« 3/29 市長提出議案の全てが可決…3月定例市議会 | トップページ | 4/12 「金融緩和の罠」 »

2013.04.11

4/10 抜け穴節税の温床・政治献金の所得税控除を廃止せよ

少し間があいてしまいました。

大阪で、自分が自分の政治資金団体に寄附をするのに、所属政党への寄附を間にはさんで迂回献金をすることで、所得税の寄附控除を受けていたという事件が明らかになっています。こうした税還付を目的とした迂回献金をした議員の所属政党では「あってはならないことだ」と倫理的問題にしていますし、マスコミはこれを違法かどうか断定したがっていますが、私はそもそもの政治献金に対して所得税控除をして奨励する制度を考え直さなくてはならないのではないかと思っています。

政治資金への寄附をどうして税控除しなくてはならないのか、自分の収入から好きで政治献金することに、税金を控除して奨励しなければならない意味があるのか、疑問です。

かつては公共事業のバックマージン的に政治献金が還流しているという噂が絶えなくて、そのために公共事業の発注価格が高かったことや、政治資金の黒い噂がたえないということで、政党ぐらいは公的な存在なのだから政党助成金を始めて、政治家や政治家の後援会に対する企業団体献金を禁止し、企業団体には政党にのみ認めた献金においても厳しい上限額を設けてきました。その代わり、政党助成金が創設され、政党助成金に依存などと言われながらも、一方では汚いカネの誘惑を断れる政治活動が可能になっています。

ところが最近、政党助成金をめぐってはこうした経緯をまったく無視した感情的な批判が強く、廃止せよ、減額せよ、身を切れという批判が強くなっていますが、私は過去の創設の議論の経緯をふまえ、また現実の選挙資金の減り方を見ていると、選挙制度の改革と政党助成金の創設が効いている、と認めなくてはならないように思います。

そうして無駄に見えやすいけど政治家が変なお金にたかることを防いでいる政党助成金が攻撃の矢面に立つ一方、政治献金の税制優遇については、全く誰も批判しません。
しかし、これは好きで、かつ特定の政党や政治家にやっている政治献金を、税金を返すことで奨励しているわけです。そしてその還付額は、累進税率の高い人に有利になる制度で、政治的影響力の所得格差を是認している制度になるわけです。

寄附控除がそれでも純粋な寄附の奨励だけに使われ、献金として運用されるなら、それは一つの社会合意の結果として認めなければならないと思います。しかし領収証一枚で税金が還付されるということで、カラ領収証を発行して還付された税金を政治家と寄附(したことになっている)者と折半して受け取ったり、議員どうしで報酬の全額をお互いの政治団体に寄附しあって税金を取り返したりするような事件もありました。また、今回のように迂回献金で自分の政治団体に対する政治献金の一部を税控除したり、税負担の公平性という法の考え方からすると、違法かどうかはともかくまともではないことが行われるわけです。
そしてその控除も、下部組織を含む政党と国会議員、都道府県知事、都道府県議会議員に限られており、政治家間の不公平も存在します。

そうしたことを考えていくと、政党助成金の廃止よりも、所得税の政治献金の寄附控除こそ問題だらけで廃止すべきと考えています。

●政党助成金の問題は、政党が公器である、という自覚とそのための運用がなされていないことの問題だと思います。主に選挙対策と思われるような組織運営経費に使われ、欧米の近代政党が持つ、政党シンクタンクのような知的資源を運営する経費がほとんど見られません。したがって、大した知恵もない陣笠代議士が群れて公然と党の方針に反対されると、路線論争や政策論争ではなくて、党首の座をめぐる、大臣ポストをめぐる政局しか起きないのではないでしょうか。
こうしたことでは民主党が批判されていますが、他の政党も含めて、その政党が政党たらんとするときの政策が、どのような理念にもとづき、何のために行われ、どのような効果があるのか、まったく整理された経緯がなくて、こっちよりあっちがトクだみたいな議論しかされてこなかったことが問題だと言えます(政治献金の寄附控除制度もそんなものです)。

●ちなみに私は政党所属議員ではありませんし、市議会議員ですから、政党助成金のおこぼれもありませんし、私の後援会に対する寄附金は税金の控除を受けられません。よく浄財だけで政治活動をやれという方(革新政党支持者に多いのですが)がおられますが、嫌がられながらも振込用紙を年一回、議会報告に同封する程度で私の努力不足もあるのかも知れませんが、全政治資金のうち、献金(もちろんすべて個人献金)は2割程度です。それでも市議会議員にしては多い方ではないかと思っています。

●私への寄附をいただいた方が何の見返りも税控除もなく、私の政治的主張や考え方、ときには(あんまりいいとはおもっていませんが)人柄を見て寄附していただいた志ですから、ありがたく大事に使っております。主に朝霞市民のみなさんを中心に、私の議会報告の印刷・発送に使っております。

自民と維新の衆院議員3人、迂回寄付で税還付


.


 自民党大阪府連会長の竹本直一衆院議員(72)(比例近畿)が2011年に自身が代表を務める自民党支部に計500万円を寄付したうえで、全額を同支部から自らの資金管理団体に寄付し、資金を還流させていたことがわかった。

 政治家が自らの資金管理団体に直接寄付した場合は所得税の還付が受けられないが、竹本氏の事務所は政党支部を迂回うかいさせて税還付を受けたと認めており、還付額分の利益を得ていたことになる。

 読売新聞の取材に対し、竹本氏は「自分は知らないので秘書に聞いてほしい。(政治資金)監査を通っているので問題はない」と話している。

 また、日本維新の会国会対策副委員長の馬場伸幸衆院議員(48)(大阪17区)と、同党の井上英孝衆院議員(41)(大阪1区)も、自民党の地方議員だった当時、代表を務めていた自民党支部を迂回し、自らの資金管理団体などに寄付金を還流させていた。寄付額は馬場氏が堺市議だった05~10年に計1225万円、井上氏が大阪市議だった09年に100万円で、馬場氏は寄付に基づいて所得税の還付を受けたことを認めた。

 日本維新の会の松井幹事長は10日の記者会見で、迂回寄付を禁じる政治資金規正法改正を目指す考えを示した。橋下共同代表は同日、「政党に寄付して税金を安くするのは、節税じゃない。政治家がやっちゃいけないことだ」と話した。

(2013年4月11日10時04分 読売新聞)

|

« 3/29 市長提出議案の全てが可決…3月定例市議会 | トップページ | 4/12 「金融緩和の罠」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 3/29 市長提出議案の全てが可決…3月定例市議会 | トップページ | 4/12 「金融緩和の罠」 »