9/12 子ども子育て会議の運営関係の議案に反対、平成24年度の福祉・保健行政をチェック~市議会民生常任委員会
11~12日朝霞市議会の民生常任委員会が開かれ審議しました。
分割付託している平成24年度一般会計決算、平成25年度一般会計補正予算のほか、付託されている、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計の平成24年度の決算、平成25年度の補正予算、朝霞市介護保険条例及び朝霞市後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例、子ども子育て会議設置条例を審議しました。
2015年以降の保育、学童保育、幼稚園、家庭保育室など子ども関連の施策を決める、朝霞市の「子ども子育て会議」の提案内容が、①専門領域の議論を深めていくための仕組みが不足、②コンサルタントと市民・市役所・委員との主従関係が不透明、③国から指示されているアンケート調査とその結果にもとづく必要保育サービス量の報告だけに力が入っていて、当事者のグループディスカッションの聞き取りやワークショップの活用などが意識されてない状態での提案、となどが不服で、関連する補正予算、会議設置条例に反対しました。
また決算審査は、終わってしまった会計処理を認める、という単なる会計の適正さを審査するだけではありません。議会は決算を認定しても不認定としても政治的効果はあっても法律的効果はありません。その部分は監査委員の仕事です。議員としてやるべきは、平成24年度の事業内容が目的を達成し効果を挙げているか、事業評価のような面を持ちます。さらには今後の予算策定のための意見ともなります。そのため問題意識を持った事業については、その効果について突っ込んで質疑をいたしました。
各議案の審査・審議内容については下記のとおりです。
①平成24年度一般会計決算 委員会認定(賛成:黒川、石原、星野、遠藤・反対:石川)
〈民生費関係〉
▶社会福祉費
・社会福祉総務費 平成24年 2億7523万7771円←平成23年 2億06358万1871円
地域福祉計画の推進体制について主に質疑しました。推進委員会の会議を開き行政施策のチェックはされたようなのですが、市役所も社協も、どこかの町内会がやってくれるんだろう、という感じで地域福祉の推進にはほとんど労力を使った痕跡が見られませんでした。また民生委員児童委員については欠員が埋まらない状況が続いています。主な増加は障がい福祉担当の職員の増員と、社会福祉協議会の補助金の増です。共産党の石川議員が福祉オンブズマンの検討はどうなったのか、という質疑をしていますが、特になしという答弁でした。
・障害福祉総務費 平成24年 6481万5004円←平成23年 7731万8957円
朝霞地区福祉会、朝霞地区一部事務組合の負担金の大幅減について質疑を行い、各施設の報酬と利用料収入の増加によるものと確認しました。
・障害福祉費 平成24年17億9819万2281円←平成23年15億8063万3005円
主な増加は療養医療給付の創設によるものです。就労支援センターの状況など質疑を行い、雇用開発を進めていることが答弁されています。
・総合福祉センター費 平成24年 1億5436万2161円←平成23年 1億4237万8467円
修繕計画の有無を確認したところ、現在のところはないという答弁でした。
▶高齢者福祉費 平成24年 21億9756万0736円←平成23年 20億3908万3255円
※高齢者福祉のうち介護保険については介護保険特別会計で事業が実施されています。
・高齢福祉総務費 平成24年 17億8453万5998円←16億3829万3568円
シルバー人材センターの就労状況について質疑しました。就労率が80%で頭打ちになっており、その他の高齢者に対する社会参加のアプローチが必要と答弁を受けました。支出の大半は、介護保険、後期高齢医療の特別会計繰り出し金と、後期高齢者医療を運営する県広域連合への負担金です。
・高齢者福祉費 平成24年 4億1302万4738円←平成23年 4億0078万9687円
安心見守りサービスの実施にあたりオートドア設置のマンションでは課題となっています。敬老事業が高齢者を若い人が敬う仕組みになっているのか、という点については、年1回の楽しみだ、というので年1回のイベントしか楽しみがない状況こそ解決すべき問題ではないかと指摘しました。またこれからの高齢者の趣味の多様化のなかでこういうあり方でよいのか、再考するよう指摘しました。高齢者としての外出支援して行われているパスモチャージの家族利用など不適正使用の対策については現在チェックできる仕組みはないと報告を受けています。
※敬老会 芸能人5ステージ525万円3492人参加/対象者16446人(参加率21.5%)
※敬老祝い金 平成24年度 3993万0000円←平成23年度 34940000円
※高齢者パスモチャージ関係 平成24年度2464万6000円←平成23年度2588万8000円
▶児童福祉費 平成24年 72億0445万5995円←72億5999万4760円
・児童福祉総務費 平成24年 7億1378万3539円←6億9621万8053円
児童虐待への対応状況、子育て支援課の人員体制、ファミリーサポートセンターのサポート会員確保、あさか子どもプランの推進委員会の活動状況などを質疑しました。ファミリーサポートセンターのサポート会員の確保には様々な手を使っているが苦労している状況です。
