4/14 さいたま市自民党が保育所待機児童対策のための面積基準の緩和改正条例を提案
自民党さいたま市議団が、深刻なさいたま市の保育所不足に対して、保育所に必要な面積の緩和を行う条例改正を提案することとなり、議会招集権者である市長に議会開催を要求している、という報道がありました。
さいたま市議会ホームページ、自民党さいたま市市議団のホームページのいずれも提案内容について確認できないため詳細はよくわかりませんが、マスコミの報道の範囲で判断して書いていることを予めおことわりした上で、私はこの条例案について修正や附帯決議を行い可決すべきと考えます。
民主党政権時代の地方分権策として、待機児童問題が深刻な大都市圏の自治体に対して、必要な面積を一部緩和する法改正にもとづく政策変更の提案で、さいたま市も対象地域であり、法的には問題ないと言えます。しかし、こうした面積基準の緩和の提案について評価は分かれると思います。保育の質を問い、長年、認可保育所の保育環境の向上をめざして運動を取り組んで来た人たちには反対の声が強いと思いますし、一方で地方分権や規制緩和に原理主義的に取り組んでいる方には、そんな規制自体がナンセンス、という考えもあろうかと思います。
私は基本的には保育環境の向上に取り組む前者の立場ですが、しかし丸7年、待機児童問題の当事者でもあり、利用していた認可外保育所と認可保育所の環境の格差も見てきました。認可保育所を利用できないことが、どれだけ家庭に負担になっていることか、また公的に位置づけられた保育所に入所することがまずは保育保障の基本だろう、と考えると、まずは認可保育所にできる範囲で入れるような政策が必要だろうということで、今回の自民党さいたま市議団の提案について基本線は必要なことなのだろうと考えています。
その上で、保育の質、保育環境の維持・向上のために、詰め込み保育と言われないようにするために、、
① 地域別、年齢別の中長期的な保育需要、つまり将来推計人口の6歳児以下人口×保護者の共働き率など簡素な計算でも構わないので保育需要を計測する。
② 広いさいたま市の待機児童問題と一口にいっても、地域、年齢、保育時間によって大きく異なると思いますので、そもそも待機児童問題が発生していない地域、年齢に対して緩和措置をさせないこと。
③ 現在、保育所の増設に力を発揮している子育て安心基金によって、1ヵ所3000万円程度の市町村負担で保育所を新設できるので、保育所新設が見込めないのは新設コストよりも土地確保や事業者確保などの課題があると思われるので、そうした障害がないのに将来的にも保育需要が明らかに見込める場合は、認可保育所の新設・増築を模索すること。
④ ②③の条件にはまらない場合に、一時的(将来的に保育需要が低下するか、保育需要は下がらなくても保育所増設を見込める地域・年齢)、例外的(保育需要が低下しないのに保育所用地を確保できない地域・年齢)に限定してこの条例の目的とする必要面積の緩和を認める。
といったようなことを自民党以外の会派は、条例修正またはそれが難しければ附帯決議で織り込んでいくことが必要ではないかと考えています。あんまり原理主義的に全会派が、丸呑み賛成か全面反対かでやっていると、どちらも副作用が大きいと思います。
●埼玉県内はいずれも地方交付税の基準財政需要額水準の行政サービスしかできないはずなので、自治体財政が潤沢な東京都内の論理にふりまわされないよう留意して現実的解決を図るべきです。
●従来、こうした議案は行政からの提案ばかりだったと思いますが、こうした議員提案が出てくることは、内容の是非はともかく機能する住民自治に向けた、自治体議会発の問題解決として重要だと思います。また自分自身にふりかえっても、議員提出議案による政策実現は、私の能力開発の課題だと認識しています。
●保守系自治体議員は、保育所政策に後ろ向きな意見をされる方が少なくありませんが、社会構造の変化に対して正面から受け止めて必要なものは必要として政策提案をしている自民党さいたま市議団の姿勢については評価したいと思います。
待機児童問題 「保育所の定員増を」 2013年4月13日東京新聞
保育所の定員を増やして待機児童を減らそうと、自民党さいたま市議団は、市内の保育所の設備基準などを定めた市条例の改正案をまとめ、十二日に公表した。今月中にも開かれる臨時市議会に提案し、可決を目指す。
改正案では、二〇一五年三月末までに限り、乳児室または、ほふく室の面積について、満二歳未満の幼児一人につき二・五平方メートル以上(現行条例では三・三平方メートル以上)とし、保育室または遊戯室については、満二歳以上の幼児一人につき一・六五平方メートル以上(同一・九八平方メートル以上)に緩和する。施行日は今年八月一日とした。
市議団によると、基準緩和により、市内の認可・認可外保育所の定員は二割ほど増える見通しだが、定員増に見合った保育士を確保できるかが課題となる。同様の条例改正は、東京都や大阪市が既に行っているという。
市議団の議員十八人は十二日、清水勇人市長に臨時会招集請求書を提出した。地方自治法は、議員定数の四分の一以上から請求があれば、市長は二十日以内に臨時会を招集しなければならないと規定。さいたま市議会(定数六〇)で要件となる十五人以上を満たしたため、臨時市議会が開かれることになった。(増田紗苗)
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コメント
ご意見に反対です。
なぜなら、いままで待機児童問題や保育の問題そのものに無関心だった自民党が、急に動き始めたのは、5月にある市長選挙で現職を落としたいためだからです。
現職市長が活発に事前運動を行っていることに対して、物申したい自民党が、それだけでは臨時議会を開けないので、「待機児童の問題を口実に」と自ら話しています。
自民党がまったく本気でないことは、今回の条例改正案が、2年弱(平成25年度末まで)の時限つきであることからも分かります。
基準を緩和して「とりあえず入所」したのち、2年後に「基準がもとにもどりますので退園してください」となるのですか?あまりにも無責任すぎます。
投稿: 2児の母 | 2013.04.17 00:07