8/2 上田党の終わりのはじまり
低投票率に終わった埼玉県知事選挙をめぐって、読売新聞が飛ばしている。
埼玉知事選の投票率、全国史上最低24・89%2011年8月1日09時29分 読売新聞
衝撃24% 3期目 低投票率が影 知事と県会 主導権争い2011年8月2日 読売新聞
おもしろがってけしかける読売新聞を知事が真顔になって責任を選管や首長や教育に責任をなすりつけているようなことになっている。勇ましいことを言っている右派政治家の中にも、こういう弱さがあるのかと思って見ている。
低投票率の原因は、ベッドタウンとなってしまった埼玉県が、それに応えた政治をやっていないからではないかと思う。
政治の体質が全体的にいなかくさい。朝霞市議会で言えば、有権者に議案に対する議員や会派ごとのの賛否が公開されていない、傍聴者に議案が配られない、もちろんネットにアップされない、市の意思決定に関わっている人たちと違う意見を言うと、すぐつまらないレッテル貼りの噂を立てられる、などなど。地域社会や自治体に税金払わされているという感覚しか持てない。新しいことをやっている、もっと地方の政治より遅れている感じがしている。
投票率で言えば、国政選挙の投票率は決して低いとは言えず、東京と連続性のある話題については十分選挙に行かせる動機になっている。
朝霞地区で言えば、そのいなかくさい政治風土に上田党は迎合し強さを確保している。そのめくらましが「小泉純一郎は上田清司と同じ選挙区になりたくない」など上田党が自ら流す、選挙不倒伝説である。
※こうした伝説は本当にそうなのか検証が必要。上田・上田党は選挙に強いが、2005年総選挙で上田党は小選挙区で負けたから、小選挙区で小泉旋風に勝てた横路、小沢、菅、枝野などに比べて強いわけではない。
新住民には民主党のような、古くない顔をしながら、地域社会では最も古い体質の人にどっぷり漬かって政治を行う、上田党の存在が朝霞地区の政治の閉塞感である。
この読売の一連の記事を見る限り、もう改革派としての上田党の顔はなくなったと思ってよい。上田氏のカリスマみたいなものに無条件で恭順の意を表していたこのあたりの自治体議員にとって、ここから4年間は、実力をためされるのではないかと思っている。
埼玉知事選の投票率、全国史上最低24・89%
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埼玉県知事選の投票率は、全国の知事選史上最低の24・89%だった。
これまで最も低かった1981年・千葉県知事選の25・38%より0・5ポイント近く落ち込んだ。何が起きたのか。
◆目標下回る◆
埼玉県知事選の投票率は、1990年代に32~33%台まで下がった。土屋義彦・前知事が3選を果たした2000年は59・19%に上がったものの、上田氏が初当選した03年は35・80%、前回07年は27・67%と落ち込み、今回も低落に歯止めが掛からなかった。
県政2期8年への「信任投票」と位置づけ、当選を確実視した上田陣営が目標としたのは、前回獲得した109万票を上回る130万票。3期目での引退を明言する上田氏の求心力低下を防ぐには、圧倒的な得票が必要と考えたためだ。陣営は「敵は投票率だ」と強調した。しかし結果は約119万票だった。
◆盛り上がらない◆
「今回の選挙は眠っている」。街頭演説の様子を眺めながら、そう嘆いたのは、上田氏の選挙を長年支援してきた参謀だ。選挙中、表情は曇ったままだった。
上田氏が実績を示すパネルを使って演説に工夫を凝らしても、足を止める有権者はまばら。「前回と比べ、握手を求める人数もかなり減った」。陣営が危機感を募らせるほど、選挙戦は盛り上がりを欠いた。
民主、自民、公明各党の与野党相乗りがまず、有権者の関心をそいだ原因だろう。投票率27・14%の05年・広島県知事選、28・09%の96年・栃木県知事選も、相乗り候補が共産党候補と戦う構図だった。
