8/13 市議会の議員報酬のあり方
朝霞市の市議会会派、市民ネットの機関紙「市議会レポート」が届く。
最後のところで田辺元市議が「気になる議会の萎縮・自主規制」という記事を書いている。市議への報酬等が税金のムダ使いとして、効果も少ないのに刈り込まれることは、行政権への議会の力を萎縮させるのではないか、という論である。また市役所職員の給与より、朝霞市の議員の給与は37.5万と低く、さらに一時金は職員より相当低く、年収も月収も市の係長以下の水準だという指摘も重要だと思う。東京23区の区議や、さいたま市、川越市などの市議、同規模の自治体の市議に比べても相当見劣りする水準である。
私もこの点は同感である。
さらに付け加えるなら、こうした報酬の抑制は、議員の給与が議会の萎縮になるかどうかはわからないが、少なくとも朝霞市議会に優秀な人材がやって来にくい理由になっているだろう。市民の大半はベッドタウン住民で、正規雇用であれば、市議会議員になるのはリスクでしかない。土地をもっていたり、議会中に他人に仕事をさせることができる経営者層、宗教団体の団結力を母体にした政党、イデオロギーによる使命感だけの政党しか議員を送り出してこない。
サラリーマンは議会による意見反映から疎外されている。
一方考えなくてはならないこともある。
議会開会日数が年間90日しかなく、そこそこの稼働日数なのに市職員と同列の報酬を払うべきか、という疑問が市民からわきおこる。私のように多少議員活動を知っている者からしても、これに定例議会外の臨時議会や全員協議会の出席、議会運営委員会などの期間外の会議、市民相談の対応、質問調整などさまざまな業務があるにしてもやはり勤務日数220日の市職員よりは拘束時間が少ない。
そうした単純な比較を打ち返すだけの議会の役割や仕事の質が問われると思う。三重県議会のように議会開会を通年として、拘束日数を県職員と同一にした議会もあるし、議会の休会中に、議会として議会の審議状況の説明会を開いている議会もある。地域社会で民主主義をさらに機能させる改革が必要だろう。
また記事では、費用弁償は低い報酬のもとでもらったって過大な支給ではない、と田辺氏は言っているが、この部分については、私には違和感がある。もらいすぎとかそういう話ではなくて、不透明な報酬というものはどうなのかという疑問があるし、地方公務員法で同じ条で雇用されている3条3項3号雇用の非常勤職員には、つい最近まで交通費すら支給してはならない、などというとんでもない法解釈が横行していて、高くもない本給しかもらわずに市役所の専門的な業務を行っている。そういうところのバランスからもどうかと思う。
私は費用弁償については本給に乗せて透明性の高い報酬にすべきではないかと思う。
もし、議会の開会日数に比例させたいのであれば、本給・費用弁償をすべてがらがらぽんして、すべて日当扱いにした方がいい。
まぁ好き嫌いではいろいろある田辺氏だが、今回の記事については、良質な人材の朝霞市議へのリクルートに苦しんでいる私の経験からしても、大切なこと言ってくれたと思う。
なお、議員の報酬と行政権との力関係を書いた論文なのに、萎縮とか自主規制とか、抽象言語でタイトルが付けられていることが、訴求力のない記事にしてしまって、残念だと思う。
●国の地方自治制度調査会で、議員の報酬について、「公選職」という概念を持ちだして定義しなおしている。「一般職」としての職員の給与、市民の労働力をパーツ的に利用する「特別職」としての報酬と一線を画する本質がある、というのがその理由である。
日本のように官民上げて政治活動がうさんくさく扱われ、十分な寄附が行われない社会のなかで、議員には報酬を出さないと、地主と専業主婦しか議員にならなくなってしまうだろう。
| 固定リンク
コメント