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2011.07.01

6/30 社会保障と税の一体改革に抵抗して何になるんだ

ようやく社会保障と税の一体改革が政府案としてまとまりそう。
私は不完全なものであるとわかっていながら、従来の社会保障政策ではとらえきれない構造問題をとらえなおした考え方として画期的なものとして前向きに受け止めている。特に、従来手薄だった、貧困、若者、子育てにも福祉の光を当てようとすること、医療の再建に向かおうとすること、現物サービスを中心に社会保障を立て直そうとしていることは大きく評価したい。

景気が悪い、税金がない、支えれば自立できる人が放置されてダメになる、努力すべき人が努力できないから景気が悪い、そんな悪循環を繰り返すのをやめられることになるだろう。

ところが、この改革については消費税増税と抱き合わせとなっていて、これが政治家にはえらくおきに召さないようで、民主党内での議論が大混乱に陥っている。
私は消費税増税を忌避して、支援すべき人が支えられず、世間的には「ダメ人間」になってしまうことをこれ以上放置しておいてよいのかと思う。そういう人を放置しておいて、この社会が消費税の重税感なんて戯言を言っている感覚の方が理解できないでいる。
景気が悪いときに消費税増税なんてけしからん、という議論があるが、社会保障の充実のための消費税増税なら、それは結局現物給付なら雇用創出に直接結びつき、現金給付なら所得の再分配として機能して、結局は国民のどこかに帰ってくる。増税が富の収奪なんてとんでもない、必ず国民のどこかに返されている。したがって富の集中につながらない増税であれば、増税は景気に中立である。
さらにその上に、社会保障によって支えられた人が自立していく過程があり、将来不安からの解放から、投資先もないのに貯蓄量が異様に高くて、投資先に困って国債を買うなどということは解消されるだろう。

個々の社会保障の内容についてここでは詳細に述べないが、日本が先進国の生活水準を維持していくためにはこの一体改革は不可欠な内容である。今のままでは、介護や保育などは、サービス供給量が需要に追いつかず、私も含めてどうしても必要な人にとっては、私費負担で様々なサービスを調達している。そのことは、見えない税金を払わされていることで、それと比べると5%の消費税増税などは微々たる話で、こんなに社会を混乱させてまで止めるような話とは言えない。

●何度も書いたが、消費税増税が庶民いじめというのは、会社が完全に従業員を抱え込み、その従業員が女房子どもを食べさせることができた時代の感覚である。その感覚からすれば、消費税を払うのは主に女房子どもであり、自分がよもや政府のお世話になっているなんて感覚がないからである。
ところが1990年代後半からの社会の変化は、会社や夫が世の中全体を抱え込めなくなっていて、公的な社会サービスの不足により貧困や失業や保育や介護や医療の必要な人の課題がいつまでも解決されないことが露わになってきている。
そうなると、消費税数パーセントけちっても、公的な社会サービスが足りなくていいんだ、という開き直りが本当の庶民いじめということになる。そういうことに気づかないバカが一部の政局に溺れ中の民主党議員と、日本共産党である(※日本共産党なんか本当は頭がいいんだから、そろそろ政策転換したらいいのに。彼らが有権者から求められてきた福祉課題の多くはこの一体改革で解決されるんだから。原発政策みたいにばれないように軌道修正すればいいんじゃないの?と思う)。
消費税0.5%上げれば保育所の待機児童問題はほぼ解消できるし、1~2%上げれば生活保護財源も困らなくなるし、第2のセーフティーネットだって作るのは容易になる。介護の人材不足も、1~2%上げれば介護労働者のめざましい待遇改善が可能になり、介護の人材不足は大幅に緩和されるだろう。
そういうことにいつまでも気づかずに、選挙事務所におしかけてくる社会の世話になっていない自覚の元気な年寄り有権者だけを意識して、消費税増税は富の収奪だ、などと言って、時には竹中平蔵みたいに経済競争させておけばどこかからお金が降ってくるような経済理論や、日銀に国債を無尽蔵に押しつければインフレがおきて経済成長するなどというような珍奇な経済理論を引き出して、政局ゲームやっているような人間たちが、社会の意思決定の場で、主体性はなくても邪魔する力をもってのさばっていることが問題なのではないかと思っている。彼らの存在は確実に国力を低下させている。
政治の責任ある立場にいる人がそうした珍奇な議論に酔いしれていることは、国民を見殺しにしていることに近いのではないかと思う。

