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2011.12.25

12/25 復興財源のための国家公務員の賃下げが進まないのは野田首相だけの責任か

民主党政権のマニフェストが総崩れと揶揄する報道が相次いでいる。その記事の中で公務員賃金の引き下げが先送りになったとも揶揄されていた。しかしこれは私は野田首相の責任よりも、足を引っ張った自民党にあると思っている。

震災復興財源のための国家公務員賃金の7%カットは以下のとおり話が進んだ。

①震災復興のために国家公務員の賃金引き下げを財源とする政府の方針が出た。
②しかし国家公務員賃金は労働三権の大半を制約する代わりに人事院勧告に従うこととされており、人事院勧告は民間労働者の賃金の上昇の比率にあわせて動くことになっている。この範囲を超える単年度の大幅な賃下げは人事院勧告制度の枠外、労使合意でやらざるを得ない。
③そこで政府は国家公務員の労働組合と協議し、連合系との間で震災復興財源のための賃下げに合意。合意の前提は、公務員制度改革を早急に推進し、労使関係は労使交渉にもとづく労働協約に準ずるもの(団体協約)をベースにするもの。そして今回の賃下げは労使合意によるものだから人事院勧告は実施しないという内容。
④ところが秋に入り公務員賃金改定の時期になって、自民党は人事院勧告実施しないのは憲法違反などと理屈を引っ張り出して、この処理に反発。政局化。
⑤自民党も中途半端で、震災復興のための賃下げのうち人事院勧告▲0.23%は別処理する案を持ち出す。また公務員制度改革の労使関係の部分について先送りするよう求める。
⑥参院逆転のもとで、自民党の抵抗で公務員制度改革も復興財源のための給与法改正もできないでいる

という状況で政府案も自民党案も膠着したままになっている。
しかし自民党は、労使自治を原則とし、労働協約権またはそれに準ずるものをもって労使関係を作り、賃金・労働条件を決めることを含めて、公務員制度改革をそもそもとりまとめた立場であり、人事院勧告が憲法違反という以前に、人事院勧告をもって労働三権の大半を規制している今の法律が人権侵害という価値を共有してきたはずだ。

そしてその前提を知っているからこそ、震災復興を理由にした、人事院勧告を上回る賃下げをするなら労使合意が必要ということも百も承知で、こんな抵抗をしている。

結果として、民主党政権と自民党とのチキンレースになってしまっている。国民にとっては本当どうでもよい政策でチキンレースをしていると言ってよい。そして、身を切って権利を回復しようとした公務員労組も組合員も顔が立たない、復興財源も確保できない、公務員制度改革も進まない、ないないないの展開になっている。

かつての社会党はいつも現実政党かと揶揄されてきたが、こんなしょうもない抵抗はしたことがない。自民党が政権に復帰したいのなら、もっと筋の立った首相批判をしていくべきではないかと思っている。

●グローバリゼーションに心酔している人ほど、公務員の賃金を政治的圧力で一方的に引き下げられると勘違いしている。しかしこうした方々は多くの国で公務員賃金は労使関係で決定されていることを認識していない。政治的に引き下げられるという誤解は共産国と日本だけの独特の発想である。
公務員賃金を下げたいということなら、労使の話し合いで合意していくしかない。そのためには彼らが最も忌み嫌う労働組合に交渉権を認めて、きちんと話し合っていくように制度改正すべきなのだ。

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コメント

 皆さん、今晩は。黒川さん、遅くなりましたが、朝霞市議会議員当選おめでとうございます。

>公務員賃金の引き下げが先送りになった
>私は野田首相の責任よりも、足を引っ張った自民党にあると思っている。

 この点は、私も同じ意見です。

 公務員いじめに血道をあげている人の中で、我が国の公務員に労働三権(団結権、団体交渉権、争議権)が制限されていることをきちんと理解している人はほとんどいないでしょう。特に、警察、消防及び自衛隊には、団結権(労働組合結成権)すら認められていません。
 公務員の賃金は人為人勧告を尊重して決めることは、労働三権制限の見返りといっても過言ではありません。

 「公務員も身を削れ」という名の下に、労働基本権の制限を維持したまま、経営者(ここでは政治部門)の裁量で賃下げを認めること自体が、重大な人権侵害であることを肝に銘じてほしいものです。

 そういう意味で、公務員の労働三権付与を切り離して公務員の賃下げを先行させようとした自民党(公明党、みんなの党など)の態度は厳しく批判されるべきです。

 ただ、民主党にも、公務員の労働基本権を制限したまま政治的な賃下げを要求する自民党、公明党、そしてみんなの党を、「人権無視」「労働者の敵」として悪者にするくらいのしたたかさが欲しかったと思います。

 最後に、黒川さん、議会活動をこの「きょうも歩く」にどんどん書き込んで下さい。そして、「地方議会議員はヴォランティアで十分務まる」とか言って地方議員及び地方議会をなめ切っている連中を黙らせて下さい。

投稿: 国道134号鎌倉 | 2011.12.25 21:50

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