« 8/30 9月市議会が始まりました・児童虐待事件の市の事務への調査が開始 | トップページ | 9/13 20日に一般質問(市政全般に対する質問)を行います »

2012.09.09

9/8 日本のスウェーデン政治の研究は良心的財界人から始まった

大学院の関係で、日本政治学会の「地方政治報告会」という自治体議員だけで考察した現象を話すセッションがあり、昨日、そこでお話をさせていただきました。

タイトルは「ある投票率30%台のベッドタウン都市の政治構造について」として、市議選の投票率が30%である都市ではどういう人が投票に行き、投票に行っていないか、各種資料を使って分析した結果を報告し、「上田党」と言われる民主党の強さ(これまで)が、同じく民主党が比較的強くて標準的な支持構造を持つ選挙区である埼玉3区(越谷市・草加市)の支持構造とどう違うかを比較し、その独特さを整理した報告です。

この報告を通じて、朝霞市民がどういう構成をしているのか、人口、就労、勤務地、前住地、住宅の種類などさまざまな統計を見ることで、別な意味で勉強することが多かったと思います。

午後からは、記念講演でスウェーデン政治の研究家・岡沢憲芙早稲田大学教授の「合意形成型政治と地方政治:スウェーデン型国民統治の事例」という報告をお聞きしました。

高い税金を取れる社会というのは、合意形成に力を注いでいるということを力説されていました。これから増税するというときに間違っても「政治生命を賭ける」などと言明してはいけない、この論理は一党独裁の論理で、多党制の政治のもとでは、それならクビをとってやろうじゃないか、と政争の具になって合意形成は難しくなるということです。このことは以前私もネット上のどこかで書きましたが、我が意を得たりと思いました。

政治の対立は、政治体制(君主制か共和制か)、国防・外交、国家の経済介入度、宗教・世俗の関係、中央・地方の関係、環境・エネルギー問題などで政党間抗争が発生し、これらをどのように合意を作るかが問われるということですが、スウェーデンはこれらの問題に対してすべてプラグマティックに解決を図って、必要なら政党間抗争を棚上げした、という歴史をだとっています。
効果のない政党間抗争を煽るためのネタを次から次に繰り出す最近の政治文化のもとで考えてもらいたい話ばかりでした。

冒頭には岡沢先生がスウェーデン研究の歴史について話をしていただきましたが、岡沢先生が1965年にスウェーデンに留学することを周囲に相談したところ全員から反対され、スウェーデン研究というのは長く日本で無視され続けてきたということです。しかし、その中でも、1967年から、東海大学の松前重義氏を中心に、大平正芳元首相、土光敏夫第二臨調会長、藤牧新平(社会党本部書記)などによって研究が始められていたことを紹介していただきました。新自由主義者にとって聖人のように扱われているめざしの土光さんが、スウェーデン型社会をめざして研究会を設けていたことは驚いたとともに、私の不明を恥じるところです。

さらには日本が全体主義に傾いている1939年に、財界人の藤原銀次郎が政府に騙されるかたちでヒトラーの祝賀会に出席させられる途中、下船して方向転換をし、スウェーデンを視察して報告をして、工業社会のやがていきつくところで取るべき政策を学んできたという話も紹介していました。

改めて、政治家としての自分の立ち位置とすべきことの価値観の整理に役に立った講演でした。

●一方で、当時の社会主義運動や労働運動がスウェーデン型社会をほとんど無視するなかで、財界、保守政党を中心に研究が進められたことは残念でなりません。今も、「社」のつく政治勢力において、小さな政府志向を自覚しない増税反対思想が蔓延していることは、その勢力衰退にさじを投げたくなるような事態です。壊す能力だけにたけている党首を担いでいるかぎりどうにもなりません。この人も合意形成を簡単にフイにする人です。

●新座市長選挙に挑戦した平松大祐さんも、主催した先生の1人のお誘いでお見えになっていました。昼休みをご一緒させていただきました。知的努力を怠らない政治家の1人です。

|

« 8/30 9月市議会が始まりました・児童虐待事件の市の事務への調査が開始 | トップページ | 9/13 20日に一般質問(市政全般に対する質問)を行います »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 8/30 9月市議会が始まりました・児童虐待事件の市の事務への調査が開始 | トップページ | 9/13 20日に一般質問(市政全般に対する質問)を行います »