1/26 神戸市でパート労働法のお話をしました
26日、自治労兵庫の臨時職員の組合員のみなさんのお招きで、神戸市でパート労働法の初歩的な内容についてご説明してきました。
パート労働法は、パートやアルバイトなど時間給や短時間労働をしている労働者を保護する目的で、均等待遇、均衡処遇、福利厚生や身分的な差別取扱禁止、苦情解決機関の設置などを求めた法律です。この法律によってただちにパートやアルバイトの格差がなくなるということはありませんが、雇っている人たちに、仕事のバランスに応じて、格差をなくしていくことを考えなくてはならない法律になっています。
現在、自治体の臨時職員・非常勤職員にはパート労働法が適用されていませんが、自治体の臨時職員・非常勤職員の職場の多くは、公権力の行使ではなく、役所が実施した方がよいサービスに従事するサービス労働者であり、パート労働法を適用しないことの方が不自然なところもあります。自治体職員行政の法解釈を握っている総務省も2011年、2012年で地方自治法や地方公務員法と矛盾しない範囲という前提で言っているのだと思いますが「パート労働法の趣旨」を自治体に知らせていく、と言っており、これからはパート労働法を全て無視することはできないということになっています。職場での差別解消や、休憩室の整備、職務範囲に応じた研修権の確保、休暇の実現などについてはパート労働法は効果がありますし、公務といえども実現しない理由はないと思います。
現実に民間企業におけるパート労働法の適用される条件や、メニューについて簡単にご説明してきました。
しかし一方で、賃金面で活用するにはまだ難しさがあることも話をしています。
パート労働法がめざす均等待遇を実現していくには、大きな壁があり、年功序列賃金との整合性が問われます。たとえば、40歳勤続3年の自治体の臨時職員が、どのくらいの時給単価にあわせるべきなのかは、高卒3年目なのか、大卒3年目なのか、学校卒業後ただちに入職した40歳職員なのか、議論が分かれます(多くの自治体では毎年更新なので高卒初任給の時間割の金額以下の金額で毎年固定しています)。
年功序列賃金は、入職~10年ぐらいにかけて生産性との対比では我慢の賃金を強いているので、そこにあわせれば今よりは良くなったとても、それだけで生活できるパート賃金になりません。逆に、40歳や50歳の賃金にあわせれば、無制限な会社への忠誠を誓っている人たちと同じ期待がされてしまい、パート労働者の多くの実態である職務が限定された労働力としての妥当な対価にならない面もあります。
そのため、「均衡」という概念が作られ、職務とのバランスを取るというところが到達点として法律には示されているということをお話しし、そのなかで個々の職場に埋没して均等待遇を求めるのではなく、職種・職務ごとに地域で標準賃金を作っていく努力が不可欠で、それは個別の組合ではなく産業別組合としてたたかう必要がある、と話してきました。
また臨時職員や非常勤職員の定義である、「一時的・臨時的」な業務への採用という定義をしていることがあてはまらない職員も増えていて2~5年ごとにあらゆる職場を異動して出世していく正規職員が「恒常的・総合的」業務に携わるのだとすれば、臨時職員や非常勤職員のうちに「恒常的・専門的」業務に携わる実態にあり、そうした現実を受け入れた、労使とも対応が必要ともお話しました。
均等待遇を理解するのに、日本の賃金や雇用慣習の特殊性を理解する必要があり、そのためには、濱口桂一郎さんの「日本の雇用と労働法」を読んでみることをおすすめしました。
| 固定リンク
コメント