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2012.12.19

12/18 大規模災害での居住権の回復には、日頃から地域で住宅建設する経済のしくみが必要

Dscn1692昨晩、法政大学五十嵐敬喜先生のゼミが主催した「福島県の震災復興と原発への対応」という題で、福島大学鈴木浩名誉教授の講義を聴く機会がありました。

鈴木先生のお話
野田首相が昨年12月16日の原発事故終息宣言は臭い物にふたをしたもので憤っている。
仮設住宅が、それを供給してくれるプレハブ建築協会との協定で、プレハブ一本槍で被災した地域の大工や建設従事者を活かせないという問題意識を持っていたが、東日本大震災においてはプレハブ住宅が供給しきれないというところから、福島県は、福島県内の事業者、福島県産材や労働力を活用することを前提に、建築資材を再利用できる木造仮設住宅を4000戸建設した。また高齢者を支援できる「地域高齢者サポート拠点事業」の適用の仮設住宅も10ヵ所2000戸設置した。
福島でこういうことが可能だったのは、2008年から福島県は住宅建設と材料確保を地産地消でできる仕組みを模索してきたからだ。
災害救助法の現物給付は、物不足の時代の産物でこのことが被災者の多様な生活状況に応じた生活再建を阻害しているし、救助に使われた住宅など使い捨てになるので無駄が多い。
震災を受けて、地域の工務店が住宅を建設しメンテナンスする関係性を残しておくことが重要。震災発生後、山間部で木造応急仮設住宅を地域の材木店や工務店を動員して提供した岩手県住田町の事例など参考にすべきだ。
全建総連、工務店団体、建築士連合会などでこうした取り組みは始まっており、災害時の住まいの確保のために協力する協定を都道府県と結び始めている。

福島の被災生活はいつ終えるともわからない。避難は長期化、広域化、そして問題が複合化していく。全てが高台移転とか、ある自治体に全員が移るとか、そういうことはもはや難しい。住宅だけではなく教育、福祉、医療など複合的な対処が求められる。避難して避難先の地域に溶け込んでしまって戻れないケースも増えてきている。
被災者に対する避難と残留のどちらも選択できるような政策メニューが必要で、「原発事故子ども・被災者支援法」が制定されたが、実行するための基本計画はまだできていない。

福島の沿岸自治体の苦労は、初期の放射能飛散の情報不足と、その後の除染への過剰な期待によって、今後のあり方について住民をまとめきれなくなってしまったことにある。復興といったときに、まちの復興よりも、被災者一人ひとりの生活の復興が語られることが重要だ。

●災害時に必要なことは、生活に関係することは過度に分業しないこと、というのが印象に残った。経済原理だけで言えば比較優位論にもとづく分業を推進していくのがいいのだろうが、それは輸送や通信、エネルギーが万全に確保できる状態での話で、それらがずたずたに断たれる災害時には、地域社会が衣食住と糞尿の始末を自己完結できる体制をどれだけ持っているということが重要ということで、私に新しい課題を示していただいたと思っています。

●私も2011年4月1日から3ヵ月間、職場のボランティア活動の事務局で断続的に福島を訪問しましたが、放射線量が危険だ、、という言葉だけでは言い尽くせない現状がありました。視覚化しにくい状態をうまく言葉にできないため、もちろん私自身は反原発ですが、反原発にためにするような議論でうまく言葉にできない状況を雑に扱われるのもイヤで、ボランティアに参加してきたということもあまり告白しませんでした。そんな一年を過ごして昨日、鈴木先生の語る被災者や被災地自治体の状況に感傷的になって聞かせていただきました。

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