3/7 パスポート申請・交付が市でやらされる問題
海外に行かないので、自分のまちにふりかかってくるまで考えてもみなかったが、パスポート申請・交付事務を県から市町村に移譲することになっていて、朝霞市でも来年度予算で10月開始を前提に予算案に組み込まれています。
しかしよく考えると、どうよ、と思うことばかりで
1.県の事務を押しつけられているだけではないか。経費に対する県の補助があまりにも低く、市町村は県の行政改革のつけまわしをさせられています。朝霞市はそのために、申請チェックのために常時3人の職員を配置しなくてはならなくなります(3人新たに配置させて、県からの交付金は140万円弱に初年度加算で90万のみ。申請事務の職員を年収45万円でフルタイムで働かせるように雇えというのですかねぇ)。
2.現在、埼玉県のこの地区は川越駅の上のパスポートセンターで交付を受けているが、そこまで電車で20分、電車賃で往復600円に過ぎません。そのコストを考える、年間5000人の申請者のためにいくら使うことになるんだということが出てきます。極端な話、パスポート申請した市民全員に電車賃をプレゼントしても、県のセンターを使ってもらった方が朝霞市にとっては合理的です。
3.そもそも国の事務を県がやらされていることで、さらにそれを市町村にやらせるというのは、事務の複雑化以外何者でもないように思います。
4.県のセンターであれば、パスポート審査だけに特化できますが、朝霞市ぐらいの規模の市町村の窓口だと、住民票交付や印鑑証明の交付など並行して行うことから、仕事として混乱するし、専門的なチェック能力は低下せざるを得ないように思います。
5.テロリストや犯罪集団の脅威へのディフェンスという観点では非常に弱くなるのでなはいかと思います。県がやっていることだから、官僚的にお役所仕事的に不備の申請を門前払いできていますが、顔の見える市町村職員が強い圧力を受けたときにどこまで抗しきれるのか、不安です。
6.市の他の事業との相乗効果は見られません。保育園や介護施設の設置認可の権限移譲みたいな話とは全然違う、別の仕事がポンと地方分権の名前を借りて降ってくるだけという感じがしています。
7.申請書をチェックして送り、パスポートを受け取って市民に渡すという業務が県の事務の両端で市がやることになるので、申請から発行のリードタイムが延びます。
その割に便利になるのは朝霞市に日中いる人だけで、勤務地によっては今より申請しにくくなる人も出てきます。外交に関する事務ですし、そこでえた情報を市町村が勝手に使って何かできるというものでもないのですから、自治体にさせるべきものなのか、疑問です。
コミュニティーとしての自治体には、コミュニティーの業務の分権をしてもらいたいものです。
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