは、必ず票を出す公明党支持層、共産党支持層が選挙を左右したのか、ということも注目点です。
【次の選挙に考えるべきこと】
まずは投票率次第だと思いますが、非自民が勝とうと思ったら、人口も多く、自公が強かった東京都の東部・北部の区で票を伸ばせる人選や戦術の工夫が必要ではないかと思います。また、非自公の陣営が、浮動票ばかりに目が奪われて結果として候補者選びから迷走していますが、そうはいっても現職の代議士、自治体議員の数、過去の市町村の政治的経緯なども反映した得票が見られることから、浮動票は後からついてくる、と腹をくくった候補者選び、戦術の構築も必要ではないかと思います。
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