11/22 補正予算案(第5号)の経済対策事業への疑問
12月の市議会で提案されている議案の1つに、補正予算があります。
このタイミングの補正予算は、国や県の補助金の精算や、職員の異動にともなう予算の修正が行われます。
今回、それに加えて、行政側から「地域経済対策事業」という何の文書もない言葉が出てきて、あちこちに100万円単位の小規模な工事予算がついています。市の企画担当者に確認したところ、市内の企業が倒産したことで市長が決断したということですが、使い方も段取りも問題ではないかと思っています。
それぞれの金額は小さく、事業も見えにくいのですが、総額では8000万円(対策事業の文書が存在せず、全体像が示されていないので、口伝か推計しか理解できない)程度にもなります。その財源は、財政調整基金という赤字年度対策のための積立金を取り崩すことになります。
過去にもここで書きましたが、現在朝霞市は一般会計で350億円、全体予算で500億円ぐらいの規模ですが、財政力が良く、国が面倒みてくれる借金ができないことが多く、そうした環境のなかでここ10年ぐらいは貯金を切り崩しながら市の事業を進めてきています。そのため自由に使える貯金の残高は10億円を切ろうとしています。そのなかで、8000万円を経済対策として支出することに、心配さぜるを得ません。
私は、政府が行う経済対策に、小泉構造改革のように真っ向から否定するものではありません。
しかし、それが有効性を持つのは、国民を国境のような強制力のルールが違う壁がある範囲で囲い込めること、その囲い込んだウチとソトとの間で通貨の為替レートが調整されること、が前提です。それができない自治体やEU加盟諸国の場合には、経済対策をしなかった自治体や国が、経済対策を行った自治体や国の富を吸い取られることになります。つまり自治体が単独で経済政策をやるのはリスキーです。とくに大都市近郊ベッドタウンのように人的にも経済的にも近隣市との境界が不明確な自治体はなおさらです。
たとえば、夕張市は、ヤミの借金を積み重ねて山のように観光開発を行ってきましたが、結局はその富は夕張市にどとまらず、全国各地に拡散し、借金だけが夕張市に残ってしまったのです。
ギリシャ、イタリア、スペインの経済危機も同じようなリクツです。通貨の壁がないところで家父長制的に経済政策をやっても、その国には富が残りにくいのです。
8000万円程度、それも来年度の事業の前倒しだということで、実損はないと理解して飲み込んだとしても、その進め方はどうでしょうか。
緊急なので行政主導で進めるのは仕方がないと思いますが、市民を救済する立派な政策だと思うであれば、事業全体の計画文が必要でしょうし、それをふまえての情報公開、ホームページ等でのニュースリリース、議員への説明などが行われてしかるべきだと思いますが、企画部門に聞いても、この件に関する文書はなく、総額もわからない、個々の事業は予算を計上した担当課に聞いてくれ、では「倒産を減らすため」という大義名分だけで飲み込むわけにはいかないと思います。仕事を受ける事業者にしても、予算案になった段階でそうしたニュースリリースがされていないと、市役所に緊密に出入りし、「政策形成過程」にあって議員でも知り得ない情報に接する事業者しか仕事を受けられないということになります。
来年2月24日には朝霞市長選の投票日となっています。次回市長選の前に行われる最後の定例市議会なので、今度の議会で市長が続投を希望することをどこかで表明するのではないかと思います。その議会の中で、不透明なプロセスで作られた予算支出が提案されていることに、いろいろなこと言われても仕方がないのではないかと思います。
| 固定リンク
コメント