4/2 がれき処理問題をめぐる国会質問
札幌市長が震災がれき受け入れを拒否したからといって、国会質問で追及した自民党議員がいた。
私も震災がれきは全国で処理することが必要だと考えているが、拒否する側にも一理はあって、そうしたことは各自治体の判断だと思っている。どうも筋違いな質問ではないかと思う。
最近の震災がれきを受け入れるべきと自治体の現場で迫る流れは、どうも反対する人たちを「非国民」扱いしたいような空気を感じていて、そういう物言いの仕方には本当に気分が悪いし末恐ろしいものを感じる。
がれきの受け入れについては、技術的に受け入れが可能かどうか検討し、市民の合意形成や納得感があるのか政治的判断を首長が行って判断すればよいことだと思う。その段取りを無視して道義面だけで異論を排斥するようになるなら、本来、東京でも大阪でも国直轄で処理場を作ってやれ、という話にしかならないと思う。
また、今回自民党の若手議員が、選挙区の民主系市長にかみついた構図になっていて実は政争の具としての質問だと思うしかない。それというのも、自民党だって、昨年の4~5月は、菅首相がたたかれやすい状況なのを利用して、菅内閣を倒すことを復興より優先して、復興増税はじめ復興のために必要な政治的合意をことごとく遅らせてきた。がれきだけで復興のための正義をふりかざすことができる立場なのか、私は疑問に思っている。
震災の被災地そっちのけの、政治的正当性のためだけの議論のやり方ががれきでも原発問題でも続いていることに、私は心を痛めている。ちょうと一年前、福島に入って震災復興支援に携わってきたことを思い出しながら、そんな感想を持っている。
●最近の政治は自らの恥辱の歴史を隠蔽して、平気で同じ論理で相手を追いつめる。戦前の保守二大政党制の失敗の再現としか思えない。
がれき拒否の札幌市長に「アクションを」参院委
東日本大震災で発生した震災がれきの処理を巡り、受け入れ拒否の意向を表明している札幌市の上田文雄市長の発言が、2日の参院予算委員会集中審議で取り上げられた。
細野環境相は「しっかり説明し、理解をいただきたい」と述べ、札幌市に改めて受け入れを要請する考えを示した。
道選挙区選出の長谷川岳参院議員(自民党)の質問に答えた。岩手、宮城県のがれきでも放射性物質の汚染を疑っている上田市長の発言について、長谷川議員は「非常に残念」と批判。細野環境相に対し「政令市の市長がどういう発言をしているのか、もっと敏感に考えて、札幌市長に何らかのアクションを起こすべきだ」と迫った。
政府は既に、被災3県などを除く35道府県と札幌市を含む10政令市に文書で受け入れを要請し、今月6日までの回答を求めている。細野環境相は「札幌市長がどういう発言をしたのか確認する」とした上で「私どもの考えと違うようであれば、しっかり説明し、理解をいただきたいと思う」と応じた。
(2012年4月3日07時31分 読売新聞)
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