8/8 志木市の市民病院改革の説明会を聞く
情報感度が悪いと言われそうで、半月経た今頃になってですが、志木市民病院の小児救急医療が休止となることが確定しています。昨日朝霞市ホームページでも正式に公表されています。
また7日午後、志木市の主催の市民病院改革の説明会を傍聴してまいりました。
8月から、朝霞地区4市の医療圏では入院を伴う小児救急医療の受け入れ病院は国立埼玉病院だけになる状況です。また隣接する医療圏を見ても、光が丘の日大病院の日大撤退による経営移管の混乱が今でも続き小児救急医療を対応できる状況ではありません。唯一の希望の光は、富士見市のイムス富士見総合病院が、小児救急の入院受け入れをする方向で整備を進ていることです。
また、小児救急の大半が一次医療(診療所等)で対応できることから、朝霞市において、医師会の協力による当番制の小児夜間休日救急診療を始める準備を進めていますが、市役所と医師会との協議がまた整わず、新施設での実現が遅れています。
イムス富士見総合病院と朝霞地区医師会による夜間休日救急医療の実施により、何とか小児救急医療の底割れは防止できる見込みですが、現在、まだ整備されている状況ではなく、しばらくは小児救急医療に関しては医療過疎といってよい状況が発生しています。
私は、志木市民病院の小児救急医療の崩壊が見え始めた今年に入ってから情報収集につとめ、医療崩壊といった事態に対応してきた市の健康づくり部など関係部署と連携してきましたが、力不足でこうなったことについてお詫び申し上げます。
●7日の説明会では、志木市民病院は、①病院の少ない宗岡3地区の医療機関として残す、②介護予防や疾病の重度化を防止する地域医療を行う、③医師確保のために指定管理者制度を導入する、という説明が行われました。③については疑問でした。また肝心の小児救急医療については、冒頭の市長の簡単なお詫びと、あまり志木市に実施責任のない休止後の対応策の説明で簡単に終わってしまいました。
志木市民の参加者が高齢者男性が中心だったこともあり、小児救急医療の崩壊ということに対する危機感が主催者、参加者通じてなかったように思います。
子育て世代やひとり親など、小児救急医療の休止で生存の危機を脅かされる当事者がこうした場には参加できない、しないという自治体の民主主義の現状を考えざるを得ないと思いました。子ども政策の地方分権を進めることがためらわれるのはこういうところにあります。
●小児救急医療の休止という事態を招いたことに、医療は誰のもの、ということを改めて思わずにはいられません。
今回、志木市は、志木市民病院の小児救急医療の維持のために、東上線沿線一帯にあまりにも影響の大きいことを、きちんと周辺市な医師会などと連携取って対応しようとしたのか、疑問です。このブログに以前書いたことに関して、コメント欄にも「内政干渉だ」と非難するコメントをいただきましたが、そう言われかねないような情報統制の中で、四市市長会で表明した情報と、直後に市長発の情報としてマスコミが報じられる情報が全然違う前提の話になっていることが、何度も見られました。このことは7日の市民説明会で、志木市民の方から市長に厳しく批判されていたことです。
負担を求められたり、新たな対応が必要とする周辺市役所の医療関係担当部署の職員も情報が全く入らないとしてお手上げの状態が続いていました。こうした状況について、朝霞市の6月市議会の市長報告に対する全員協議会での市長質疑で、富岡市長も強く不快感を表明しています。
志木市民病院の小児救急医療の維持のために、金銭的な限界なら周辺市に正面から負担を求めていただければよかったと思いますし、運営が無理で小児救急医療を閉鎖せざるを得ないなら、早くからそのことを率直に話し、周辺病院や周辺市が休止後の対応に向けて準備ができるような対応をすべきだったと思います。日大の研究指定病院化の話や、現在も進んでいる建て替えの話も、継続できる幻想を持たせただけで、小児救急医療の継続のためには何の対応でもなかったと評価せざるを得ません。
結果として、イムス富士見病院と朝霞地区医師会の対応も遅れざるを得なくなり、泥縄的対応になってしまいました。
今回のように、期待を持たせてずるずる引っ張るようなことは、行政としてすべき対応ではなかったのではないかと正直思います。
また、医療・福祉は改めて人によって担われていることを第一に考えて対応すべきということを認識させられました。
2月に表面化した志木市民病院の小児救急医療の休止の問題は、院長の清水医師の退職意向が公になったところから確定しはじめたことです。それに対して小児救急医療の継続のためにすべきことは、清水医師の慰留か、代わりになる医師の確保に全力を挙げることです。しかしこの間、志木市が継続する前提で聞こえてきた対応は、指定管理者制度にする、病院を建て替える、日大の研修指定病院にする、など制度変更の話に終始して、肝心の医師確保の具体的な話について、志木市からは何のメッセージもありませんでした。
現在においても「広報しき」では「安定した医師の確保に向けて指定管理者制度を導入」と報道していますが、指定管理者制度は医師を拘束する制度でも何でもありませんし、指定管理者として指定した医療法人が医師をひっぱってこれるかどうかだけにかかっています。今のように、入院設備のある病院に小児科医が働きたがらない状況では、公営であろうが民営であろうが指定管理者であろうが、医師の職業意欲を刺激するだけの地域医療の理念の確立か、絶対的な報酬額によってでしか医師を引っ張ってこられません。
こうした志木市民病院の混乱を背景に、5月17日に朝霞市と同様の地理的条件、人口で新たに市民病院を新設する奈良県生駒市を朝霞市議会民生常任委員会として視察にうかがいました。
生駒市周辺は医療過疎になりかけていて、隣の医療圏ではいわゆる妊産婦を受け入れる病院がみつからず亡くなる事件がおきたところです。そうした中でやむにやまれず生駒市が病院を新設しなければならなくなった中で、市が毎年5000万円の財政負担をして何とか徳洲会病院を誘致したということで、庁舎管理やごみ収集のように簡単に指定管理先が見つかるような状況ではないというのが話の中心でした。
●余談ですが、年金問題や財政問題ばかりで世代間格差をわめき立てる「若者」言論人が少なくありませんが、本当の世代間格差ってどういうことだか、志木市のこの説明会を見てきちんと理解してほしいと思います。子どもが病気になって抱え込まれる病院がなくなった一方で、高齢者の介護予防はこの騒動を通じて手厚く行われる方針が出たことは、世代間格差ですが、その理論的背景は、世代間格差の議論をしているような人たちの大好きな非常に近視眼的な財政問題が横たわっているんです。
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