6/5 盗作戦略のアベノミクス・規制緩和で保育所不足は解消しない
昨日、アベノミクスの三本目の矢となる「成長戦略」が発表されましたが、その内容は、民主党政権時代を含めての小泉政権以降に提起され、政策効果が不透明ということで却下され続けた政策を、高支持率のドサクサまぎれに押し込んだものです。
あたかも、過去の政権や審議会が主張したものを、自分が発想したかのように宣伝する、戦略を盗作するアベノミクスのお家芸炸裂という感じです。
その規制も本来的な産業の規制緩和より、そこの既得権益は守りつつ、「エネルギー・環境」「保育」「健康・医療」「雇用」「創業」とした社会政策の分野ばかり規制緩和だけを求める、2000年頃からのずれた規制緩和ばかりです。
そこで出てきたものは本当に副作用を考えているのか、国民生活の向上より、ある種の経済学者のイデオロギー的満足感を満たすことばかり考えられているのではないかと思わざるを得ません。
薬のネット販売については、ほんとうにどうするんだろうか、と思うところがたくさんあります。しかし最高裁がやれという判決なわけですから、これも大したオリジナリティがない。とにかくいけいけどんどんというだけの頭の悪い判断なだけです。薬剤師が既得権益、という批判をしているだけ。
後々、副作用問題で国賠訴訟を抱えざるを得ないということ、最高裁判所はそういうリスクについてあまり考慮せずバラバラに判断をしているだけのことなので、どんなことになっても後の祭でしょう。
保育所の株式会社参入を監視するなんてのも愚策もいいところ。保育所は公立保育園でなくてはならない、というイデオロギーと全く同じ裏腹のもので、保育園不足の解消とは全く無関係なものです。
株式会社が保育事業に参入したがっている、という神話にもとづいた誤りで、株式会社が保育所に参入したがる場合は、①配当や内部留保、他の事業をやるより高い役員報酬が見込める、か、②単に保育所事業がやりたい経営者の志がある、ということでしかありませんが、②なら社会福祉法人でもNPO法人でも構わないわけです。①であれば大事な血税を、配当や内部留保、役員報酬に大々的に使ってよろしいという話で、そういうことが自治体内で合意できるのかという問題を全く考えていません。また市民感情からすると、自治体の税金が金儲けに使われている感情的な問題につながり、かえって保育所の整備に関して、大枠から否定論が出てきかねません。
保育園不足に悩んでいる自治体の議員をしていると、経営形態なんかどうでもいい、とにかく子どもを大切にし、不正をせず、事業撤退をしなくて、子どもが減って高齢化したら高齢者福祉に転業する覚悟のある事業者であればいい、と思いますが、株式会社じゃなくちゃ新規参入はダメなんて言ったら、ほんとうに参入してくる事業者が見つからない、ということにもなりかねません。事業撤退と高齢者福祉への転業はなかなか難しいのではないかと思います。
手段と目的が入れ替わって、つまらない経済イデオロギーの呪縛を個別政策の中に持ち込むという過ちを重ねているところが、規制緩和がらみの保育所制度の議論です。
結論からいいますと、保育所の新設は株式会社じゃなくちゃならないなんて政策をやったところで、大都市部での女性の社会進出の数ほど保育所は増えない、と思います。その結果2017年に待機児童問題を解消するなんて目標は達成できません。2000年から2009年までそういう規制緩和で保育政策やって待機児童問題が悪化してきたんですから。
保育所を増やすのはやはり圧倒的に補助金の力なんです。儲からない公益事業を推奨するには、具体的な行動を促す政策が必要です。
●昨日、保育担当課長と意見交換しましたが、公立で保育所を作れる補助金制度や交付税が増額される制度があれば、民間参入をまたずに公立保育所を作ったり増築して解決できるんだが、とぼやいていましたが、神の見えざる手じゃ保育問題は解決できないんです。誰かの見える手で解決しなければならないのです。
●経済再生のためには内需が必要だし、そのためには、消費できない人たちへの雇用と所得の再分配が必要なのですが、安倍政権はリフレ派に依存し、日銀で何とかなるというだけの政策なので、結果としてうまくいかなくなり出すと、いつもの自民党政権のとりまき経済学者の言いなりで、自民党の利害の少ないところで規制緩和を打ち出して、こんなことになるのだろうと思います。無視されて話が変わっていくことにつきあわされる当事者にはいい迷惑です。
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