6/11 市議会の議案質疑・保育所の長期計画の必要性など聞きました
11日の朝霞市議会は、市長提案の議案に対する、本会議での質疑日程でした。大きくは2つの議案質疑を通じて議論が起きていました。
一つの議案は一般会計の補正です。急に出てきた保育園3ヵ所の新設話を中心とする補正予算で、すでに次世代育成支援行動計画の保育所の定員目標値を上回っている現状にさらに新設する内容です。しかし待機児童問題が相変わらず解消せず、新設するのもやむなしという状況です。
私はこの議案について、保育所の需要についてデータにもとづく議論がされていないので、今後20~30年間の長期的な保育所整備計画が必要なのではないか、と質問しました。
これに対し市役所側は、担当部では決められない変数が多くなかなか長期計画は立てにくい、検討したいという答弁でした。
もう一つは、外国人登録制度が廃止されて住民登録システムに一元化されるにあたって関連する条例の改正案です。こちらは、外国人登録から住民登録に移行できない住民に対するサービスで混乱が起きないように市役所の事務の調整はどうなっているのか問いました。
市役所側は、市民環境部を中心に市役所内の各課で移行時の対応を調整すると答弁しています。
●私が一般会計補正予算で保育関係の質問に向けて、保育所定員の必要数について推計したのは以下のやり方です。
国立社会保障・人口研究所では朝霞市の将来推計人口は今後予測が出ている2035年までほぼ同水準。そのうち5歳未満+1歳分上乗せの未就学児人口は2011年4月現在約7836人→2035年に約4934人に減少します。
※未就学児人口は2011年4月は住民基本台帳人口、2035年は人口推計で0~4歳4126人+(5~9歳人口4040人÷5)
そのうち、保育所利用する児童数の比率をあてれば、将来必要な保育所定員数が見えて来るのではないかと考えました。
現在、朝霞市は全国平均より専業主婦家庭が多く、保育所通所児童の比率が低いのですが、マンションブーム以降、急激にその比率が上がっています。そのことでやってもやっても追いつかない待機児童数の発生になります。
どこまで上がるのか、ということを考えれば、恐らく全国平均の数字ぐらいまでは上がると思われます。厚生労働省は、「保育所利用児童の割合」という数字を出しており、33.1%です。認可保育所代替施設や待機児童数を入れても全国平均では33.5%になります。その全国平均のレベルまで保育所利用者の比率が高まるとして計算すると、4934人×33.5%とすれば、2035年の保育所入所児童数は1652人となります。
ちなみに保育所通所児童の比率は毎年0.5%増ですが、ここ2年は1%前後の増加になっていますし、共働きしないと食べられないという家庭が増えているので、あと数年は上昇傾向が続くと思います。
1%上昇すれば約50人定員が増やす必要が出てきます。
現在の保育所の定数は1724人、2013年4月で1974人の定員となることが確定、2014年4月で2ヵ所程度開設するとして2100人程度の定員となる見込みです。
そう考えると、今しばらくは保育所の増設を続け、共働き家庭の増加傾向を見ながら、保育所利用者数が減り始めたところで、老朽化した保育所や経営者の高齢化などから廃業する家庭保育室から徐々に閉鎖していくような長期戦略が必要なのだろうと思います。
●したがって本日の市議会で民間保育所を増やしすぎではないか、という質疑をされた議員がいましたが、当面は心配無用でむしろ基本の待機児童問題を心配すべきということです。現に、認可外保育所も子どもがたくさんおり、そのことについて直視すべきなのだろうと思います。
●また、近隣市より朝霞市の保育料が安いから朝霞に保育需要が発生する、という質問をされた議員もいました。事例がないとは思いませんが、住むところを決めるのにあたって、保育料のインセンティブは、もっと大きくないと効果が表れないと思うので、和光や新座から朝霞に来るよりも、もっと低い保育料である23区内に転居されているのだろうと思います。近隣市との保育料の格差も、高額所得者が中心となります。低所得者にはそんなに差がありません。
●余談ですが、朝霞市の稼働年齢の人口20歳から65歳の人口は、高齢化比率が高まっても減らないということもわかりました。高齢者が増えた分、子どもが減るからです。子どもが減って社会の負担が少ないことを少子化プレミアムといいます。
また最新の人口推計より朝霞市の人口は上回っており、将来人口の算定がやりにくい自治体だという面があります。
●もちろん、心配されている福島第1原発の四号機の貯蔵している核廃棄物が暴発したら、首都圏全体がアウトになる可能性があって、そうしたらそもそも人口推計そのものが役に立たなくなります。
| 固定リンク
コメント