« 8/11 昨日の記事の追記 朝霞市の実質単年度収支の推移 | トップページ | 8/19 川のプレーパーク »

2012.08.19

8/19 「年金ムラ」などと切り出す年金改革談義には要注意を

学習院大学の鈴木亘氏が、また年金積立方式を強調する自著を出されるらしいです。

年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本改革

年金制度が、またこうした論調に惑わされて、混乱の渦、維新の会あたりが仕掛ける政争の具にならないことを祈るばかりです。民主党のくり出したいい加減な年金改革談義に7~8年もふりまわされて、ようやくマニフェスト無視と批判されながら後始末が終わりかけている段階にきています。しかし、また新しい勢力から今後10年、実効性のない年金改革談義をふっかけられて制度不信の混乱に陥れられて、年金保険料は払わない方がトクかも知れないなどと誤解させてしまうことは、また10年どころか20年も年金未納してしまう人を増やしてしまってはまずいんじゃないかと思います。

鈴木氏のブログでは「ゴキブリ」「原子力並みの「絶対安全神話」に彩られる公的年金」 「年金ムラ」などという、意見の違う人に対して変な先入観を与えるような下品なキーワードを使っているような説明の仕方をしています。研究者がこのような客観性のない言葉の魔術をかけようとしているときには、十分注意して読みとるように私はしています。論理の詰めがどこかで手が抜かれているのではないかと見ています。

●公的年金については私は、本質的に世代間の仕送りであること、経済変動に耐えられること、積立金の運用は社会全体で貯蓄率を上げてしまいデフレ経済を悪化させること、などの理由から現状の賦課方式が制度の理念にかない、積立方式は社会が維持できないと思っています。

インフレや長期間のデフレでどのように実質的(物価と連動する)な年金額を担保できるのでしょうか。積立方式では、インフレであればたちまち積立金不足の問題が露呈し破綻しかねません。デフレであれば給付の過剰という問題がたちあがってしまいます。デフレのときにはさらに投資先も乏しく、バブル的投資に公的年金が手を染めざるを得ません。その結末は、バブル崩壊です。

積立金というのも観念的なものに過ぎなくて、要は貸した金が十分に取り返せるのは現役世代の働き次第で、現役世代にその資金に利息をつけて返済できるだけの生産力がそもそもなければ積立方式であっても、貸し倒れが発生して年金が目減りします。
積立であれば大丈夫というのは、預金通帳の向こう側でお金がどのように生産力を生み出して戻ってくるのか、ということについての想像力がなく、発想がバーチャルなんじゃないかと思います。

現役世代の保険料を、世代人口のアンバランスな分について積立金に回し、残りは今の高齢者に渡して、もらった高齢者は、介護利用料でも医療自己負担でも生活必需品でも、余れば旅行でも服でも観劇でも、パッと使ってもらうことが本当の年金の安定につながるのだと思います。

●闇討ちをしないことを信条としている私からは、学者インテリが他人を口汚くののしるときには、その対象が何かを特定しないのが卑怯だと思うことが多いのですが、この「ゴキブリ」についてもそうです。いったい誰のことなんでしょうか。「シロアリ」とかもそうですが、いったい何がどのように迷惑な存在なのか、ちゃんと説明してほしいと思います。

|

« 8/11 昨日の記事の追記 朝霞市の実質単年度収支の推移 | トップページ | 8/19 川のプレーパーク »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 8/11 昨日の記事の追記 朝霞市の実質単年度収支の推移 | トップページ | 8/19 川のプレーパーク »