10/8 自治体のマンション政策について助言をいただく
8日、東京都中央区のマンション管理組合交流会の会長の今井さんと意見交換をしました。
今井会長は、マンションの維持・管理を行政がアドバイスする必要性が、まちのスラム化を防止する視点から必要だということで、中央区のマンション管理組合によびかけて、自主的な交流会を作り、活動しています。
朝霞市もかつては木造2階建ての住宅が建ち並ぶまちでしたが、1995年前後から、建築基準法の改正などによってマンションが急増しました。一時は全国一マンションが販売された都市として名前があがったこともあります。
集合住宅を一時期に大量に販売したことで有名な都市は、東京都多摩市や大阪府吹田市ですが、集合住宅の陳腐化を防げなくて、結果として、築40年にして、大量の建て替えをする必要に迫られています。そのような危機感から、住民自身が集合住宅の課題を連携して取り組んでいる事例をとしてお話をお聞かせ願いました。
今井さんの問題意識は、マンション管理組合を自治体が放置しておくと、まちによってはスラム化が始まる、という危機感がありました。また、マンション住民を二級市民として扱うような自治体の体質にも疑問を呈しておられました。
マンションは、各自が勝手に建物の修繕ができるものではありません。廊下やエレベーター、駐車場などは、みんなのものですし、柱や壁も、どこかの家だけ修繕しても意味がありません。そこで管理組合を必ず設けることになっていて、建物全体を共有財産として管理することになっています。
ところがマンションという仕組み自体が歴史が浅いことや、所有者と建築業者や管理会社との情報の圧倒的な非対象性から、そうした建前はきちんと徹底されにくく、多くのマンションは、開発業者の系列会社による管理会社が指定され、修繕積立金を抑制する開発業者の販売政策で、管理組合の運営がスタートしています。ここに何の情報も与えられず、消極的な所有者だけで管理組合を運営をすると、築25年~40年、大規模修繕工事を数回経て管理組合の運営が財政的にパンクして、最低限の修繕しかできなくなってきます。ちょうどその頃、購入時、働き盛りの人たちがリタイアを始めます。
その結果、買い換えできる財力のある人がマンションを出ていき、買い換えできない人が陳腐化したマンションに残されるようなことが始まります。空き室がなかなか入居せず、所有権がわからない人たちにダンピングされながら転売されていく、これがスラム化です。買い換える人にとっても、人生に二度も住宅投資をしなければならないことや、転売するにしてもなかなかうまくいかないなどの問題も出てきます。
それが市のなかで一棟二棟なら経済問題や住宅問題としてとどまりますが、ある程度まとまった規模で起きてくると、まち全体がスラム化し、治安や住宅地としての価値が低下し、所有者の高齢化もあいまってさまざまな複雑な社会政策が必要になってきます。自治体として重い課題になってきます。
しかし、そんなこといっても私自身がそうでしたが、マンションの管理組合の運営を素人がしたがって、自治体やNPO、マンション管理組合どうしが管理組合の運営を助言したり、相談に乗る体制が必要だろう、ということで今井さんと認識が一致しました。その上で今井さんからは、地域社会にとってのマンション政策として必要なこととして、
○自治体が市内のマンション管理組合の役員を集めて、お互いに情報交換できるようにする。
○管理組合どうしで学習会等を行う。
○自治体としてマンション管理に関するノウハウを助言する体制をつくる。
○マンション住民どうしの交流を進める。とくにマンション住民の名簿を作ることは大切。管理会社しか名簿を持っていないなんて論外
○自治体にマンション住民の意見反映をする仕組みが必要。具体的には町内会政策を変えること(朝霞市は管理組合やマンション単独での自治会登録を認めていて、ここは改善が進みつつあります)
と助言をいただきました。同感するところばかりで、こうしたことを実現していく必要があると、マンション管理組合理事長とても、活動家としても思うところでした。
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