12/26 レモンをお金に変える法
労働法教育を求めた議会質問でも、先日のブログでも、労使関係が市場にとって不可欠だということを説明しなくてはなりません。
資本主義社会に生きながらほとんど労使関係を知らないこの地域の多くの人にどうやって理解してもらうのか、と思い返したらこんな本を思い出しました(昔も紹介したような記憶があります)。
私はこの本を小学生のときに、どういうわけか赤旗を愛読していた先生に勧められて読み、赤旗の思想とは真逆のそのリアリティにものすごく感動したものです。
主人公は、夏休みにレモネードをネタに金儲けを始め、徐々に成功し、従業員を雇ったら賃金に不満で、労使交渉を申し込まれ、交渉決裂、ストライキ、ロックアウト、仲裁、労使交渉が妥結、事業再開、そしてさらに商売は繁盛し、夏休みの終わりに成功したレモネード屋を売り払い商売は大成功、めでたしめでたし、という話の絵本です。
商売をやっていくといずれ労働力の購入が不可欠で、それはそれで市場原理が働き、売り手の主体として労働者があり労働組合があり、そことの交渉が不可欠という話が、金儲けのメカニズムを教える中に必ず入っています。アメリカらしいリアリティの持ち方です。
子どもたちだけの街「ミニ●●」でも、「ギッザニア」でも私が労働組合のブースが必要だというのはこのことです。
一方、日本の起業だとか、ベンチャーだとかの世界は、まったくこうした労使関係の教育がなく、精神論とブラック企業化するような甘言ばかりです。
そして労使関係でいうと、あるのは労務対策だけで、よりによってコンプライアンスに名を借りた従業員抑圧のための手練手管を教えたりします。
| 固定リンク
コメント
労使関係というより、職業人コミュニティの中でそうした労働問題ってのを意識的に無視しているせいがあるのでは、って思うんですよね。顧客の要求のためなら労働基準法なんて遵守していられないってのが職業人コミュニティの間で蔓延していて、何か不満や要求でも言おうものなら「プロトしての自覚が足りない」とか言われてしまう。そんな中で過ごした職業人がブラック企業何鱈って非難されても、その非難が現実味を持てないってのがホントのところかも。
まぁ、こういうのは職業人ばかりかともすれば一般市民が持っているのかも知れませんけどね。濱口氏のブログ http://bit.ly/uWSK5E に「公務員は『労働者』に入っていないのです。『公僕』、すなわち『みんなのしもべ』なのです。しもべの生殺与奪の権利はご主人様が持っています」なんてコメントがついてきましたけど、これじゃブラック企業が後を絶たないのも道理って気がします。
投稿: 杉山真大 | 2011.12.27 00:25
公務員が、地方公務員法制定時のように、映画生きるの公務員のように、いわゆる「官僚」タイプの仕事しかなければ「公僕」だの「奉職」だのの概念が通用するのかも知れません。しかし自治体が清掃収集や清掃工場の業務を始めたり(~1964)、保育士が雇用されたり、給食調理員が正規職員化されたり(1970年~)、民間でもできるけども民間がやるより効率的であったり事業を推進しやすいということで公務員にしている人たちが出始めてくると、単純に「労働者でない」と言い切るようなことができないと思っています。
その矛盾を解決しようとするのが臨時・非常勤職員の大量発生なのですが、同時に職場内差別、賃金差別まで持ち込んでこんがらがっているのでしょう。また公務員バッシングする側もそうした人たちの存在を無視しているところが脳天気じゃないかと思っているところです。
投稿: 管理人 | 2011.12.28 20:36