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2012.10.07

10/7 自転車事故の被害者にあまりにも鈍感な記事

東京新聞が自転車へのナンバー登録制導入を検討している東京都に批判的な記事を書いています。批判の内容は、登録制導入の財政負担や美観、県境問題など指摘して、一理はあるのですが、自転車事故の問題からするとどうでもいいレベルの話でしかありません。

自転車対策の切り札? 都が導入検討 ナンバー制 是か非か2012年10月7日 東京新聞朝刊

自転車事故の問題は、加害者を特定できず、被害を立証できないことです。たいていは事故をおこしたその場でごめんなさい、ひどい場合は本当にひき逃げみたいなことをして、立ち去られ、後遺症が出ようが寝たきりになろうが後の祭りとなります。このことは15年も前に、静岡大学の教授で交通評論家の岡並木さんが高齢者の外出の課題ということで指摘されています。

自動車やバイクはナンバー登録制があるから、交通事故を起こした加害者のほとんどが事故現場から立ち去らず、被害者を救助し、警察の現場検証に立ち会います。ナンバーによって事故の加害者がほとんど特定されるからです。自転車にはそれがありません。したがって事故件数すら正確には把握されていません。

私は安全な自転車通行のためには、ナンバー登録制はやるべき時期に入っていると思っています。

この記事の中での反対の論拠について1つ1つ問題にしたいと思います。
まずと都議会での公務員の天下り先になるのではないか、という批判について。自転車でひき逃げされて泣き寝入りしている状況と、公務員が天下るかどうかという問題とどちらが大事だと思っているのかと思います。天下る公務員をなくすか最小限に減らす工夫をすればいいことではないかと思います。新しい施策をしようとすると、政策効果なんかどこか飛んでいって、人々のせこい感情に火をつけるような政策論争のしかけ方はどうかと思います。あんまりこういう批判のやり方をすると、今までどおりの役所の仕事をしていればいいんだということになりかねません。公的な仕事をつくればいつだってこういうイチャモンみたいな批判はできるわけです。

県境問題は、都がこうした規制を始めたら、時間差はあっても埼玉も千葉も神奈川もやらざるを得ないのではないかと思います。埼玉から流入したナンバー登録のない自転車が都内で大きな顔をして走っているとなれば問題になっていくでしょう。

デザインの問題は論外。安全が優先されるべきです。

弁護士会で研究している弁護士のコメントは、本当に法律家としてこれでいいんでしょうか。
自転車事故を防ぐのにナンバー制は個人情報保護の問題や金銭負担があるのは望ましくない、などと言っているわけです。生存を脅かされない権利と経済的自由とどちらが優先するのか、聞き返してみたいものです。個人情報も噴飯で、今の50ccバイクの登録制は個人情報の問題があるのでしょうか。
この弁護士がやるべきだという「教育普及」なんて、自治体では結局、聞きにきてくれる、そもそも自転車事故をほとんど起こさないようなモラルの高い人しか対象にできず、通勤等で暴走運転をしている市民に対してはお手上げです。この点は朝霞市議会でも私を含めいろいろな議員さんが問いかけていますが、やっぱりお手上げです。せいぜい小中高校生だけが義務的な対象にできません。そうすると自転車事故の加害者が中高校生であることを想定した範囲でしか対策が進まないのです。
自転車のひき逃げ事故の被害者がなくなったり、被害者が裁判をして真相究明してもらう権利を奪っているのはどうなんでしょうか。

●公共交通を大切にせず、交通は私的なものという扱いをしてきたことの副作用でもあると思います。私的な交通手段は経済負担や面倒さに対して様々な配慮がされているのに、公共交通には経済的なことも、使いやすくするための工夫も事業者任せで公的には全く配慮されてこなかった問題の一面とも言えます。

自転車対策の切り札? 都が導入検討 ナンバー制 是か非か2012年10月7日 東京新聞朝刊

自転車の危険運転防止や放置対策のため、有識者らでつくる東京都の懇談会が求めたナンバープレート装着などの提言が、議論を呼んでいる。所有者を特定しやすくし、見られていることを意識させるのが狙い。世界でも同様の例はないとされるが、都は「ルール順守やマナー向上に有効」と評価し、今後の導入を検討中だ。利用者からは、費用負担の増加や手続きの煩雑さを懸念する声も上がる。 (安藤恭子)

 「運転の仕方は個人の意識の問題。ナンバーを付けても、マナーを直さない人は直さない」。平日昼間の放置自転車数が二年連続で都内ワースト一位の北区のJR赤羽駅前。自転車通勤する男性会社員(49)が首をかしげた。公務員男性(60)も「ナンバーを付けないといけないなら、気軽な乗り物でなくなる」と渋い顔だ。

 駅前には駐輪場の案内板が至る所にあるが、歩道に大量の自転車が並ぶ。斜め横断した自転車が歩道に乗り上げ、歩行者とぶつかりそうになる危険な場面も。一歳の娘をベビーカーに乗せた主婦(25)は「急に速度を上げられると怖いし、放置は通行の邪魔。ナンバーがあってもいい」と賛成した。

 検討の背景には、自転車をめぐる問題の深刻さがある。都内の自転車台数は約九百万台。震災後、通勤に自転車を利用する人が増えたともいわれる。自転車が関係する事故は、交通事故全体の三分の一以上を占め、歩行者との事故も年間千件を超えるペースだ。

 放置自転車は駐輪場の整備が進み減少傾向にあるが、二〇一〇年度には六十九万台を撤去。四割が持ち主に引き取られず、処分費用に百五十五億円を要した。

 提言は「ナンバー制は自転車対策の切り札になる可能性がある」と導入検討を要求。バス走行中のトラブルを懸念する東京バス協会も賛成の要望を出した。

 しかし実現には課題が多い。都内ではナンバーを付けた自転車と隣県から乗り入れたナンバーのない自転車とが混在し、制度が形骸化する恐れがある。大田区の男性会社員(48)は「自転車は都内ではなく、他県で買う」と憤慨する。

 また放置対策で打ち出した「預け金制度」は、自転車購入時に都が指定する団体に一定金額を納め、正しい手続きで廃棄した場合に全額返還される想定で、金銭負担が増えて販売や利用が阻害される可能性も。都議会では、公務員の天下り団体を新たに設けるのではないかとの懸念も示された。

 自転車のデザインを損なうとの見方も。ナンバーは後部に装着する想定だが、「見やすくするなら大きくせざるを得ない。格好悪いと感じる人が多いのではないか」と、NPO法人自転車活用推進研究会(東京)の内海潤理事は指摘する。

 第二東京弁護士会で自転車政策を研究する木内秀行弁護士は「ナンバー制は愚策。安全運転を促すなら、利用者への教育普及が筋だ。効果が定かでない制度のために、利用者が個人情報を提供し、手続きや金銭負担が増えるのは望ましくない」と疑問を呈している。

<東京都自転車対策懇談会の提言> 有識者や利用者でつくる懇談会が9月、都に提言した。ナンバープレート装着や購入時の預け金のほか、安全教育の推進や警察取り締まりの強化、自転車走行空間の整備を求めた。都は来春の条例提案を目指すが、ナンバープレートや預け金は時間をかけて検討する方針で、導入するかどうかや、条例に盛り込む時期は未定。

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