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2013.10.26

10/25 公契約条例の全国的取り組みについて勉強してきました

昨日、地方自治総合研究所が主催した「セミナー公契約条例-実践と理論」に参加しました。1日コースの研修で、公契約条例の考え方、効果などをみっちり勉強してきました。

役所が発注する事業の契約で、従事する賃金水準やワークルールを義務づけていく条例を先行取り組みした自治体の事例から、課題を確認しました。

公共工事の価格を下支えするという批判もありますが、せっかく使われる公的な支出が無意味なピンハネに使われたり、劣悪な雇用によって福祉ニーズを創出してしまったりすることのないように、取り組む意義がある、というのは従来の観点でしたし、地元の建設・ビルメンテナンス事業者などの仕事の質を高める効果もある、というのは今回の発見でした。

話の内容は以下のとおりです。

・公契約条例は、公権力の行使ではなく、役所の行う契約内容を規制するもので、契約の考え方を応用して指導から約束として実行を担保させていく前提をきちんと理解することが大事。
・公契約条例を実現する上では、庁内の同意、地域の建設業者とビルメンテナンス業者の合意が重要で、そこが無理解な場合に猛反対されたり、庁内の場合には条例無視の発注が行われてしまう。
・事業者に対しては、ダンピング受注、とくに域外の「ギャング業者」(さらに安く請け負う地方の業者に丸投げしたり、地方の低賃金労働者を連れてきて仕事をさせる)の応札を他にどのように防げるのか、ということに困っている。公契約条例は、実際に払われる従事者の賃金を縛ることで、遠方から労働者を連れてくるようなコスト高なことはできなくなる効果がある。
・地元業者しか入札させない、という公的規制は、①地元に誰もいない支店を置く、②二次三次下請けを他市にやる、③仕事をモジュール化している建設などでは実行担保不可能、などから無意味。交通費や宿泊費負担で経済原理で同心円的に地域の事業者が優位に立つように設計せざるを得ない。
・公契約条例を導入すると、建設業者やビルメン会社は納得してもらえているし、むしろ悪質な応札が減っていることを実感してもらえている。最終的な労働者にいくら払われたがチェックされ、多段階に発注すると業者が損するので、下請けの重層構造はシンプルになっていく。
・公契約条例を入れると、入れない自治体より良質な職人・労働者をその自治体に優先的に入れることになる。
・議員提案だと庁内や事業者に根回し不足であまりうまくいかない。政局議案にすべきではない。首長提案で全会一致を模索すべき。
・入札基準を点数化する総合入札制度は様々な要素が入って効果が薄い。また事前の元請け会社の質だけが評価されるので、その発注がどうなるかは評価対象外。それで改善できる効果に限界が出てきている。
・契約原理を明確化することなので、事業者と役所は対等平等のタテマエになる。役所は土木建築での設計変更を正式な事務として対応していかないといけない。今みたいに途中で仕様変更が発生したのに、「次の発注で悪いようにしないから」って業者を泣かせるような仕事の仕方は許されない。議会もそれに対応する契約変更の議案を出すことが許されないというような姿勢を改めなくてはならない。
・TPPに入っても、すでに加盟国で公契約法など取り組まれているので、非関税障壁という扱いは受けない。

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