4/19 過去に難癖つけてどうなる事態なのか
読売のくだらない記事。
首相しどろもどろ・開き直り…初動遅れ追及され
自民党の脇という参院議員が、首相が原発事故の対応が悪いと難癖つけている。原発が冷却できないと知ってから緊急事態宣言をするまで時間がかかりすぎたというのだ。
火事で子どもを失った現場で泣いている母親に、夫が「消防署の文書にこう書いてあっただろ」となじるような光景だ。あるいは米国系保険会社が、取るにたらない健康異変を自覚していたことを探し出して、保険金を支払うのを渋る光景にも似ている。
目の前で悪い事態が進行していることに何とかしなければならないときに、こういうことで難癖つけたらきりがない。混乱状況の中での判断可能な状態か、著しく問題のある対応かどうかが問われるべきであり、
そもそものことを言えば脇氏が入党している自民党政権のもとで強引に原発が建設され、安全だ安全だと言われ続けて、危険なものとして認識せず、安全対策が万全ではなかったことが問題だ、と難癖つけることだってできる。原発事故は自民党政権のせいだ、と言ったっていい。でもそんなこと言っても何の足しにもならない。今の政府・与党は少なくともそこをぐっとこらえている。また自民党だったらそんな情報すら公開していたのかあやしい。
脇氏のような難癖を、原因のご先祖様にさかのぼってつきつけ合うことは、今の時点では全く無意味で、ただひたすらに原発事故の収拾に向けて、努力すべき人が努力するようにするしかない。
また脇氏は菅氏を首相から引きずり下ろしたいのだろうが、今引きずりおろしたらどのようなことが起きるのか。一押しの首相候補はなく、参院のねじれ状態の中で、判断の遅れどころではない、判断が不在の状態になっていくことになろう。
●こういう総会屋的な挙げ足取りしかできなくて、それを先鋭的にやれば改革派みたいな顔できてしまう日本政治の風土がダメなのだろう。多くの有権者に政治家が馬鹿にされ嫌われる理由でもある。
●メディアスクラムさえ作り出せば、首班指名権はマスコミにあるという驕りを感じる。しかし、もう朝まで生テレビ的言葉遣いで政局を作り出せるような現実社会なのだろうか。
首相しどろもどろ・開き直り…初動遅れ追及され
「十分な対応ができている」――。東日本大震災に関する18日の参院予算委員会で、菅首相は危機対応に不備はなかったと繰り返した。
震災後2回目となった首相の国会答弁では、国家の指導者として必要な認識の甘さや、初動の遅れが次々とあらわになり、首相の危機管理能力に改めて疑問符がついた。
◆続投を宣言
首相の国会答弁は、3月29日に2011年度予算を審議するため参院予算委に出席して以来、3週間ぶり。震災対応に絞って国会で質問を受けるのは初めてだ。
東京電力福島第一原子力発電所事故に関し、首相は「非常用電源がダウンしたということは、予測の甘さがあり、それが一つの原因になったことは免れない。政府も十分に事前にチェックできなかったことについてはおわび申し上げたい」と事故防止対策の甘さを認めて陳謝した。
だが、首相が低姿勢で応じたのは主に東電が対応すべきだった点に限られた。自らの対応ぶりについては「初動が不十分だったという指摘は当たらない」「国民から一定の評価はいただいている」の一点張り。たちあがれ日本の片山虎之助氏に「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれだ。復興の道筋をつけたら首相を辞めるのも選択肢の一つだ」と迫られても、「復旧・復興と財政再建を含め、(衆院議員の)任期が2年半後に来るまでに与野党共同の形が取れれば本望だ」と一蹴し、任期いっぱいの続投を宣言した。
◆しどろもどろ
強気で押した首相だが、野党議員の追及が進むにつれ、しどろもどろの答弁も目立った。
自民党の脇雅史氏は、震災当日に福島第一原発の1、2号機の緊急炉心冷却装置が使用不能になってから、政府が原子力緊急事態宣言を発令するまで2時間半かかったことを挙げ、「初動の遅れは大変な問題だ」と批判した。首相は「原子力災害対策特別措置法に基づいて、全力を挙げて行動している」と反論した。
しかし、脇氏が昨年10月に原子力安全基盤機構がまとめた「原子炉を冷却できない状態が3時間半続くと、圧力容器が破損する」との報告書を引用し、「冷却不能」との報告時にただちに宣言すべきだったとたたみかけると、首相は「ご指摘のものは読んでいない」と認めざるを得なかった。
震災前に、首相が危機管理の重要性を十分認識していなかった可能性も浮上した。
「詳しい内容は記憶していない。地震を想定したことではなかったか」。首相がこう答弁したのは、昨年10月に行われた政府の原子力総合防災訓練の内容について、脇氏がただした時だ。
