« 8/17 老後の資金 | トップページ | 8/21 全国介護保険推進サミットが臼杵市で »

2011.08.21

8/21 金融の量的緩和、日銀国債買いオペで円高は是正できない

読売新聞は「官邸ひっそり」という部分を書きたいのではないかと思うが、

超円高、与野党から対策求める声…官邸ひっそり

官邸ひっそり、とかそういう観点でばかり記事を書いてきたセンスが、今日的な政局を読んだんだろうと思う。思想も基本となる視点もなく、政治家の箸の上げ下ろしの作法が気に入る気に入らないというレベルでプロが政治を語ってきたことが弊害になっている。

表題への文句はこれまでしにて、円高が問題だという政治家の姿勢は大切だと思う。
しかしそのご披露されているアイディアが、金融緩和、量的緩和、日銀国債買いオペなど、なんだか毎度毎度の金融政策で、これらを打ち上げられているが、これら政策で円高が是正されるとは思えない。市中に円をだぶつかさせても、それがドル買い円売りになっていく道筋がない。単に円が余るだろうという希望的観測を言っているにすぎない。

市中に円をだぶつかせても、こんなに景気に不安定感のある今、流動性プレミアムがあり、現金保有願望が強い状態があれば、流通させた通貨は使用されずに現金保有で退蔵されるか投機の世界で消費や投資にまわらず現金でぐるぐる回るだけ。その結果、再びデフレ圧力となって景気を悪化させる。景気が悪化すれば輸出産業は余計に外需頼みとなるから、円がドルに交換されなくなる。したがって、円高対策にはならない。
デフレにしても、円高にしても、従来型のマネタリストの政策は行き詰まっている。何度も何度も似たようなことを繰り返して、全然世の中良くなった感じがしていない。彼らは34年前のスタグフレーションばかり問題にして、政策選択をいつも限定するが、彼らの処方箋で繰り返し引き起こされる円高とデフレの合併症の方が傷跡が深い。

円高の是正は、確実にドルを円に交換させることのはず。そのためには内需拡大が必要。何より雇用を作り、その雇用を安定させ、消費性向が100%を超えるワーキングプアを解消して、国内消費を高めていくべきだろう。その結果、日本国内の生産力が国内消費にまわり、海外製品の購入に回り、ドルから円への交換が減らしていくことが必要ではないか。

ただ財政支出を増やせということではない。流動性プレミアムに着目する以上、社会が必要とする変化のための費用で、確実に雇用を創出し、現金保有し崇み続けている人が現金を退蔵させないものであるべきだろうと思う。

震災復興、税と社会保障の一体改革、自然エネルギーの国家プロジェクト規模での開発を続けていくことをまず行うべきだろう。その財源は一、二年は国債でつないだとしても、最終的には何らかの基幹税の増税でまかなわなくてはならないだろうし、その方が所得の再配分にも効果が高いだろう。

長期的には、ドル凋落は続くのだろう。アメリカは、軍事力があって世界統治する能力があるから、日本以上に官民上げての借金大国、浪費大国、エネルギー消費大国として存続し続けているのだろう。国際決済でドルを使うと安定しているから、世界の多くの人がドルを信用し、アメリカが発行する多額の国債、アメリカ社会が生み出すたくさんの借金に、さまざまな回路を経て投資をしている。国中真っ赤っかの赤字だらけなのに、世界中から現金がまわってきているから、経済力も維持できているし、破綻もしないできた。
しかしティーパーティーの台頭によって借金がまかりならんとなると、借金ができないし、軍事力も維持できない結果、ドルは信用不安におちいって、今みたいにいつまでも通貨が安定しなくなり、交換価値を失っていく。
そうなってくると貧乏人と金融業者と軍人しかいないアメリカ経済が日本の生産力を吸収できるとも思えない。
将来的には通貨取引が多角化していかざるを得ないのだろう。

超円高、与野党から対策求める声…官邸ひっそり

. 円相場が戦後最高値を更新したのを受け、与野党からは20日、早急な対策を求める声が上がった。

 しかし、首相官邸の対応は依然鈍く、菅首相や枝野官房長官はこの日、官邸に姿を見せなかった。

 北沢防衛相は、長野県飯田市で開かれた民主党県連大会で「円高ドル安は間違いなく日本経済を直撃しており、米国のみならずヨーロッパとも連携してどう対応していくかが、これからの極めて重要な政治課題だ」と強調した。

