1/23 国保税を引き上げへ、均等割の扱いが焦点
構造的な問題から赤字続きの国民健康保険特別会計。これまで朝霞市は一般会計から財政投入を行ってきましたが、一般会計も資金繰り難で、投入する財源も制約される現状です。
そうしたなか、国民健康保険の運営を加入者、有識者、医療提供者で審議する、国民健康保険運営審議会が昨日(23日)開かれ、市側から値上げ案が3案示され、異論があるなかで、多数意見としてそのうちの1案を保険料改定の原案とし、均等割についてさらに検討するよう付帯意見がされて答申されました。
審議会では、市(行政)から、当面一般財源からの投入を5.4億円に抑制せざるを得ない市の財政状況、来年度の国保会計の予算見積が示され、総額で30億円の保険料が必要でありつつ、現在入る保険料は26億円に留まっている現状を示され、値上げ案として
①所得割8.4%→9.7%、資産割現状(固定資産税の33%)、均等割(加入者数19000円→23000円)、平等割(14000円据え置き)+40~64歳は介護保険料分①所得割0.9%→2%、③均等割9000円据え置き
最高限度額68万円→77万円
②所得割8.4%→9.5%、資産割現状(固定資産税の33%)、均等割(加入者数19000円→23000円)、平等割(14000円据え置き)+40~64歳は介護保険料分①所得割0.9%→1.5%、③均等割9000円据え置き
最高限度額68万円→77万円
③所得割8.4%→9.5%、資産割現状(固定資産税の33%→30%)、均等割(加入者数21000円→25000円)、平等割(14000円→16000円)+40~64歳は介護保険料分①所得割0.9%→1.5%、③均等割9000円
最高限度額68万円→77万円
が示され、最も改定の影響力が抑制できる人が多数になるのが②案と示されました。
佐野議長が、審議会委員の1人ひとりの意見を確認して答申をすることとし、委員の大多数は、30億円の保険料確保が必要なことは認識しつつ、値上げ案についての意見は分かれ、①案を支持する委員が少なからずいる中で②案が多数意見でした。そのため、議長のとりまとめとして、審議会としては多数意見として②案に審議会の意見を踏まえて調整することを答申案として決しました。
それをふまえての3月市議会の議案として示されることになります。
●私は、国民健康保険にパート労働者やフリーター、失業者を抱え込む構造にあるなかで、そうした人たちでも払える保険税体系が必要で、とくに子育てしながらパートやっている人が最も負担が強いような改定ではまずい、①~③案についてはすべてその観点では問題解決がされないものが示されたことと、私の場合は議会でも審議できるのでその場での賛否を保留し再考を求めました。
その上で、③については、子どもを抱えるパート労働者の負担が大きくなり、逆に土地持ちの国保加入者の負担が軽減されるので、論外ではないか、と指摘しつつ、①案をベースに所得割を、それだけでは調整できなければ平等(世帯)割を多少引き上げて、家族の人数で保険料がどんどん上がる均等(人数)割を大幅に引き下げるような案がほしい、と申し述べました。
●所得構成を確認する質問に対する答弁で、年収200万円以下の加入者が4分の3であることが報告されています(もちろん税控除の大きい前期高齢の年金収入の加入者も多いので、実際の負担能力は千差万別ですが)。そのなかで、所得割を多少上げても全然増収にならない面も確かにあります。均等割や平等割を下げるために所得割を上げると、上げた税率によって負担増になるラインが、年収400万以上からなのか、200万円ぐらいからなのか、それも注意していかなくてはならないところです。
●病院に通うようになった人が組合員でいられない商社や派遣労働者の健康保険料が月2000円という水準を考えると、都市部においては、国保は、病気になって職場を追われた人も含めて失業者や扶養のないパートタイムワーカーばっかりの構成になってしまっていることの不条理さを感じます。
まずは、パートタイムワーカーをそれぞれの職場の被用者保険に入れてほしいと思います。パートを多用している業種の経営者団体が猛反対していますが、そのしわ寄せは収入の少ない本人の負担と、自治体の税金で行われています。ところが経営者団体は法人税の引き下げを要求しており、考え直してもらいたいところです。
また、前期高齢者のように、失業や非正規雇用をめぐる国民健康保険の財政問題について、他の保険者との調整が必要ではないかと考えています。健康保険組合の組合員の定着率によって拠出金を変えて、国保との間で調整するとか…。現在は自治体内部で政治的圧力のもとで税財源を使ってその調整していますが、それを持続させるのには無理がありますし、国保の県一元化では解決しない構造的な問題です。
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コメント
自営業者のクロヨン問題、脱税・節税問題が全く解決されないどころか各種経費の免税強化、サラリーマン増税で全く納得できない
健康保険/国保でサラリーマンと自営業者の間で財政調整を行うならサラリーマンからさらに恐喝されて税でも社会保障でもサラリーマンは奴隷になる。
ほんとうにこの人は労組だったの?
もうサラリーマンからだけ搾取する税制をやめよう
投稿: 底辺労働組合員 | 2014.01.25 14:36
今日の国民健康保険の加入者に自営業と農家はものすごく少数派なんですよ(自営業に見える人も今は多くが会社組織化して協会けんぽになっています)。
大半が65~74歳の前期高齢者、次に独立生計のフリーター、パートタイムワーカー、そして独立生計の失業者です。
所得階層もほとんどが年収200万円以下で、これで年間12万円ぐらいの、サラリーマンからの搾取というレベルを通り越した保険料を払っています。保険料の内訳も、人頭税的な均等割額と、サラリーマンの健保組合より高い率の保険料などが組み合わさった料金体系になっていて、収入ゼロでも減免とかあったとしても、毎年2万円ぐらいの保険料が課せられます。
もちろんおっしゃるような脱税・節税問題があるにしても、一方では、サラリーマンのように収入に対する率だけの保険料ではなく、頭割りの保険料があって、これはサラリーマンでは考えられない話で、私も正直ひどい制度だと思いながらも、今の国保の加入者だけで解決しようとしてもできないし、一方で払えないし、そういう中で、サラリーマンも含めてみなさまの払う自治体への税金から多額の財源投入をせざるを得なくなっています。
どっちにしても誰かがどこかで負担しないと運営できないのです。
健康保険に限って言えば、被用者保険の方は、病気で働けなくなった人を失業という過程を経て追い出す仕組みがあるわけです。極端な物は派遣労働者の健保組合です。健康で仕事できるときしか健保組合に入れない。働けなくなったら派遣労働者として終わりで、そこから先は国保に移って無収入のわずかな減免を受けながら、貯金を切り崩して治療をしていかなくてはならない仕組みになっています。
それを概念的に搾取だと切り捨てるのはまずいだろう、ということです。健保組合等他の保険者が、失業者として放り出した病人や、高いハードルをかけて入れないパートタイムワーカーを、誰が面倒見るのか、ということ以上に他の保険者から繰入せよと言うつもりはありません。逆に各健保組合が、失業者が次の仕事が見つかるまで引き受けてくれるならそんな調整はいりませんが、それはそれで構造不況業種などにとってはたまらない制度ではないかとも思います。
投稿: 管理人 | 2014.01.25 16:13