国政問題に取り組もうと力を入れる現職と、地域や生活の変化に直面する有権者との関心のすれ違いも無視できない。上田氏の目玉政策の一つは、グローバリズムに対応するためアジアに進出する企業育成策「埼玉・アジアプロジェクト」。こうした政策が、選挙戦の争点になることはなかった。地元経済界の関係者からは不満の声が漏れていた。「福祉施策で高齢者に安心感を与え、内需を伸ばす方が先なのに」
◆求心力低下◆
各党には上田氏支援に力が入らなかった事情がある。世論受けするプロジェクトにこだわる上田氏に対しては、「国政復帰を視野に入れている」との見方が広がった。仮に上田氏が知事選で圧倒的な得票に成功し、2013年に任期満了を迎える衆院選に出馬すれば、各党にとって手ごわいライバルとなる。
自民党県連幹部はこう予言した。「次がない知事なんて求心力は低下する。当選した日から4年後の『ポスト上田』探しが始まる」
(2011年8月1日09時29分 読売新聞)
衝撃24% 3期目 低投票率が影 知事と県会 主導権争い
知事選から一夜明けた1日、上田知事は3期目に向けて始動した。全国の知事選史上最低の24・89%となった低投票率の衝撃が波紋を広げ、県議会との主導権争いもさっそく始まった。
選挙について振り返る上田知事(1日午後、県庁で) 上田知事はこの日の朝、部長を集めた庁議の冒頭、放射性物質検査の広報態勢について一喝。「県の取り組みが伝わっていない。情報をぱっと出せるような工夫が必要」と改善を指示した。選挙中、有権者から苦言が寄せられたという。
知事はその後、1時間かけて、選挙戦で支援を受けた自民、民主、公明3党の県連・県本部と、共産党を除く県議会の各会派控室を回った。しかし、県議会の自民、民主、公明3党などの主要会派で作る「議会のあり方研究会」はこの日、予算編成の裏付けとなる5か年計画について、知事に対抗し、議会として独自に策定する方向で議論を本格化させた。現行計画は今年度で期限が切れ、県は年度内の策定を目指している。
県議会が強気に出る背景には、「有権者の8割が『上田』と書いていないのに、信任されたと言えるのか」という見方がある。自民党県議団の奥ノ木信夫団長は記者団に「知事1人で全700万県民の声を聞けるわけではない。県民に一番近い県議が民意を反映する役目がある」と述べた。
午後2時から記者会見に臨んだ知事は、低投票率について「政策で投票率が上がるというのは、大きな間違い。選挙啓発の限界が来ている」とし、自分とは無関係との考えを強調した。
任期途中での国政復帰の可能性について質問されると、「ダメですよ、そんなことを言っているようじゃ。就任したばかりに、そういう質問なんてしないでください」といらだちを隠さなかった。ただし、「結構、人気があるんです、国会でね」とも語り、国政復帰に含みを持たせた。
■知事「得票率85%。政策は浸透」
低投票率をめぐる上田知事の記者会見での主な発言は次の通り。
――史上最低の投票率になったが
非常に残念だった。年々、低投票率になっているのは動かしがたい事実。なにか特別な事件でもない限り、上がらない。選挙啓発の限界が来ている。(選挙結果の)勝ちが読めると、低投票率を誘うような、矛盾ではないが、皮肉が出てくる。
高齢者に優しい仕組みなど、投票行為について、国が費用をかけて研究すべきだ。高校生の政治教育も今後、検討課題に入ってくる。教育現場は政治に踏み込まないきらいもあるが、政治が世の中を変える部分を教育の場でやっていくことが必要だ。
――外的な要因を指摘されるが、政策が伝わっていないとか、有権者のニーズにマッチしていたのか、という面はないか
十分浸透したから、85%近いシェア(得票率)があるんじゃないですか。ただ、低投票率の流れを突破できなかった。国政の乱れを言う人もいる。対立候補が、高まいな理想と政策を掲げた推薦政党を持ちながら、時流に乗る話しかせず、対立軸ができなかった。
とにかく、ビジョンや政策で投票率が上がる、というのは大きな間違いだ。(争点が)郵政改革などの単一テーマで、おもしろおかしい劇場型の方が投票率が上がるが、それはむしろ問題だ。
(2011年8月2日 読売新聞)
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