11/9 非課税の私的年金創設は赤字国債の消化かバブルの再来だけ
政府が、非課税の私的年金創設と打ち上げているが、景気やこれからの日本に必要な社会や経済構造に全く逆行する発想と言わざるを得ません。
今の日本経済の問題は、消費に意欲がなくなっているのか、貯蓄して現金や現金もどきを抱え込んでいるのか、いずれにしても、お金を持っている人たちが消費をせず蓄財ばかりしてしまうことで、金融緩和しようが、財政出動しようが、すぐ元に戻ってデフレになってしまうことです。
私的年金を奨励して、老後に使うかどうかもわからないお金のために、多くの国民に30年40年の貯蓄を奨励しても、成熟社会になった今、社会全体が物不足で購買意欲に満ちあふれているわけではありませんから、運用先のない資金が市場にだぶついて、景気を悪化させるのではないかと思います。
さらには、その運用先が国債と株式や土地への投機ぐらいしかありませんから、国債であれば公共事業か財政赤字の穴埋めに使われて将来の返済圧力として積み上がっていくか、投機であればバブルになるだけでしょう。
そして投機バブルの方は将来的にはいつかバブル崩壊、デフレという経路をたどりますし、財政赤字の穴埋めは終戦直後の経済混乱のように、最終的に日銀札を刷りまくってハイパーインフレで解消するしかありません。
今大事なことは、国民に消費をしてもらうことです。とくに増え続ける低所得者は必要最低限のものすら切り詰めているとしか考えられませんから、低所得者に所得を改善するための施策を打って、そして彼らが安心して消費をする環境を作るという価値基準で政策動員することが必要ではないかと思います(しかしそれをやっても日本社会は大都市部の不動産価格や家賃が上がってそこが富を収奪してしまう問題は抱え続けています)。
また私的年金を育成する政策というのは、公的年金の縮小か、富裕層の蓄財奨励しか考えられません。公的年金の縮小であれば、これから年金を負担する層の意欲を減退させますし、富裕層の蓄財奨励は上記のように社会全体をデフレに向かわせます。
非課税の私的年金創設 政府、金融分野で成長戦略 貯蓄から投資促す
2013/11/9 2:16 情報元 日本経済新聞 電子版 記事保存
政府は金融・資本市場の活性化に向け、新たな私的年金の創設などを柱とする成長戦略をつくる。新年金は米国を手本に税制優遇措置を導入し、1500兆円に上る家計の金融資産を貯蓄から投資へと動かす。年内に報告書をつくり、来年末までに実施に向けた行程表をつくる。金融面で起業や再編を促すほか、アジア進出も後押しする。1998年の金融ビッグバン以来の改革を目指す。
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