●知人から社会保障と税の一体改革についての民主党内の議論について聞かせていただいた。増税反対でこの改革を葬り去ろうというのは、何の信念もない主張しかしていないようにしか見えなかった。
政権交代が起きたのは、反貧困運動によって、小泉構造改革の問題点が限界にきていることが明らかになったからであろう。民主党はその時点で、少なくとも社会保障や雇用政策に起因する問題について解決することが社会的責務となったのではないか。しかし、民主党内の議論は何だと思う。一方で少数だがきちんとした議論をした政治家がいたこともわかり、しかもかつて自分が応援に何度も行った議員でもあったと知り、救われた思いがしている。

●消費税の忌避論というのは、ほんとうにおたかさんブームの影と言える。

●この改革が前に進むかどうか、自民党次第という心もとない状況にある。民主党議員が好き勝手なことやっているのは、そうしたことで社会保障と税の一体改革が頓挫したときに責任をなすりつける相手がいるからなのだろう。

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コメント

初めてコメントを失礼します。
従来高齢者中心だった福祉を教育や育児にも視野を広げたことは評価できますが、与謝野馨氏が中心になったことは複雑な思いです。昨年湯浅誠さんのイベントに出席するなど自民党時代とは一線を画した点もありますが、複数税率について後ろ向きな態度は結果的に負担増と福祉の向上を遅らせているようように思います。インボイスの導入などの試算や外国との比較は財務省ですぐに出来るはずなのに不可解です。

更には消費税の導入と税率の引き上げごとに所得税と相続税を下げてきた反省も薄く、増税を否定しないものの税率を明示した消費税に比べて意欲が低く見えてきます。また公明党は良いとしても子供手当てと高校無償化の廃止を求める自民党に協力を求めるのは納得がいきません。2013年までの衆議院任期中は所得税と相続税に狙いを絞り民主・社民・共産・公明で協力してもらいたいし、消費税を複数税率化すれば共産党にとっても大金星のはずですがこのままでは叶わぬ夢に終わります。

とはいえ政府の再分配機能が弱すぎる現在では、景気対策や金融政策を打っても効かないでしょうから今回の改革には大きな意味があるとおもいます。

投稿: RASEN | 2011.07.01 12:33

流通業のシステム部門で働いた経験から私は、ヒューマニズムだけでの複数税率制には強く反対しています。民間に徴税コストがあまりにもかかりすぎるからです。年商500億円の会社で、複数税率への対応するシステム開発が負荷でしたし、商品ごとに端数処理してしまうため、総額に対する消費税と、伝票で計算した消費税の差額についてお客様の税転嫁ができなくなるので、その差額を持ち出さなくてはなりませんでした。
こうした流通業者は、低利潤、低賃金、長時間労働に支えられており、さらに中小零細事業者はほんとうにきつい状況になるのではないかと思っています。
結果としてインボイス方式は導入できなくなると見ています。
権丈先生の論では、日本の場合、エンゲル係数が所得と大きく逆比例するとは言い切れないので、少なくとも1割程度の消費税だけで逆進性云々するのは議論の誇張とも思っています。
所得の再配分をしたいのであれば、徴税で複雑な調整を入れるのではなくて、社会保障給付としていくか、所得税の基礎控除枠を大胆に拡大して、戻し税の考え方を加えて、低所得者に取った消費税を返すような結果となる制度にしていくことが効率的です。

二番目段落については複数税率以外は全て同意です。消費税もやるなら、所得税もですし、高校卒業でなければ就職の選択肢が限られる今において、高校無償化を政策取引に使うなど理解できません。