この訓練のシナリオには、地震発生は含まれていなかった。それよりも、訓練の主眼は、静岡県の中部電力浜岡原発で原子炉の冷却機能が喪失し、放射性物質が放出される恐れがある――という、今回の原発事故とほぼ同じ事態を想定したものだった。この訓練に、首相自身は「本部長」として首相官邸で参加していた。
訓練後、関係省庁がまとめる評価結果が半年たっても仕上がっていないことも指摘されたが、首相は「首相は森羅万象のことに対応しないといけない。私は細かいところまで全てを承知していない」と開き直った。
(2011年4月19日11時35分 読売新聞)
| 固定リンク
コメント
いつも、濱口氏のブログとともに興味深く読ませて頂いております。
読売新聞の報道はともかく、4月18日の予算委員会の脇議員とのやりとりを実際みて、それぞれ考えたほうがよいと思います。http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
総理は、せっかく、jco事故のあとにできた原子力災害対策特別措置法に基づくマニュアルを無視して行動されたことがわかります。同情すれば、「想定外」の事態に気が動転してしまったということなのでしょうが、総理の行動がまさに「想定外」で、このような危機の際のためにせっかく考えられていた手順・体制を捨ててしまったことがわかります。脇議員は淡々と質問していますが、なぜ、逆に朝日新聞や毎日新聞がこれを報道していないのか、疑問に感じました。桜井財務副大臣の感想が話題になっていますが、彼も予算委員会に陪席して感じたところがあるんだと思います。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110420/plc11042011510014-n1.htm
アメリカの大統領選挙について、誤りを認めない方が選挙で当選の確率が高いという研究があるそうです。(「事実に基づいた経営」東洋経済)
ただ、日本の総理大臣としてそのような功利主義的な考え方で通せるのかは、いささか疑問のように思います。
投稿: yunusu2011 | 2011.04.20 13:02
分裂選挙での敗北についての指摘、同感です。
4年前、浅野―吉田の分裂選挙下でも国立では共闘できていたのですから、それをご破算にしてしまうというのは、共産党にリアリズムが欠けているとしか思えません。
投稿: 藤原正樹 | 2011.04.26 02:02
報道も一緒になって「難癖」を付けている。
普段の政局争いなら、
小さな疑問でも、重箱の隅を突いても構わないと思うけれど、正義ぶって「駄目駄目」って言っているだけでは「駄目」でしょ。
鳩山の“国外や県外”のうそをあれだけ非難してたでしょ。小澤の“4億円の説明責任”をあれだけ言っていたでしょ。同じキャスターが、党内からも指導力の無さを指摘する声がと、この二人の発言が国民の声の代表、のように熱く語っている。
谷垣もいつの間にか、政権の延命に手を貸すようなことはできないと、やはり政争の道具にしている。
被災者の一人が、菅総理に「もう帰るのかっ!」って怒鳴っているのを取り上げて、いかにも総理の対応が、遅い・被災者の気持ちを判っているのか、というように編集している。ここに出ていた被災者の方には申し訳ないが、「その言葉は貴方の感情的なわがまま」と言いたいし、メディアの編集が、単にバラエティ番組の視聴者受けになっているような気がしてならないのです。
報道という名のワイドショーになっている。
投稿: けんたい | 2011.04.26 22:54
このような緊急時に総理として取るべき基本的な手順がぜんぜん踏めていなかったことのどこが重箱の隅をつつくような細かい点なのか?総理としての基本が全くできてなかったのだから非難されて当たり前だろう。それを、重箱の隅をつつく「難癖」などというのは、それこそ「難癖」あるいは「いいがかり」のたぐいというもの。まったく、何を言ってるんだろうか?このブログの主の頭も菅首相と同程度のタコ頭だな。タコ頭がタコ頭を屁理屈こね回してかばいだてしても誰も感心してくれはしないのに。馬鹿だね。あっ、そうか、馬鹿だから何か偉いことでも言ってるつもりでこんなたわけたことを言ってるわけだ。納得。このブログ主も菅首相と同程度の自信過剰で他の人間が馬鹿に見えるタイプの人間か。なるほど。馬鹿は自分の馬鹿さかげんがわからないからどこまでも絶対に自分が正しくて他人は馬鹿と思い込める。菅首相が馬鹿のくせに超自信過剰で独善的である理由がよくわかった。
投稿: TOSHI | 2011.08.20 10:18
全然論理や反証になっていませんね。馬鹿馬鹿と言っているだけです。別に誰に感心されたいと思っているわけではありませんが、大きいことでも小さなことでも、非常事態を経験して手探りで問題にあたったことのない人は、手順だ基本だ何だって言えるわけです。
投稿: 管理人 | 2011.08.22 00:53