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2011.07.23

7/22 経団連セミナー「誰が金を払っていると思っているんだ」

日本経団連のセミナーで「誰が税金を払っていると思っているんだ」という発言があったという。

経済力を作り、税金の元となるお金を作る企画をしているのはこの国で確かに経済界であろうと思うが、高度成長期のような最適な回し方をしてこの国を豊かにしているのは日本経団連だとは、とてもじゃないが思えない。

民主党政権になってからも、何かというと法人税減税を求め、産業政策と言えば税制を複雑にする政策減税を要求しているばかりで、プライマリーバランスが崩れているという現実に、自分たちにだけ金をくれ、金をくれなきゃ怠業(海外移転)と脅かしつける。

消費税を上げなくてはこの国を維持できないと私も日本経団連の政策同様に思うが、しかし自分たちだけ、しかもそれは大手企業だけ恩恵を受けるようなかたちで減税せよというのでは、あまり納得を得られないように思う。なかには、この景気のもと、小規模、零細法人はほとんど法人税を払っていなくて、大企業ばかり法人税を払わされてたまらないという話もあるが、それは法人税を負担すべき人たちどうしの負担割合の話であって、法人税全体を減税するという乱暴なことではなく、負担のフラット化を進めるための外形標準課税の拡大など検討してからの話だろう。
一方の連合は抵抗勢力のように言われるが、少なくとも今の日本社会のおかれた状況のもとで、今は減税せよなどとは要求していない。必要なコストは払います、というスタンスに変化している。大して高給取りとも思えない国家公務員も、震災対策に追われながら、震災対策として10%の賃金カットを受けた。それも労使の話し合いの合意として受けている。

社会全体が我慢を強いられている中での経団連の上記発言である。国難は東日本大震災で決定的となったが、1998年頃から深刻になっている。背景にあるのは、各企業の合理的行動の追求による「合成の誤謬」で国内市場が収縮してしまったことにある。経営危機を理由に、リストラを繰り返し、企業だけが内部留保を蓄え投機資金が水ぶくれする一方、労働者や零細企業経営者など人にお金が渡らず、消費から発生する有効需要が圧倒的に不足しているからではないか。

そこでの今回のセミナーでの発言である。本音が出たのであろうが、産経のこの記事や関連記事、本来は民主党政権に痛烈な記事になるはずなのに、読んでみれば財界トップたちの発言が、国民世論とのずれや責任転嫁としか感じられないような発言が目立つ。二大政党が機能しない、厳しい東北、そしてグローバリゼーションのようなものの中で無産者・生活者をかえりみず金融資本に富を集中させる財界の存在、そうしたものが昭和初期にほんとうに似てきている。今は国民世論が財界を敵視するところにまで至っていないが、つまらない世論の変化でいつそこに矛先が向かっていくかわからない。そうしたことに自覚がない発言が目立つところ、非常に危険な状態だと思っている。

●話を戻して最初の、金主の言うことを聞け、という発言はこの国の企業中心の社会の体質を表しているなぁと思う。職場であれば雇用関係、家族であれば婚姻関係や親子関係を使って、金主は誰かと人を黙らせてきたように思う。しかしそれは雇用や家族の連帯が背景にあっての話であって、そうしたもの、特に雇用をめぐる連帯感が崩壊しつつある中で、ナンセンスである。さらにはワーキングプアという自己を再生産するコスト以下の賃金で働かされているような人たちが雇用労働者の3分の1にもなろうとする中で、財界だけが金主のような言い方をしたら笑われるか、国賊として敵視されるのではないか。

●70年代ぐらいまでの専業主婦なら「誰が金を」と言われたら我慢したかも知れない。80年代ぐらいの専業主婦なら「誰が金を」と言われたら「もっと稼いでこい」と言われ馬車馬のように働かされただろう。90年後半ぐらいからの既婚女性は「誰が金を」と言われたら、「あんただけが働いていると思わないでよ」と逆襲され、離婚届を突きつけられるだろう。また相手が専業主婦であればDV相談に持ち込まれるリスク大である。