三番目の段落が重要です。景気対策や金融対策が有効性を持つためには、就労や社会参加を軸とした再配分機能の強化が不可欠ということです。

投稿: 管理人 | 2011.07.02 08:54

黒川さん、返信ありがとうございます。
企業の実態は知らないのですが消費税の税率が高い国の多くは還付ではなく複数税率を採用していますし、私は20代後半なので物心つく前ですが、かつての物品税のような形は取れないものか、日欧で企業の何が違うのか気になります。もし黒川さんの言われるとおり複数税率が困難ならば、控除の拡大よりも国民健康保険や国民年金の保険料を引き下げて、所得の低い人も扶養家族になることなく責任を果たせる制度に変える方がベターではないかと思います。(願望が入ってますが)

所得税に関しては同意をいただけて嬉しいです。追記すると増税は富裕層だけでなく1000万近い年収のある人にも必要ではないでしょうか。公務員と大企業の社員に甘いという民主党への批判に対しては、雇用の流動化よりも官民の区別なくエリートサラリーマンとも呼べる層の負担を増やすことで応えるべきだと考えます。

投稿: RASEN | 2011.07.03 01:47

複数税率の実施はできないことはありません。ただしその過渡期に、システム開発・購入コスト(ちなみに元いた会社でその開発コストは7桁台中盤の金額になりました)で中小零細の小売業者が大幅に淘汰される可能性があると見ています。高齢社会や郊外型スーパー依存社会の限界が見えている今、中小零細の小売業者を淘汰する政策は採らない方がいいと思っています。

控除ですが、基礎控除と名指ししてしまったのが良くなかったみたいですね。所得税の計算のどの段階で戻し税を差し挟むかによって、他の諸制度のコスト負担が変わってきますのでその中で選んでいったらいいのでしよう。最も正確な貧富の差というのは、何だかんだ言っても所得税課税申告より優れて把握できるものはないので、消費税の逆進性の解消のための取りすぎの部分を戻すやり方については、所得税で返すといのうが最も妥当だと思っているからです。

所得税での集中した増税について、理解しつつも判断は微妙なところです。
というのも配偶者控除や、自営業の青色申告制度で同じ年収でも実際の収入が全然違う結果になる現実があります。年収いくら以上は増税と言ったときに明らかな富裕層の下からは富裕層と断定するのは難しい問題が絡んできます。むしろ社会コストの積み上げをして税率に反映する作風を定着させることで納得性のある税制にしていくことが大事だと思います。

景気に左右されない財源としては消費税が優れていて、社会保障財源には消費税が向いていると思いますし、今回の震災復興のような使途については、復興の立ち上がり方で納税額が変わる所得税が優れていると思います。その使い分けとベストミックスで税制は考えていくことが必要だと思っています。

投稿: 管理人 | 2011.07.03 07:22

こんにちは。
私は低所得者・ワーキングプア層への再配分として、給付つき税額控除を導入してほしいと考えています。
現在の税控除の多く(扶養控除・配偶者控除等)は所得控除で、高所得者ほど多額の減税になっています。これらの控除を整理統合して税額控除とし、所得税課税が少ない(orない)人へは給付になるようにしたらどうかと。
民主党のマニフェストや税制改革大綱にこの給付つき税額控除が入っていたのですが、消費税増税ばかりが注目されてこちらの話が報道されないのは残念です。

それと、共産党は「所得控除は金持ち優遇」とする見方に否定的で
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-11-17/20051117faq12_01_0.html
扶養・配偶者控除を維持したがるのが私には不思議です。もしかしたら共産党も70年代型「世帯主が妻子を養う」企業家族福祉に執着しているのか、コアな支持層が扶養・配偶者控除のメリットを多く受ける人たちなのかなあ、と思います。

投稿: kiriko | 2011.07.05 20:36

私は、現金給付は現物サービスを十分に整えてから、と思っているので、原則的には今の福祉サービスの水準の段階では、税額控除自体も反対です。

ただし、今ある不公平な現金給付や税控除の分については税額控除や手当に置き換えていくことは、よりまし政策として受け入れたいと思っています。

共産党とその支持者の税制に対する考え方は、おそろしく非科学的で驚きます。この人たち、四則演算からできないんじゃないかと思ってしまいます。

共産党が党勢をのばした1970年代というのは、専業主婦が最も増えた時代ですし、非常に保守的な価値観をもった彼女らを地域社会で組織化していったわけですから、そうした税控除に反対できないのではないかと見ています。

投稿: 管理人 | 2011.07.05 21:34

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