11/30 「未来の党」の基本政策は40点
自民党が右旋回、それに維新に対して、退潮確実な民主党がこれまた徐々に経済政策を右旋回。そういう中で誕生した「未来の党」については期待したいものがあります。
政局的立ち位置は、これから大いに期待し、可能性を秘めているのではないかと思います。
しかし、昨日公表された政策については40点ぐらいの評価しか与えられません。
全体的には、あれだけ実現可能性をめぐって自民党に攻撃された2009年民主党マニフェストの問題になっているところがかなり再掲されています。
選挙後、もし未来の党が政権協議に入ることになったときに、必ずこの問題は障害になり、未来の党はかなり激しく攻撃されていくのではないかと心配しています。
まずいところをとくに3点指摘しておきたいと思います。
①社会保障政策がまったくなっていない。15点。人生トータルでの社会と個人の関係がきちんと描かれていなくて、子ども手当、保育バウチャー、介護のみの地域包括ケア、最低年金制度など、パッチワーク型政策が、スケールを大きくして書かれているだけで、希望的観測にすぎません。
突然出てきた、保育バウチャーは、まさに小泉構造改革の中核的思想です。未来の党に流れてきた民主党の議員がそういう価値観、技術論でよいとしているのか、私は耳を疑っています。問題意識をもっているベンチャー型保育事業者の話は聞いていても、働きながら子育てしている人の話などを聞いていない、そんなふうに思います。
社会保障に関しての論理的な政策提言をまったく踏まえられていないと言ってよいでしょう。
②反増税が問題です。ここは0点。
国民の半分ぐらいは、高齢社会が安心できる社会になるために増税容認論なんです。しかし今の自民・民主の増税容認論は、財政問題からくる国家機関の維持だけに関心を払った増税推進論しかないわけで、そこに一石を投じる政党がないことが問題です。反原発、反TPPまではいいのですが、ここに反増税が加わったら、社民党や共産党との差異化はまったくできないと思います。また景気との関連で語るのは大きな間違いです。
増税を実施した民主党現執行部に対する対抗意識だけではダメです。国民のためになる増税以外認めない、というぐらいの表現にトーンダウンしないと、論理的にやりこめられ破綻します。
③卒だか脱だかわかりませんが、原発政策が各論ばかりです。ここは50点。
「発送電分離」とか「東電破綻処理」とか、是非論が分かれる細かい技術論や東電だけをスケープゴートにする感覚の言葉にこだわりすぎて、脱原発のロードマップが全然ありません。もっと大きな話をまずしてほしいと思います。
私は脱電力社会、できるだけ電力を使わなくても文明水準を維持できる社会システムを構築していくということから話をスタートさせていく必要だと思うのですが、技術論でしかない発送電分離とか、東電破綻処理ということに安易に飛びつくと、電力料金だけが関心のテーマになって、地域発電も盛んになる一方、下手をすると安い電力ということで消費者から遠く離れた分離された発電会社によって、原発運転が再開され、その発電量の巨大さから、市場を支配する危険性を感じています。
●増税をきちんと言わなければ、弱者切り捨て政策をやらざるを得ないし、弱者が置き去りにならない社会を実現しようとしたらそれなりのコスト負担を国民に要請しなければならないと思います。税金払うのいやだというところからスタートすれば、小泉構造改革や、初期民主党が事業仕分けでやったように行政のリストラをせざるを得ず、それは弱者切り捨てをせざるを得ません。
弱者をいためつける増税反対というのは論理的に間違っているのです。
増税が景気うんぬんありますが、増税と現物給付の社会保障をリンクさせていれば、中立です。問題は借金返しに大半を使った場合です。
それをふまえて、弱者切り捨てをした方が景気が良くなるのか、大半の人を底上げして行き詰まりをなくした方が景気がよくなるのか、公党なんですから、判断すべきところだと思います。
●未来の党には、小沢一郎的な思いつき政策をぶちあげて週刊誌にコケにされるようなことがないよう、きちんとシンクタンクを整備してもらいたいものです。
●こんな小沢一郎色の強い政策を出されると、ますます次の総選挙の投票先に困惑します。政治家の一員として、こんな選択肢しか示せない状況に有権者のみなさまに申し訳ない思いでいます。
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