 「ポスト菅」候補の小沢鋭仁(さきひと)元環境相は20日の読売テレビの番組で、「国債を発行し、日本銀行が買い取る『買いオペ』により、現金を(市場に)流すことが有効だ」と指摘。馬淵澄夫前国土交通相も同じ番組で、量的緩和策の実施を求めた。

 一方、自民党の石破政調会長は山口市での講演で「今回はある意味で通貨戦争と呼ぶべきものだ。70円台を突破して60円台になった時、この国はどうなるのか」と述べ、政府の対応を注視する姿勢を示した。同党の小坂憲次参院幹事長もTBSの番組で「さらなる金融緩和と、協調(介入)へ向けた国際社会とのコミュニケーションを実行できるリーダーを選ばないといけない」と訴えた。

(2011年8月20日22時33分 読売新聞)

|

« 8/17 老後の資金 | トップページ | 8/21 全国介護保険推進サミットが臼杵市で »

コメント

 皆さん、今晩は。

 超円高は、実は我が国は財政危機にないということの表れでもあります。

 私は、日本銀行が日本国債を直接引き受けることで、震災復興や財政出動を行うのが、最も効果のある超円高対策であると思っています。国債の日銀直接引受が出てこないのは、私には理解できません。

 なお、増税について申し上げます。直接税の増税はともかく、消費税の税率引上げは、円高を却って進めてしまいます。もちろん、消費税の税率引上げは内需を破壊する方向に導くことになります。

投稿: 国道134号鎌倉 | 2011.08.21 20:23

認識が全然違います。日本が財政危機とまで言わなくても、もはやこれ以上国債を無尽蔵に発行することは危険です。金利が2%になっただけで、財政のうち金利の歳出が20兆円になるわけです。

円高は世界中にあふれている流動的なマネーが相対的に日本を選んでいるだけで、積極的な理由ではありません。

流動性プレミアムを理解できない人は、国債を日銀に引き受けさせればとすぐいいますが、そうしたことは洞察力のなさがなせる業です。

増税は内需を破壊するなんて証明できますか。前回の消費税増税でも、所得税の定率減税の廃止でも、全く景気には中立でした。消費税増税して景気が破局した、消費税の定率減税を廃止して景気が破局したと証明してほしいと思います。

投稿: 管理人 | 2011.08.22 00:49

 皆さん、今晩は。黒川さん、御返事有難うございます。

>金利が2%になっただけで、財政のうち金利の歳出が20兆円になるわけです。

 黒川さんは、我が国で既に発行されている国債の大半が、償還中も利率が変動する変動利付国債だと思っていらっしゃるのでしょうか。

 日本国債の中の変動利付国債の発行残高に関する資料がないのではっきりしたことは判りませんが、日本国債の大半は、償還されるまで利率が固定されている固定利付国債のはずです。

 したがって、我が国の長期金利が年2%になったところで既に発行されている国債の利率が年2%になるわけではなく、金利の歳出が年20兆円になるわけでもありません。

>増税は内需を破壊するなんて証明できますか。前回の消費税増税でも、所得税の定率減税の廃止でも、全く景気には中立でした。消費税増税して景気が破局した、消費税の定率減税を廃止して景気が破局したと証明してほしいと思います。

 以下に挙げる二つのウェブログが参考になると思います。

 「猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』」から「財務省のウソ「97年の増税は景気後退の主因ではない」を検証した」
http://ameblo.jp/akiran1969/entry-10912711828.html

 このウェブログでは、消費税の税率引き上げ直後の1997年4~6月期に、実質消費支出の大幅な落ち込みと民間在庫品の増加があったこと、及びこの時期の国内総生産の落ち込みと民間消費の落ち込みがほぼ一致することを明らかにしています。

 「Wave of sound の研究日誌」から「1997年前後の景気後退の原因と消費税率アップの影響について」
http://waveofsound.air-nifty.com/blog/2010/04/1997-bcae.html

 二つ目のウェブログによれば、1997年には13兆円の負担増という緊縮財政が実行され、内消費税の税率引上げは5兆円に上りました。内需への悪影響の内消費税は約4割を占めるといったところでしょう。

 どちらもやや難しい論文ですが、御一読願います。

投稿: 国道134号鎌倉 | 2011.09.02 00:31

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 8/17 老後の資金 | トップページ | 8/21 全国介護保険推進サミットが臼杵市で »