2/17 大阪市役所の密告奨励は共産主義と同じ道
大阪市の橋下市長が、市職員に組合活動に関する調査票を求め、昨日まで回答を求めている。
調査票の複写を入手したが、個々の職員が自ら携わった政治活動に関しての報告に留まらず、その勧誘者、果ては組合活動やその勧誘者、勧誘場所まで詳細に調査し、誰がどのように組合に勧誘したかまで報告させている。
これは明らかに日本国憲法の結社の自由に反する人権問題だ。また、労働法のなかでいえば、誰がどのように組合を組織しているのかは労働組合の自由裁量の問題であり、不当労働行為に抵触する可能性が高い。
何より、これは自由と民主主義を基本においた社会にあるまじき、密告の奨励である。
密告はベルリンの壁崩壊前の共産圏では日常的に行われ奨励されてきた。こうした醜悪な政治体制に終止符が打たれ、そのことの反省として共産主義を超えて一切の社会主義をバカにし批判してきたここ20年の日本の世論。その行き着いたところが、この社会でこのようなことを行う政治家に、たくさんのエールが送られ、小沢一郎も、河村たかしも、渡辺喜美も、石原慎太郎も、民主党の若手議員も、自民党の自治体議員も、政治家志望の若者もみんな恭順したがり、自由と民主主義の価値が崩壊する一歩が踏み始められた現状を見るに、末恐ろしいものを感じざるを得ない。
●橋下大阪市長は、違法性があれば撤回するなどと言っているらしいが、撤回したところで、こうやって人が人を売るようなことを、一つのソサエティの中で1回でも強要すると、そのソサエティは以後30年は人間不信が蔓延して、本当の話は誰もしなくなり、組織としての成長が阻まれる。そういうことは、中国の文化大革命の後遺症や、ソ連のスターリン独裁以降の経済の崩壊、様々な事例で見ることができる。
●共産主義がなくなって自由な社会を謳歌して20年にして、違う意見、違う立場の人がいるという大前提を忘れ、正しいことは反対する人がいないという議論の仕方があまりにも増えてきているといろいろな場面で実感する。だから社会合意が喪失し、自分の意見と違う人は利権の手先か抵抗勢力としかとらえられないのだろう。
●終戦直後のアメリカで吹き荒れた思想統制・赤狩り「マッカーシズム」というのもこんな手口で行われた。
●あと15年もして社会がおかしくなったら゜、あいつの家には社会民主主義の本がたくさんある、などと密告されて、加藤シヅエさんが先の大戦でそうであったように、我が子たちは命を失うような場所に真っ先につれて行かれるのだろうか。
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コメント
皆さん、今晩は。
橋下徹は、法の支配と労働者の人権を蔑ろにする、ブラック企業の経営者そのものです。公務員の待遇を論じる以前の問題です。
もっとはっきり言えば、密告を奨励するような輩には、公務員の待遇を論じる資格も弁護士の地位にある資格もありません。
また、橋下を旧共産圏の指導者やナチスに例える人が多くいますが、甘いと思います。共産主義者は独裁の代償として国民の生活の安定を、ナチスは経済成長と国民の生活の向上をもたらしました。
しかし、橋下は、独裁の代償に何の見返りを与えるつもりもないようです。
はっきり言って、橋下は旧共産圏の指導者やナチスよりも下です。
投稿: 国道134号鎌倉 | 2012.02.18 22:11