12/7 補正予算を福祉や医療の観点から審議 民生常任委員会
7日、市議会民生常任委員会が開かれ、
・補正予算案2本(一般会計の一部と介護保険特別会計の全部)
・総合福祉法関連の条例改正
・市営の特別養護老人ホームの定員変更
・介護施設関連の新規条例3本
を審議しました。
①補正予算案については、かなり深く突っ込んだ議論が行われました。
地域経済対策事業で細かい発注以外のものとして、
・介護保険財政への追加投入
・障がい者の外出支援等のサポート
・障がい者介護等の負担金
・家庭保育室保護者負担金軽減
・児童扶養手当
・三種混合からポリオ不活性化ワクチンを加えた四種混合への変更につもなう追加
などで追加財政投入が提案されています。
・介護保険への追加財政投入が必要になっている背景には、在宅介護のヘルパー利用が予算を下回っている一方、施設介護が伸び、しかも市外や有料老人ホームなど、市が低めに予想していた施設利用の伸びが著しいという状況が見えてきました。
こうした状況は問題ですが、さりとて介護保険の財源のバルブを閉めることは危険なことなので、賛成しましたが、予算案とは別に、在宅介護の真剣な育成が不可欠です。
・障がい者の外出支援の利用は、増加傾向です。財政的には大変なのでしょうが、障がい者が外出できないということは人倫にもとる話で、こうした施策を積極的に進めることは大事なことだと思うので賛成しました。あわせて、他部署と連携して、公共施設や交通機関以外のバリアフリー以外のたちおくれたバリアフリー、民間のサービス業に対するバリアフリーの普及、行動をどう引き出していくのかが課題だと指摘いたしました。ちなみに、朝霞市では障がい者1人年間150時間までの外出支援をつけているといいますが、障がいの内容によりますが、私たち外出の支援の必要のない人の外出時間からみると、まだまだ少ないと思っています。
・家庭保育室の保護者負担軽減の予算の追加については、私も利用してきたのでその意義を感じています。しかし一方で、定員では毎年250人ずつ、認可保育所の新設を進めている中で、家庭保育室をこれ以上呼び込むような政策は矛盾をきたさないのか、指摘しました。朝霞市は建築物の高さ規制を導入して以来、マンションの新築が限られるようになり、人口が安定期に入ってきています。これから保育需要の動向が曲がり角に来る時代が必ずやってくるなかで、家庭保育室をどのように位置づけていくのか、真剣に考え始める時期に入ったと思います。
・児童扶養手当については、離婚する人のモラルに絡めて、何かと政治的圧力が加えられやすい支出です。しかしそこを追い詰めても子どもにとっても当の本人にとってもいい解決にはならず、それは自治体の負担になって返ってきます。彼らの支援は不可欠です。その上、良質な雇用があれば、ひとり親が増えて何とかなる部分があるのですが、収入のある仕事は残業が避けられず、残業がない仕事は収入が少なく、長時間保育も限定的で深夜夜間保育などないという環境のなかで、どうしてもひとり親たちは児童扶養手当がなければやっていけないところにおかれています。これはこれとしても、他部署と連携し、市の発注を通じて、市内に良質な雇用を生み出す努力などしてほしいと質しました。
・平成24年4月生まれ以降の市民は、四種混合に移行するので三種混合で確保している予算に上乗せする追加予算です。ほとんどの子どもが四種混合に移行する平成25年度末までは、三種混合+ポリオ不活性化ワクチン接種と、四種混合を併存させ対応していくということです。
予算案については、2本とも全会一致で委員会可決しました。この可決は福祉・医療分野の補正予算についての承認ということになります。
また介護保険特別会計の補正予算については、当初見積と実績の差異から、追加予算が必要となっているもので、法律や条例で定められている国、県、市町村、利用者負担それぞれを歳入として、施設介護や予防給付を中心に追加するもので、これも全会一致で委員会可決しています。む
②総合福祉法改正に関連した条例改正ですが、これは参照している法律の条文番号変更をする程度の改正なので、大きな質問はしませんでした。これも全会一致で委員会可決しました。
③介護施設の定員増については、基本的に賛成しつつも、入所すれば終の住みかとなる入所者にとって、相部屋が基本で面積も少ないというのは切なくなるし、中長期的にはこれでいいのかという問題ではないかと指摘いたしました。これも全会一致で委員会可決しました。
④介護保険施設関連の条例3本は、国の地域密着型の介護施設の認可基準設定が市に移管されてくるのにともなって作られる条例です。私は、国が守ってきた基準を踏襲し、不利益にならないようにしたということで異論はないが、社会福祉法が努力義務として求める第三者評価と苦情解決の仕組みについて盛り込まれていないのは残念と指摘しました。行政からは、第三者評価については、介護施設に関しては、法律にもとづき県の認証した機関で行っているので実質的な問題はないと答弁されました。一方の苦情解決は、引き続き、自発的に仕組みを持つ施設以外は、埼玉県庁や国保連合会という浦和に行かざるを得ないことは課題となっています。
議案の審議の後、途中、地震による中断をしつつ、継続案件になってきた2本の請願審査が行われました。
1本目、新日本婦人の会朝霞支部から提出された、子ども医療費の無料化に関しての請願については、提出されて1年経過するので採決すべきとする私と石川議員に対して、継続審査にすべきという3人の議員に別れ、採決で次の3月市議会に送られることになりました。
私は無料化を実施するのは構わないが、①財源論をしっかりすること、②財源論に無理をして実施する場合は、慢性疾患やぜんそくなど受診回数が多くならざるを得ないような症例から優先的に実施すること、③公的な医療保障の水準が高いスウェーデンやドイツでも1回1000円程度の自己負担が行われており一切の自己負担なしということの医療行為への患者としての権利や受診責任の自覚の形成をどう考えるか、という論点を話しました。
これについては当委員会の多数意見が先送りという結論になっている中で、来年2月の市長選で市長マニフェストになるという噂話もあり、①財政危機のなかで他の施策に犠牲が伴わないのか、②議会の議決を保留している中で行政の長の公約として既成事実を形成させてしまっていいのか、可否いずれにしても今議会で結論を出すべきではなかったのか、と感じているところもあります。
負担能力のある保護者も医療費を無料にすることで、好きこのんで外出できない状態になったわけでもない障がい者の外出支援や介護みたいなところに思うように予算がつけられないなんて、価値観が逆転したことが起きなければいいなと思います。
2本目、年金者組合から提出された年金引き下げ反対の意見書提出を求める請願については、審議の冒頭、石川議員から9月議会におけるこの請願の処理のまずさと、その後の対応について改めて問題が指摘されました。その後の対応の部分についてどう展開したのか事実確認をしてから採択を判断した方がよいということで、これも継続審査となっています。
●予算案の審議をしていて毎度思うのですが、行政側は、通してほしい予算の積算根拠を示す資料や、支出の必要性を示す所見、国の役人が作るポンチ絵みたいなのでもいいですから、議員が必要性を認識できる資料を、会議の席で言われるまで提出しないのでしょうか。不思議に思います。少なくとも専門分野にないトップレベルの人たちへの承認を得るためには、何か書いているんじゃないかと思いますが。
また、そうした資料を先回りして提示するだけで、事実確認程度の質問時間が圧縮でき、行政側も早く職場に戻れるわけです。過去の予算額の検証なんかを質問を通じて行うと、どうしても紙を見て理解するより、一次元的な情報入手になりますから、話もわかりにくくなります。
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