●エリート層の能力不足は政界だけではない。今回のセミナーの記事を見る限り財界もそう。その他諸々の業界の指導層でもそう。企画力がなくて、人脈でエゴの押し込みしかやっていない。財界はたまたま選挙や権力闘争のようなつぶし合いがないのが政界よりましに見えるだけ。

「ポスト菅」の影響力狙う経団連 政治との距離模索2011.7.22 15:16

 経団連の夏季フォーラムは、震災や原発事故対応で迷走を続ける菅直人政権に対し、「政治との距離」が重要なテーマになった。米倉弘昌会長はこれまで、菅政権に対して繰り返し苦言を呈しているが、のれんに腕押しで政権中枢に届いていない。それどころか「経済界のエゴだ」と返され、「財界の地盤沈下」を指摘する声も上がる。こうした中で、経団連内には、政治に対する財界の影響力回復のため、「ポスト菅」への接近や政治献金の再開論も浮上している。

 22日の夏季フォーラムの討議では、「(海外進出せずに)日本に残って税金を払っているのは誰か分かっていない」「最大の障害は首相だ」などと菅政権への痛烈な非難が相次いだ。

 「今の政治はひどすぎる」(大橋光夫昭和電工相談役)との認識で一致し、「菅首相の次を見据えて政策対話を続けるべきだ」「話が通じる中堅をどうつないでいくかだ」と、現政権でなく、「ポスト菅」を狙う声が上がった。

 一方で、「経団連は自分たちの利益のために動いていると誤解されている」と、経済界の真意が伝わらないことへの努力不足を指摘する自省の弁も出た。

 米倉会長は菅首相について、「側近の意見も聞かないんだからどうしようもない」とため息をつくが、震災復興と経済活性化には、規制緩和や対外政策など政府との二人三脚が欠かせない。財界長老は「財界の最大の武器はカネ。政治献金の再々開をためらうべきではない」と語る。経団連の次の一手が注目される。(早坂礼子)

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コメント

 皆さん、今晩は。

>小規模、零細法人はほとんど法人税を払っていなくて、大企業ばかり法人税を払わされてたまらないという話もあるが、それは法人税を負担すべき人たちどうしの負担割合の話であって、法人税全体を減税するという乱暴なことではなく、負担のフラット化を進めるための外形標準課税の拡大など検討してからの話だろう。

 下請け企業から値切りまくっている大企業が、外形標準課税を拡大しろといっても、更なる中小零細企業苛めと受け止められるだけでしょうね。

>今は国民世論が財界を敵視するところにまで至っていないが、つまらない世論の変化でいつそこに矛先が向かっていくかわからない。

 本来なら小泉時代の好景気が大企業を潤すだけで一般の国民に何の恩恵ももたらさなかったことが判明した時点で、国民世論が財界を敵視するようになってもおかしくありませんでした。
 財界やマスコミが、国民世論の矛先が財界に向かわないように、公務員や派遣労働者、農民を「敵」にでっちあげたのが実態でしょう。橋下徹は財界の手法をそのままやっているだけです。

>財界はたまたま選挙や権力闘争のようなつぶし合いがないのが政界よりましに見えるだけ。

 財界は、経営者としての権力や権益が侵されなければ仲間内で仲よくやっていこうとしているだけです。相撲の親方衆と同じですよ。だから、財界には権力闘争もない代わりに内部の自浄能力も働きません。
 財界の自浄能力のなさは、政界や官界よりも酷いでしょうね。

 まあ、東日本大震災以降の財界を見れば、財界に対する国民の信頼は、阪神大震災の頃と比べても確実に落ちています。今回は政府や役人に対する批判はあっても、民間、特に財界を見習えという声はほとんどありませんからね。

投稿: 国道134号鎌倉 | 2011.07.26 21:13

最近、経団連の米倉じいさんがテレビに映るたび、ムカムカしてきます。

キヤノンの御手洗さんのときは、アメリカかぶれの変人だとしか思わなかったのですが、最近の経団連は、ひどさを増したように思います。

経団連の非難記事を、うんうん頷きながら読ませていただきました。

投稿: ふくだ | 2011.08.07 20:07

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