« 5/25 名張ぶどう酒事件・再審開始決定の取り消し | トップページ | 5/31 6月定例会に向けた議会運営委員会が開かれる »

2012.05.27

5/26 NHKスペシャル 未解決事件簿・オウム真理教を見て

昨日のNHKスペシャル「未解決事件ファイル・オウム真理教」を見て、いろいろ考えさせられた。オウムは学生時代に流行し、

私には、信者を個室に閉じこめ、暗がりを怖がるのはお前の主観の問題だ、と追いつめるシーンが出てくるのが印象的であった。
このシーンでオウム真理教が行った、恐い、痛い、辛いということを、個人の内面の主観の問題としてとらえ相対化させ、不満は「解脱」のために個人の中の人間性の闘いに昇華させてしまう一方、わけのわからない理想については教団イデオロギーを盲信させるやり方は、2001年からの小泉構造改革を迎合した論理構成によく似ているんだと気づかされた。

小泉構造改革とその後数年の時代、新自由主義が全面肯定され、それによって人間が過去の呪縛から大いに解放されることが夢見られた。しかし結果としては、我が国では最も課題であるはずだった職場、家族の精神的呪縛が緩和されることがないままに、経済的・社会的規制の解体だけを行われた。その結果、労働者や生産活動に参加できない者の生活水準は低下したが、しかしその結果は本人の努力不足によるものなのだという理由付けだけを行われた。
今も30歳前後の人たちと話すと、就職活動の結果不遇な結果を甘受している者まで含めて、しばしばこういう論理を信じ込まされていることに気づかされる。

●番組中で、高山文彦さんのルポルタージュ「麻原彰晃の誕生」が紹介され、実業家から宗教団体が金儲けになると示唆され、自分の内面の弱さに悩む人々を利用し、麻原が力を出す場を見つけだすくだりが紹介されていた。
白を黒というような組織運営は、自らの弱みを克服したいと悩む人の内面に入り込み、ふりまわし、最終的に1つの目的に結集させることによって成り立つと、いろいろな場面で実感してきた。左右を問わず、社会運動家や教育運動家にそういうことをする人が少なくない。
いつだったか、自己啓発セミナーのツールに平和運動を利用している組織の人たちとあった。また昨今では、労働問題にもこうした手法が侵入しつつあるんじゃないかと思うシーンもあった。新しさもあり指導者が見識のある文章を書いておられる集団だと信用して集会に出てみると、その配下にいる運動員の異様な規律性、主体性のない眼の異様さに、ここは危険な集団ではないかと気づかされたことがある。

●全然話が変わりますが、全学連を自称する団体のなかで最大勢力の民青系全学連が崩壊の危機にある、というネット上のルポルタージュ(代々木小夜「ついにとどめを刺される「全学連」東大の自治会が引き起こす社会運動史上の大事件とは」)を読みました。
まぁ、政党支持率で言えば5%にも満たず、しかも排他的な勢力が、長く大学自治会に君臨してきたことには、何か無理があったわけで、ようやくその無理を精算する時がきたかという感じがしてならない。しかし不思議なのはエリート大学ほどこういうのが残ったこと。
学費値上げ反対とか、私学であれば私学助成拡大とか「一致した要求」を掲げ、特定の排他的な活動家集団が自治会内の反対派を抑圧するやり方は、本来、生意気で理屈っぽくて、仲間意識よりも対抗意​識の強い学生による運動に、進歩より停滞を招き、運動への堕落を招き、自滅したのではないかと思っています。

●ピュアな運動家には経済主義と罵倒されるかも知れませんが、私にも社会民主主義というイデオロギーがありますし、個々のイデオロギーは大切にしたらいいと思いますが、私も含めて世の中をどうこうしようという仕事をしている人は、異なるイデオロギー、考え方の人と対話しながら、社会合意を図るという基本動作を怠ってはいけないということでしょう。
また社会運動を行う集団の内部には、きちんと対話できる反対派を許容し、圧倒しないことが、運動がカルト化しないために必要なんだろうと思います。小泉純一郎のうまさと安倍晋三の拙さの差もそんなところにあるのでしよう。

●以前親友と議論したことがあって、政治家となった今では我田引水みたいで言いにくいが、人集めに「一致した要求」とか、「政党支持の自由」とかあえて言う組織というのは、それを言わなくてはいけない何か事情があると考えた方がいい。立ち小便されやすい電柱に、小便禁止と書かれた札が貼られているように。

|

« 5/25 名張ぶどう酒事件・再審開始決定の取り消し | トップページ | 5/31 6月定例会に向けた議会運営委員会が開かれる »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 5/25 名張ぶどう酒事件・再審開始決定の取り消し | トップページ | 5/31 6月定例会に向けた議会運営委員会が開かれる »