1/26 志木市民病院について結論がまとまっていく
志木市民病院の小児科休止に関して、一定の結論がまとまったようです。
和光市の菅野病院に小児科を開設し、そこへ現在の志木市民病院の医師3人が転籍することを前提に、菅野病院の小児科の本格稼働までは、現状のまま4月以降も暫定的に残るということになったようです。
以下転載した東京新聞の記事がおおむねこれまでの経緯含めて状況が端的にまとめられていると思います。
●地域の医療資源は誰が責任を持って考えるべきなのか、考えさせられた事件でした。たまたま撤退するのが公立病院だったので、5市1町の首長、医療政策担当者、医師会などが動いたこともあって事態の収拾を図れましたが、これが純粋な民営病院だったときに、撤退の善後策に周辺市として関わり対応することはできたのか、という問題があります。
医療は公共の資源です。みんなで大事にするというモラルの面での努力も当然ですが、一方で、医療崩壊のようなモラルだけではどうしようもない状況のときに誰が何ができるようになっているのか、改めて考えていきたいと思います。
●お金を積まれても病院の小児科医の確保は難しいという状況のもと、小児科を壊す引き金を引くというのはほんとうに危険な賭だったと総括すべきです。
子どもに関する医療を維持していく上で、あまりにもどうしようもない問題が多いことを思い知らされました。その一つの背景には、結婚して医師を続けられない人が小児科の医師にあまりにも多いということで、男性小児科医の確保と、小児科医に多い女性医師が働き続けることに対するジェンダーの問題から保育所までの環境整備が不可欠だと思いました。
●朝霞市だけではこれで一つの見通しが立って良かった、という話で終わりそうですが、実は朝霞市の小児救急搬送で少なくない搬送先である日大光が丘病院の経営移譲問題があまりにもひどい状況で展開し、大きな問題になっています。この4月から小児科を持つ大病院に、フリーアクセスで利用することは慎重にしないと、ほんとうに崩壊していくように思います。
あまり脅かすようなことを書きたくありませんが、池袋からこのあたりにかけての小児科医療を心配する小児科医4人による声明が発表されています。
東京都北西部と埼玉県南西部の小児医療を守るための小児科医共同声明
●もう一つ忘れてならないのが志木市民病院の小児科休止にともなう看護士など関連で働く人たちをどうするのかということです。これはこれで大変なことのはずです。
●この問題に関して、大変だ大変だと言って情報を垂れ流しているだけのところで堂々巡りしている自分にダメだなぁと思っているところもあります。しかし、他にあまり情報も流れないことへのフォローをしたのかと思っています。また、マンパワーに関わる公共サービスを行政コストだけで語ってきたここ15年ぐらいのやり方とは少し違う次元の話もあるんだと、ご理解いただけたらと思っています。
志木市民病院問題 救急入院休止 暫定回避へ 2012年1月27日東京新聞
常勤医三人の退職で志木市立市民病院の小児科入院や夜間救急が四月から休止する可能性が出ている問題で、長沼明市長と地元の朝霞地区医師会、県などは二十六日夜、会合を開き、暫定的に三人の市民病院勤務を継続し、休止を回避することで合意した。地域医療に悪影響を与えることから歩み寄ったとみられる。 (上田融)
会合では、市民病院を退職して和光市の菅野病院に就職が決まっている常勤医三人が、同病院の小児入院の本格稼働まで勤務を継続することで合意。ただ本格稼働は早ければ今夏にも行われるという。会合後、長沼市長は「医師会や周辺自治体の協力で、四月以降も小児救急医療に対応できることになった。感謝する」と話した。
志木市民病院の小児科医療は、赤字や運営方針の違いなどから昨年八月、市長が小児科医の院長に雇用継続しない旨を通告。残り二人も退職を決めた。市が医師会と対立したこともあって常勤医確保が困難になり、市は今月十六日に休止を表明した。
だが同病院は年間一万二千人の子どもが入院し、重症の小児の手術などを行う拠点病院。地域医療への影響が避けられず、上田清司知事や周辺自治体の首長による懸念表明や存続要望が相次ぎ、市民から不安の声も多数あった。周辺自治体は同病院の赤字穴埋めのため、最大で毎年九千万円の財政支援を決めた。
こうした事態を受け、長沼市長が二十五日、医師会に三人の勤務継続を要請し、双方が大筋で合意した。
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コメント
大変貴重なブログありがとうございます。
本当に沢山思う事、考えさせられる事あるなかでも小児医療、地域医療、医療崩壊、診察を受けたくても受けれない生活や時代が近いのではないかと、心から心配しております。
投稿: みなみ | 2012.01.28 00:12