10/24 し尿処理場と知的障がい者入所施設を訪問
朝霞地区4市の共通業務を担う「一部事務組合」という自治体があります。消防、知的障がい者入所施設、し尿処理場を運営しています。私は、朝霞市議会選出で2年間、一部事務組合議員という任務を担当しています。
消防については一部事務組合議会の議場が消防署に設けられることもあり、また4市の各署に消防施設があることから目につくのですが、し尿処理や知的障がい者入所施設は、こちらからあえて訪問しなければ詳しく理解する機会が持てません。そうしたことから両施設を、同じ一部事務組合議員で、新座市議の木村俊彦さんと訪問しました。
し尿処理場は、くみ取り式便所から回収した糞尿と、浄化槽から回収した汚泥を処理し、下水(写真上)、堆肥の原料(写真右)、廃棄物にしていく処理を行う工場です。かつては多くの朝霞市民がお世話になった施設ですが、現在では下水道が普及して糞尿がそこに流されていくため、施設は最盛期の5分の1の規模しか稼働していない状況です。
ただし、糞尿をそのまま持ち込めば処理できる施設であるため、大災害時で下水道やそこに流すための水を供給する上水道が止まってしまった場合、し尿処理場が機能することが重要です。阪神大震災では長期間にわたって水洗トイレが使えない地域があり、東日本大震災でも下水処理場が壊れた地域はやはり水洗トイレが使えず、被災地の人々はくみとり式の仮設トイレに長期間お世話になっています。仮設トイレがオーバーフローした場合には、糞をビニル袋に入れて野積みしていたということもありました。朝霞市でも震災時に衛生状態を保つためのセーフティーネットとして、し尿処理場の役割をきちんと維持するということが課題ではないかと思います。
場を訪問して、その点について職員にお伺いしたところ、利点としては施設が古いのでアナログ的な処理をしており、ある程度の電力が確保できれば場の運転は維持できる一方、古いゆえに処理槽や、処理水の下水管などが震災に耐えられるか不安だと指摘されました。
また、注目される再生可能エネルギーの観点から、バイオ燃料を取り出すようなことはできないかとお聞きしたところ、受け入れているものの圧倒的に多数が浄化槽の汚泥で、汚泥は浄化槽の処理の段階でメタンが抜けてしまっているので、場でのメタンの取り出しは不可能ではないかということでした。かつてそのまま搬入される糞尿が多かった時代は、ガス抜きのために出てきたガスを燃やしていたそうです。
話を聞きながら、水洗トイレのある便利な生活をしておきながらと自分で思いますが、しかし燃料となる可能性もあり、巨大な設備を必要としないために処理のコストも低いくみ取り式トイレを見直していくことも将来はあるのではないかと思いました。また設備より人手をかけて処理していることも、雇用創出の可能性がある職場かも知れません。
なお、訪問するまでは覚悟していましたが、場は想像以上に衛生的で、悪臭はほとんどありませんでした。自分たちの出したものがどのように処理されていくのか、一見する価値のある施設です。
続いて知的障がい者の入所施設「すわ緑風園」を訪問しました。ここで働いた経験のある木村新座市議の引率で伺えたことはより深い理解につながりました。
入所者の年齢構成をみると、施設新設時に養護学校から入所した方が中心でした。一度入所すると、なかなか施設外の社会で生きる環境づくりが難しくなる、そしてやがて親が高齢化したり亡くなったりするとともに、いよいよ外との接点がなくなりはじめているということを感じざるを得ませんでした。
その頃はまだノーマライゼーションとか、バリアフリーという考え方がなく、障がい者福祉が今以上にひどい状況であり、知的障がいに対する認識が全然社会になかったことを考えると、施設に預けられるということが必要な選択だったとわかりつつ、養護学校出たまま、しわを刻み、頭を白くしている入所者の姿は、また私の中に重い課題をつきつけました。
そうした中で、職員のみなさんや和光市の地域のみなさんが一所懸命関わってよい施設にしようとしていることがうかがえました。
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