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2013.03.27

3/27 今頃裁判所が一票の格差で選挙無効を言うなよ…

一票の格差が2倍以上開いているからと違憲判決が相次ぎ、なかには選挙無効を宣言するものまであります。
メディアも法曹界もやったやったという雰囲気ですが、私は少し待てと思っています。

私は高校生のときに、政権交代がおきないのは選挙制度のせいと本気で思い込んで(後でそれは誤りとわかりますが)、1980年代末の定数是正の議論を追いかけて調査したことがありますが、その時代の一票の格差など、4~5倍はざらでした。
13万票取って落選(1983年千葉4区染谷誠候補、1986年竹村泰子候補)する人もいれば、4万票ちょっと(1983年新潟3区桜井新候補)で当選できる不公平さを、裁判所はほとんど違憲判決を下さず、ましてや無効などありえない、という扱いをしてきています。当時は中選挙区制で、選挙区の現職のうち落選するのは1~2人しかいないため、どうしても現職議員が選挙区の定数変更に否定的になりがちだということがあったのだと思います。選挙区をいじらず、定数不均衡の上と下を1つずつ移動せさるような調整を続けたので、なかなか抜本的な変更ができなかったため格差は広がる一方でした。

それにかえて今の選挙区制度は、47議席を各県1議席に配分して、残り253議席を県別人口で比例配分するルールが確立されていることと、高度成長期と異なり激しい人口移動がないことなどから、中選挙区制時代に比べて「格差を放置」している度合いは少なくなっていると思います。各県1議席を上積みしている制度が、どうしても2倍以上になる原因になっていますが、現在では中選挙区制時代のように著しい当選者の最低票と、落選者の最高票が大きく逆転する事例は解消されつつあります。

そういう意味では、裁判所が「格差を放置」などと断罪するのはどうなのでしょうか。高度成長期の一票の格差を放置したのはその頃の定数不均衡に関する裁判で、甘い判決を下し続けた裁判所の責任は大きいのではないかと思っています。

●ちなみに選挙制度をいじって政権交代が起きるかどうかの検証結果ですが、1986年の選挙結果で言えば社会党が86議席が140議席になるのがせいいっぱい。それでも政権交代は起きません。1989年の選挙結果に至っては、社会党が140議席が165議席ぐらいにしかなりません。選挙制度の問題は少なくありませんが、それだけでは政権交代はおきない、ということを確認した次第です。

●一票の格差を縮めていくと、どうしても都会ばっかり議席が増えることになります。都会に議席をたくさん渡せば、どうしても地域間格差の痛みを理解しない人の声が大きくなり、地方交付税を削れ、規制緩和をしろという人の政治的発言力が強くなります。したがって、一票の格差を縮めろという運動は、かつては社会党シンパや新自由クラブシンパの弁護士が多かったのですが、今では、こうした裁判は新自由主義者がたくさん応援しています。

では地方の議席配分を手厚く盛るということですが、それに合理的な手法がありません。しかし明らかに地方と都会では政治に求める具体的な期待の有無の差は大きいものがあります。
私は、その差は投票率にあると見て、前回総選挙の総投票数で衆議院議員の議席配分を行うのは1つの手段じゃやないかと思います。そこに住んでいる有権者や人口によって自動的に議席を与えるのではなく、積極的に投票に行った地域には議席を手厚く盛る、棄権者が多いところにはそれなりにしか議席を配分しない、という方法です。

●一票の格差よりも、選挙運動の不自由さの方が政治的自由をめぐる人権弾圧であり、憲法問題を抱えているように思いますが、そうしたことをきちんとやっている弁護士は自由法曹団しかいません。自由法曹団を顧問に抱える政党が選挙の現場でやっていることは、違反告発合戦の主人公だったりするし…。

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