支出増は児童虐待の対応や保育政策に関する職員増と、子ども医療費無料の利用高の拡大によるものです。
※児童虐待相談件数 107世帯 191児童うち身体41件、心理89件、ネグレクト58件、性的3件
※子ども医療費 対象児童1万9050人、支給件数25万7904件 支給額4億4943万7千円(利用者数、1件あたりの医療費、1人あたりの医療費すべて昨年比で上昇)
・放課後児童クラブ費 平成24年 3億6334万4115円←平成23年 3億7107万5543円
放課後児童クラブの保育内容の改善、職員の定着対策、職員への労基法遵守状況、運営マネジメントの体制などについて質疑しました。改善のための協議を進めていると報告を受けました。
※1 放課後児童クラブ運営経費3億0106万0000円-市返還金2525万1282円=2億7580万8718円÷905人=1人あたり年30万4761円 ÷12=2万5397円/人月
※2 県・保護者負担金を除く運営経費 1億2511万4618円÷のべ10150人月利用=1万2327円/人月
※3 放課後児童クラブ職員 約90人の職員中、平成24年は18人退職。
・保育園費 平成24年 29億3007万4667円←26億8632万3127円
待機児童対策の状況、保育所の偏在解消の働きかけの内容、民営認可保育園が延長保育補助金を受け取りつつ高額延長保育料金を徴収していること、公設民営保育園や民間認可保育園や家庭保育室の運営団体の経営情報の把握状況など質疑しました。
最終の待機児童数は減りつつも希望園に転園できない、家庭保育室に受け入れてもらった人の待機を含めると増加の一方で、1歳児、2歳児は最終的な待機児童問題においても深刻な状況である、4~5歳と0歳では夫婦短時間の内職以下の「保育に欠ける」でも入所できている、延長保育料は自主的に設定して総合的に運営してもらっている、経営情報はつかんでいない、など答弁を受けています。
※1 保育関係施設の運営経費(公立・公設民営・民営保育所の運営費と家庭保育室・認可外保育所の運営・利用料負担軽減の補助金計) 平成24年 26億7675万4329円 ← 平成23年 21億8090万9733円
※2 国・県・保護者負担金を除く保育関係施設の運営経費 平成24年18億9637万9454円÷(認可保育園20835人月+家庭保育室3883人月+3~5歳の認可外保育施設2184人月)=7万0492円人月
※3 平成25年度スタート段階での待機児童数 1歳児31人、2歳児10人。2000年以前の定義では、0歳児31人、1歳児180人、2歳児94人、3歳児16人、4歳児2人、5歳児2人。
※4 幼稚園通園児童数が2462人。3歳未満で施設未利用児童と、3歳以上で幼稚園通園児童と、0~5歳の保育所通所児童の比率はほぼ1:1:1の比率となっています。
・児童措置費 平成24年 26億5018万5591円←平成23年 29億4788万1094円
※児童手当子ども手当関連 平成24年 24億2156万0000円←27億1572万4384円
※家庭保育室等関連 平成24年2億2862万5591円←平成23年 2億3215万6710円
3~5歳の待機児童問題が解消されつつあるなかでの認可外保育園への補助金の必要性、家庭保育室の職員確保の状況や市としての対策などを質疑しました。職員確保の困難状況については運営団体から聞いている、3~5歳の年35000円の助成は必要性が続いている、と答弁を受けています。
・母子福祉費 平成24年 3億4576万4229円←平成23年 3億3957万9837円
ひとり親家庭の保護者が看護学校に通学するための補助金の政策効果を質疑し、看護師、准看護師として資格取得し生活水準向上していることを確認しました。
・児童館費 平成24年度2億0241万4854円←2億1891万7106円
毎年、指定管理料を多額に返還させていることが運営団体の自主性を奪っていないか質疑し、全庁的な指定管理料のあり方の見直しが必要とという答弁を受けています。
▶生活保護費 平成24年33億9071万3567円←平成23年 31億0174万3559円
・生活保護総務費 平成24年1億21729万882円←平成23年 1億1707万7313円
・扶助費 平成24年度32億6898万3685円←平成23年 29億8466万6246円
扶助の種類別の内容について質疑しました。失業の離脱への支援などは進みつつありますが、高齢者受給世帯の急増が課題で、将来的に向かっては年金未納者を減らし、無年金者の解消に取り組むことが必要だと確認しています。
※保護世帯の内訳 高齢43.5%→46.8%、母子家庭7.1%→6.5%、疾病30.2%→28.1%、その他19.2%→18.6%
▶災害救助費 平成24年度0円←平成23年33万円
▶保険年金費 平成24年度9億9644万1441円←平成23年度 11億1070万0432円
・国民年金費 平成24年3502万9587円←平成23年 4197万0892円
・国民健康保険事業費 平成24年度9億6141万1854円←10億6872万9540円
※うち国民健康保険特別会計繰出金 平成24年8億3525万2656円←平成23年9億2994万6672円
〈衛生費関係〉
▶保健衛生費 平成24年 29億0029万3325円←平成23年29億5212万8583円
