7/22 政治生命を賭けても反対する人がいるものです
参院で過半数を割っているというのに、「政治生命を賭けて」と言えば何とかなると思っているような政治信念がこういう誤った理解につながるものです。
「足引っ張る人がいる」首相、軒並み戦線縮小へ(読売)
自分たちで選んだ党首がやったことに、あまりにもまとまりのない民主党の陣笠議員たちもいかがなものかとは思いますが、冷静に考えれば、社会保障と税の一体改革だけでも実現できれば、少数与党の一政権としては十分な成果ではないかと思います。
●最近、岩波書店から出版された「村山富市回顧録」を読みました。政治は先入観やイメージだけで議論することが多い世界なので、村山氏が社会党出身の高齢者というイメージだけで何もできないだけの年寄りという評価が強いのですが、戦争責任問題の処理に限らず、消費税の増税、規制緩和、コメ輸入規制の撤廃と関税化、介護保険制度、NPO法人制度など、それぞれについて善し悪しの評価は分かれるにしても、21世紀のための様々な政策形成を行っていることは再評価すべきです。その上で、政治がいろいろやろうとしたら村山政権みたいなアクロバット的な枠組みの政権しかあり得ないんだろうな、と感じることが多くありました。
今みたいに前川レポートAの信奉者と、前川レポートBの信奉者が政権を取り合い足を引っ張り合うというのでは、何も新しい発想は生まれません。
●政権交代にあたって、目新しい政策を掲げるリスクが明白になってしまった今、結局、自民党が国土強靱化と称して、高度成長期にしか実行できないような公共事業偏重の政策に回帰しつつあることは嘆かわしいことです。未来を考える思考と、できるできないを判断する判断力を政党がつける必要があって、政党助成金のうち、やはり一定部分は知的能力の向上のために使ってほしいし、政党シンクタンクの設立などきちんとした知的スタッフの確保と活用に力を注いでほしいものです。
南欧の政治風土みたいに、高速道路無料化やガソリン値下げ隊みたいな脳幹と筋肉を直結させたような運動をするようなあやまちをどの政党もしていただきたくないと思います。
「足引っ張る人がいる」首相、軒並み戦線縮小へ
野田首相が消費税率引き上げを柱とする社会保障・税一体改革に続き意欲を示す政策課題が、軒並み「戦線縮小」に追い込まれそうな雲行きだ。
環太平洋経済連携協定(TPP)への参加は民主党内の反発が根強く、さらなる党分裂を誘発する恐れがある。持論の国連平和維持活動(PKO)協力法改正と集団的自衛権の見直しは、政府内調整に手間取っており、首相は頭を悩ませているようだ。
◆「三正面」苦しい
「足を引っ張る人がいる」
めったに愚痴を言わないとされる首相が最近、周囲にこうぼやいた。
首相が一体改革と並んで重視するTPPについて、政府内には、年内の交渉参加を実現させるため、8月中に首相の正式な参加表明を期待する向きがある。米議会による90日間の承認期間が必要となるためだ。
だが、民主党内では、新党「国民の生活が第一」の小沢代表に近い「離党予備軍」と目される議員以外にも、「消費増税と原子力発電所再稼働は容認しても、TPPは絶対認めない」(鹿野道彦前農相グループ議員)などの反発が根強い。
首相周辺には「消費税、原発再稼働を抱えて『三正面作戦』は苦しい」として、結論を先送りせざるを得ないとの空気が広がっている。
(2012年7月22日09時48分 読売新聞)
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