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2011.07.29

7/29 パンドラの箱

復興計画がようやくまとまったものの、財源については民主党の困った議員たちの圧力で骨抜きにされた。結局復興計画については、財源の見通しが立たないまま国や自治体の借金を増やすだけのものになりそうだ。

鳩山側近の松野頼久議員は、景気がこういうときに増税するのか、と批判していたが、本当にそうだろうか。増税は景気に中立である。お金のない人により配分されるのであれば、むしろ消費性向が高い層に配分されるため景気にはプラスに働く。被災地の復興で、建物を建てたり、道路を直したり、堤防を作り直したり、港湾を整備したり、福祉施設や病院を再建することは、まさに仕事もお金もない地域に、お金を配分し仕事を創出することになる。作られたものは他の地域の公共事業と違い、その地域にとって役に立ち、生産力を向上させる効果も持つ。むしろ松野氏のような大金持ちが増税を嫌って溜め込んでしまったり、ファンドに投資してしまうことの方が景気にはマイナスである。

ではそんなに過大な負担なのだろうか。今回提言にあったのは法人税と所得税が掲げられていた。それぞれ1割増程度の増税を10年程度続けるという内容。年収600万円程度の人で、年25万円程度の所得税だから、月2000円程度の増税でしかない。毎月2000円の1年後払いのカンパをすることがどうして景気を悪化させるのかわからない。首都圏であれば飲み代の1回分にもならない。

●繰り返し書くが、菅が居座っているから政局が安定しないのではない。参院のねじれがある以上そもそも政局は安定しないし、決定権のある与党の中が、国債償還を除く支出70兆円と、国債発行以外の収入40兆円の差額と向き合うことをしないで、先進国にふさわしい教育や福祉を形成していくビジョンが描けないでいる限り、いつまでたってもこの国の政治には生産的な議論は展開できないし、チキンレースが繰り返される。それでも三角大福江田三郎に値するような政治家がいれば何とかかんとかまとめられるかも知れないが、今の政治家は政治資金規正法と公職選挙法の重箱の隅を突く世界で生き残れた小人物ばかり。クラスメートの校則違反を指摘するのが趣味の学級委員みたいなのばかりだから、政局が安定するわけがない。

●しかし、民主党の党内事情を見ていると、もう終わったな、と感じざるを得ない。
民主党の大多数の議員が熱望している菅首相の退陣の後、いったい誰がまとめるのか、全然見えてこない。少なくとも小沢直系と仙谷・前原連合軍のどちらか主導権を握っても、分裂は避けられないだろう。社会保障と税の一体改革の賛否など、これからの日本社会の変化をどうとらえるか基本的な価値観が問われているのだと思う。

●民主党内では最も無難な鳩山氏が主導権を握れば分裂は避けられるが、あの通り信念のない人がリーダーになれば自民党からはつっこみどころ満載で党はしどろもどろ、支持率は1割を下回るところまで激しく低下するだろう。そしてまた引きずりおろし劇の始まり。だいたい辞めるとすぐ口走るような人が党首をやるべきではない。

●名前があがる馬淵氏が出ても、原口氏が出ても、増税反対という恐ろしく単細胞な主張をする一年生議員の支持を得るために、無理な政策を掲げること請け合いで、結局党首になって首相になっても、自民党や公明党に特例赤字国債法案を人質に取られて詰んでしまう。

●では自民党に政権が戻るかと言えば、今の自民党も、およそ保守政党とは思えないような、かつての社会党ですらやらないようなチキンレースを民主党に挑んでおり、そういうことでは自民党に国民が信頼を戻すとは思えない。国民が自民党に求めてきて信頼しているのは、社会を調整できる安定感。山本一太みたいな跳ね上がりは自民党の多様性の範囲であって、主流であってはいけない。自民党は、民主党を説得し、じっくり政策形成の主導権を、安定的に取り戻し、ああやっぱり自民党と思わせるようにしていくべきなのだが。

●そうなると自民党にも政権が戻らないとなれば、かなり混沌とした政局があと5年は続くことになる。そのパンドラの箱が開くのが菅退陣だと思う。代案がないのだから。こうして考えると、菅首相は、仙谷氏と小沢氏と両方を敵にすることで、微妙なバランスを形成しているんだと気づく。

●金子洋一だとか松野頼久だとか、財政問題に楽天的な政治家が跳梁跋扈した背景には、民主党結党期に、新しい公共が劇的に政府支出を減らして効率的で民主主義が進化した社会がやってくるんだ、というちちんぷい神話を、菅直人氏も含めた今の民主党指導層がまきちらした結果だと思う。しかしこうしたノリの原型は「もう日本は待ったなし」みたいな財政危機を必要以上に煽った議論から始まっていたりして、今彼らが言っていることがそもそも間違っていたと認めるべき話なのだが、過去を忘れることのできる議員と、そういう議員が何言ったか忘れて選んでしまう有権者の問題なのかなぁと思う。

●民主党の増税反対派の議員と、自民党の小泉チルドレンで、増税反対党で固まってくれると、長期的には政局が安定すると思う。戦前、日銀や郵貯に借金を押しつけ予算をありったけ毟っていった帝国陸軍、帝国海軍のようにいつかは全否定されることになろう。

●あと隠れているが、民主党の前原派や旧民社グループを中心に原発を増設し中国やベトナムに売り込もうという有力議員たちもたくさんおり、いずれはその人たちもねじれの原因を形成していくだろう。
私はこの人たちの存在は、民主党そのものの価値を失わせることになると思う。2010年3月にも書いたが、自民党だけを信じていればいいという時代を終えた契機は、チェルノブイリ原発事故を受けて広がった反原発運動にあると思っている。そのベースからおたかさんブーム、新党ブームを経て、市民運動をベースとした旧民主党結党の流れを経て、民主党を中心とした政権交代へと底流が流れている。

●サードパーティーの政党が進出するとも思えない。人材がいない。

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コメント

こんなことを申し上げるのは僭越ですが、感覚でものを言っていても、どうにもならないと思います。このエントリの内容はとくに論外では? というか、ベーシックな経済学の成果すら踏まえていないのだから、トンデモのレベルだと思います。
もうすこし勉強してから発言をしたほうが良かったのではないでしょうか。幸いなことに、インターネットでいくらでも検索、勉強できますから、わたしがなにを言っているか、すぐ分かるはずですよ。

投稿: タナカシンイチ | 2011.07.30 00:20

何をもってトンデモというのかご指摘の部分がよくわかりません。ベーシックな経済学って、どのようなお立場を示すのですか。

投稿: 管理人 | 2011.07.30 00:29

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