・保健衛生総務費 平成24年度11億5939万8654円←平成23年12億2943万8736円
健康づくり政策の市民参加の状況について報告を受けました。
・母子保健事業費 平成24年度1億5797万3541円←1億5608万3701円
母子手帳交付状況の集約・把握と、妊婦やそのパートナーへの支援体制を確認しました。
・予防事業費 平成24年度4億2419万1396円←4億7150万4081円
予防接種の種類の増加と実施率について質疑し、子ども関係の予防接種は増加、おとな向けの予防接種の接種率は高いものの疫学的な接種率には課題が多い、と報告を受けています。なお、共産党の石川議員から、子宮頸がんの予防接種は副作用への疑惑から控えらたとしても、予防のための保健教育は重要なので継続する必要性があるのではないか、という指摘に対して、予防のための教育は重要と答弁がありました。
・健康増進事業費 平成24年度2億2202万0623円←2億4363万8980円
・保健センター費 平成24年度1085万9523円←平成23年度1470万9319円
・健康増進センター費 平成24年度1億7370万5741円←平成23年度1億7593万4153円
施設の目的から、年間約300万円の駐車場の賃借料を払ってマイカー利用を奨励するより、徒歩やわくわく号利用者への利用料優遇で健康増進を図る必要はないか聞きましたが、やり方が難しいので今後の課題として答弁を受けています。
②国民健康保険特別会計決算 認定(賛成:黒川、石原、星野、遠藤・反対:石川)
資料として年齢層別の疾病別受診者、受診件数、医療費の表を出させ、50歳以降で受診者数に対して医療費だけが急増する腎不全を予防する取り組みが今後は必要と指摘しましたが、保険制度が分立しているなかで健保組合、協会けんぽ、共済組合加入者の予防対策を打つのは難しく、市民全般の保健指導を考えなくてはならない、という答弁です。また市独自のレセプト点検と国保連の点検とどう違うのか、という質疑に対して、国保連は疾病と治療の妥当性、市の独自は同一人物や医療機関を過去現在にわたって審査している、という点で異なるという報告を受けています。
※私も前職までそうでしたが、健康診断の時間を惜しんで一所懸命働くことは今の美学です。しかし将来にはそれで糖尿病の発見が遅れては、退職後に入る国民保険税を高めてしまう効果があります。ぜひ若いときから職場や地域で受診を奨められている健康診断を受けてほしいと思います。
③介護保険特別会計決算 認定(賛成:黒川、石原、星野、遠藤・反対:石川)
在宅介護への取り組みの質を問い直しました。質の維持は業者丸投げの実態が見えてきたので、決算そのものの適正性で賛成はしましたが、平成25年度以降の課題として意見申し上げました。
④後期高齢特別会計決算 認定(賛成:黒川、石原、星野、遠藤・反対:石川)
平成24年度決算から朝霞市民の受診統計データが入手できるようになったので、傾向を把握して若年者への保健指導が可能になったことから、今回から決算承認の賛成に転じました。
⑤一般会計補正予算 委員会可決(賛成:石原、星野、遠藤・反対:黒川、石川)
子ども子育て会議の設置関連予算と、年度初めの予算で新設される保育園の定員変更(+20人)について審査して、子ども子育て会議の補正内容がコンサルタントの委託料と会議委員の報酬しかなく、ワークショップやグループインタビューの経費が計上されていないことなど問題として反対しました。
⑥国民健康保険特別会計補正予算 可決(全員一致)
平成24年度の剰余金を国庫返還金と基金(積立金)とする議案です。義務的な事務処理で反対する理由もなく、賛成しましたが、基金(積立金)は前年度7000万円あったものが1500万円まで減少しています。
⑦介護保険特別会計補正予算 可決(賛成:黒川、石原、星野、遠藤・反対:石川)
平成24年度の剰余金を基金(積立金)とするものです。なおこの基金は3年ごとの介護保険事業計画期間のうちに消化することを前提に計画を立てています。
⑧後期高齢医療特別会計補正予算 可決(全員一致)
平成24年度の剰余金を一般会計に戻すものと、広域連合拠出金に処分するものです。
⑨介護保険と後期高齢医療の延滞金利率の変更 可決(全員一致)
最高14.6%であった介護保険料と後期高齢者医療の負担金の滞納利息を最高9.3まで引き下げるものです。
⑩子ども子育て会議設置条例 可決承認(賛成、石原、星野、遠藤・反対:黒川、石川)
2015年からの保育園、学童保育、幼稚園、家庭保育室の制度を消費税増税の一部資金を使ってがらがらぽんの改革をする国の法律改正にともなう、朝霞市としての計画を立案する会議体の設置条例です。
私はこの考え方そのものに反対ではありませんが、子どもや保護者など当事者、関係者の意見を聞く体制が不十分であること、スケジュール消化闘争になってしまっている子育て支援課の問題を感じました。また、その結果、プレーバーク、子ども大学、ミニあさかなど地域の子ども事業などの位置づけが担保される保障もなく、学童保育の待機問題に方向性も見いだせず、コンサル主導の計画策定になりかねない、として賛成できないとして反対しています。
共産党の石川議員は、消費税増税をともなうこの制度改革そのものに反対という立場から反対されています。
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