6/22 個人情報保護法の考え方だけが正しいと思っている世代は政治的合意から疎外されてしまう
東京都議会議員の選挙運動も終わり、私はご縁のあった方の応援をいたしましたが、あとは投票→開票を待つのみです。
この都議会議員選挙では、杉並、足立などの保育園ふやし隊の行動がインパクトを与えた直後とあって、保育園に入れない待機児童問題が重点政策として急浮上したなかでの選挙でした。
そうしたなかで、保育園ユーザー世代が選挙に行かないと保育園政策は実行されない、という危機感があり、保育園関係の運動をしているリーダーたちからtwitter上などでさかんに投票をよびかけるメッセージが行われました。ずっと保育園問題の政党間合意による解決を求めてきた私には、この展開に喜びつつも、しかし半歩前進にとどまると予感しています。
というのも、投票箱に入ってしまった票のうち、世代ごとにどこに投票されたのか、まったく因果関係の見えない開票が行われる(もちろんそれでいいのだが)限り、本当に保育園政策を重点化したことが、得票増につながったのか見えないだろうからだ。さらに、今回は、ヨーロッパやアメリカなら保育所を否定するはずの新自由主義的な主張をする政党までもが待機児童問題の解決を重点政策として挙げており、争点としては無意味になってしまったので、いったいだれが待機児童問題を重点政策化して勝ったのかよくわからない状況になっているのではないかと思います。
そうなると、各候補者陣営が、どれだけ保育園利用者、あるいはその利用者予備軍とつながっていると理解できるかということになりますが、保育園入所の個別の便宜を要求してくる有権者以外は、なかなか政治家の事務所に住所まで含めて登録されていないし、たとえそういう奇特な方がいても、保育園政策を動かしてほしいから支持しましょうとなっても、保育園の保護者名簿がなかなか配布されないなかで、保護者どうしで政治家を紹介するという展開にもなりません。さらに今は電話帳もほとんどの人が非公開にされているので、そういう横に広がっていかない仕組みになります。
一方、高齢者世代は、個人情報保護法によるパンドラの箱を開ける前から存在する、電話帳や町内会名簿、子どもの学級名簿でつながっていて、見える票となって存在し、政治家自ら、高齢者の家に訪問し、御用聞きをするという関係があり、それは保育園利用者世代とは太刀打ちできないのです。
じゃあ政治力学的にどうしたらよいのか、頭の痛いところです。
●そんなことを考えた理由① 応援した都議選の候補者陣営が持つ個人名簿の大半が高齢者で、個人情報保護法以前の時代に名簿を共有していた人たちでした。もちろん応援している候補は、子育て真っ最中なので保育園政策を緩めるということではありませんが、これが育児と無関係に政治活動できる候補だったら優先順位変わるだろうなぁ、と思いました。
●そんなことを考えた理由② 20日の市議会一般質問で、小山議員が、地域コミュニティーの再生のために、町内会名簿やクラス名簿を作り配布することは個人情報保護法の規制にはかからないのだから、名簿を作って人間関係を強める方向で、運用を変えていけないか、と質問しました。町内会担当課の部長は、「町内会のなかで諒解を取って名簿作成をした方がよいとアドバイスしてみたい」というような答弁に対して、学校担当の部長は「不安な条件が多く、今は緊急連絡網の電話番号簿しか作っていない」と答弁、トラブル回避から作るつもりがない、という答弁を続けました。
その日の会議終了後、教育長、学校担当部長と小山議員、私で議場に残り、少しやりとりしましたが、教育委員会側は、いじめや詐欺利用、保護者間のトラブルなどを心配して作りたくない、という考え方を示し続けました。一方私は「年賀状のやりとりもできないし、卒業後、同級生の連絡がつけられなくなる、同窓会は開けませんよね」と言うと、教育委員会側は少しハッとした感じになっていました。
選挙コーディネーターをしている知人と話した折、そんな顛末をやりとりしたら「最近、20代の候補者の支援をしたのだが、その候補者に、同級生の名簿、一つももっていなくて、連絡がつけられない、地元にいるかいないかもわからない、と言われてびっくりした」と言われ、そういうことなんだろうと思いました。
個人情報保護のあり方が、若者の社会参加の手段を奪っているんだ、社会参加の世代間格差はこういうところに原因があるんだ、と認識しました。
| 固定リンク
コメント