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2014.01.07

1/7 都内の歯科医がポイント制を導入していることの弊害

歯科医師業界の経営が苦しいというのは、身近にいるので様子がわかります。
そうしたなかで居酒屋経営のように、コンサルタントが入り込んで、助言するというのはわかるのですが、さらに踏み越えて、危険領域に入っているのではないか、というのがこの話です。

歯科医院でもポイント還元 患者集め?規制に二の足朝日新聞

もちろん健康保険を使わない診療でこうしたことを行うのは自由だと思いますが、健康保険を使ってポイント還元をするとすれば、多くの人の税金や保険料という「強制徴収」されているお金を流用したことになると思います。

また、歯科医だって身銭を切ってポイント還元をしているわけではないのですから、本来、健康保険で求められる必要な医療の枠を超え、不要な診療行為の拡大にもつながります。それは目下課題になっている健康保険の財政問題を悪化させる原因にもなります。

さらには、実質的な値引きと、健康保険の財政支出の拡大を煽るわけですから、当然、財務省やら、規制緩和に絡む各種政府審議会・委員会・会議からは、さらなる医療財政の切り込みがかけられる危険性もはらみます。
医療の市場化の圧力のもと、少ない医療財政で、市場化では解決しない。、高齢化に関わる医療、お産に関わる医療、小児科医療、救急医療を何とかしなければという時代に公的な医療をきちんと確保していくことが求められます。こうした金銭的利益で患者を釣るようなことは医療界の自殺行為ではないかと思います。

●医療を市場化した場合と、公的管理においた場合の質とコストの比較は、慶応大学の権丈先生がHPで、何度もいろいろな文献を紹介しています。
MARK GONGLOFF(English) 日本語版:佐藤卓/ガリレオ「「アメリカ医療システムがひどい」がよくわかるグラフ」
アメリカの医療はある程度高度であるけれども、社会全体の医療コストからはすべての国より非効率な状態にあることを示しています。

●権丈先生で思い出しましたが、民主党の社会保障政策を担う人たちがまた3年ぐらいの暴虐の歴史に戻ったなぁ、という感じがしていますが、そのことを紹介している記事もご案内いたします。
朝日新聞2013/11/20年金と政治家のレベル

歯科医院でもポイント還元 患者集め?規制に二の足
2014年1月7日06時19分朝日新聞

 歯科医院で治療を受けると、商品券などと交換できるポイントがもらえるしくみが広がっている。国民の医療費が、治療とは直接関係ない患者集めに使われている可能性がある。患者にポイントを与えることで実質的な値引き競争につながり、全国で一律であるはずの医療の価格に差ができ、質の格差も生まれかねない。厚生労働省も、対策を慎重に検討している。

 歯科ポイントのしくみは、東京都渋谷区の歯科コンサルタント会社が2006年から運営を始めた。同社によると、全国約6万9千ある歯科医院のうち、加盟しているのは約400。加盟医院で治療を受けた患者は、同社のウェブサイト上で治療や設備の満足度について6問のアンケートに答え、歯科医院の口コミを書き込むと、治療内容によって100円~1万円相当のポイントをもらえる。

 ポイントの付け方は、歯科医院に任せられているため、患者の勧誘に活用できる。1回の治療で100ポイントをつける医院が多く、初診時や検診1回につき500ポイント、患者を紹介すると1千ポイントをもらえる医院もある。500ポイントたまると1ポイント1円として、商品券や電子マネーに交換できる。

 「1万ポイント=1万3千円」などと、歯科医院は運営会社からポイントを事前に買い取る。または患者が口コミをした後、例えば100ポイントにつき300円を支払う方法もある。いずれも保険料や税金からなる診療報酬が使われているが、歯科医院は支払った金額を取り戻すために不必要な治療をして医療費の無駄につながる恐れが指摘されている。

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