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2013.12.14

12/13 品がない、接待費へ650億円の補助金 平成26年度税制改正

自民・公明両党がまとめた税制改正の内容が下品ではないかと思います。

エコカー奨励のために、10年超の自動車の税金を上げるのは、自動車の廃棄を進めることになります。バブル期まで、自動車が10年車検からお金かかるからとすぐ廃棄していて、河川敷には、膨大なタイヤの山、車両ごみの山が積み上がっていました。しかし自動車の品質が上がり、10年超えても十分使える自動車が増え、車検制度の改革で、10年超えても自動車を大事にするようなったのではないかと思うのですが、それをまたねじを逆に回すような改革だと思います。

エコカーが売れても、河川敷にクルマのごみの山が積み上がることがエコなのか、私は疑問です。そのエコカーのうち、なかには、原発が大量に再稼働しなければ普及させることができない種類の自動車もあります。それが減税で奨励されるとしたらやりきれません。
最近では、エコカーに使われる部品の寿命が短く、実はエコではないのではないかという疑義もあります。

また、ほんとうのエコなら、減税して自動車を奨励せず、公共交通を奨励する税金の使途を考えるべきです。公的財源もなく公共交通を維持させられているのは日本だけの現象です(といいながら最近目立つ、公共交通事業者が、撤退されたくない自治体に、様々な口実をつけて、本筋ではないお金のつけまわしを要求するのには閉口しますが)。

軽自動車への増税など、地方都市の狭い道路で生きている人たちに増税をするものです。とくに漁村や城下町の人々には他にかえがたい交通手段です。おそらく外圧なのでしょうが、そういうものに増税する政治判断のどこが「日本を取り戻す」なのでしょうか。

もう一つ、大企業の交際費減税です。大企業の役得サラリーマンが接待口実にしてお金を使うと税金が負けてもらえるのです。法人税率が38%ですから、接待経費の税金38%の半分19%が払わずにすむ=税金で補われるようなものです。これの税収減が650億円です。

接待費の効用を全て否定するつもりはありませんが、ワークライフバランスだの両立支援だのやっている時代に、接待費を奨励して事実上のサービス残業を増やし、帰宅時間を遅らせるようなことを奨励するのは全く時代に逆行しています。

接待費にも、純粋なものもあれば、新年会・忘年会・歓送迎会など企業内でのコミュニケーションに使われるものもあるでしょう。しかしそうでないものもあり、上司がやたらに部下を拘束して会社の金で権威を見せ続けたり、私的な飲み代を会社につけ回ししたりすることもないわけではありません。バブル期までは会社の金で風俗店に部課を連れ回すなんて話もあり、ドラマのなかで企業社会の不条理を受け入れるシーンなどで出てきたものです。

そうしたことすべてが無意味でやるべきではないと断罪することはしませんが、しかし税金で奨励することは間違っていると思います。企業がやるにしても、サラリーマン個人がやるにしても、身銭を切ってさっぱりやれと思います。
貧困家庭を支えるはずの子ども手当や高校無償化に、自民党や公明党が、民主党政権に浴びせかけたバラマキ批判の内容から考えれば、財政難のもと、社内政治にたけた役得サラリーマンが飲み歩く金に税金を補填するなんてことは、どう合理化できるのか私には理解できません。

ソントクとは違う品のなさを感じる今回の税制改正、再検討してほしいところです。

また消費税の負担感が高い低所得者対策も、軽減税率という本筋ではないやり方をめぐって攻防が繰り返された結果、何のきちっとした対策が出てきませんでした。
私は以前から、消費税の逆進性の高まりに対する対策して、消費税の課税段階でやるとあまりにもおかしなことばかりが起きるからと、所得税の申告段階で戻し税をするとか、低所得者向けの給付金の確定をして給付をするなどの方法が考えられると書いてきましたが、そういうこともないようです。

●「日本を取り戻す」という価値観の正体が見えてきたような感じがします。1950年頃のものではなく、接待費を使いまくって、クルマをバンバン買い換える1980年代のバブル期です。それはとりもなおさず今の自民党の政権中枢に近い人たちの世代観そのものです。バブル青春世代の憧憬を税制改正に持ち込むな、と言いたいです。

●追記・安倍政権の中枢部は50歳前後の人たち。この世代を私はバブル青春世代と呼んでいますが、ワークライフバランスの観点では次のような評論があります。
白河桃子 女性の妊娠・出産を阻む“粘土層管理職”とは

いくら上から「女性が活躍しやすい、働きやすい環境を」と言っても、中間管理職のところで止まってしまう。トップは「女性活用」を発信しているのに、上から水をかけても、下まで浸透しない。それは40代、50代の「粘度層」のような中間管理職のせいです。
大量採用された20代後半から30代女性総合職の上司にあたるのは、ちょうどこの年代の人たちが多い。ほとんどが専業主婦の妻を持つ人たちです。だから「子育てをしながら働く女性」というものに対して、「実感」「体感」としての理解がゼロなのです。

接待費減税というのはこの感覚に共鳴しているのではないかと思います。

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