4/11 福島からの帰還
一週間、福島県に行ってきました。労働組合の震災復興支援のためのロジスティックを確保するためです。来週から岩手、宮城、福島の一部地域に勤務先労組の組合員が組合活動として罹災地に入り、地震からの復興のため、避難所運営からがれきの処理、ときには失われた役場機能の再建のために、支援活動を展開することになっています。
一ヶ月も経つと、震災罹災地は様々で、福島県は三陸同様の津波被害の課題を抱える地域と、地震の被害はなくても、原発事故の被災者の対応におわれている自治体とで、状況は様々でした。
福島市は新幹線含め鉄道が未開通で深刻な印象があるものの、ガソリン不足も解消、高速道路も通り、物不足は解消されていました。一方で原発事故の避難民が福島県内を西に東に移動し続け、その対応に福島県じゅうの自治体が混乱しています。また太平洋側の自治体は津波被害からの再生に苦闘している状況です。
福島の人が今一番困っていることは、原発被害への差別問題です。去年仕込んだ絶対安全の酒を福島産だからと買ってくれない、とか、いわきナンバーの自動車が給油を断られた、という事件が起きていますが、今後は結婚を断られる話が出てくるのではないかと、現地では心配している状況です。
もちろん原子力発電の恐怖、事故の脅威を軽視すべきものではありませんが、原子力災害において、安全といわれる数値がどの辺にあるかは、広島、長崎の原爆被害とJCOの被害しか、人体における被害調査はできていません。正直なところわからないのです。それもまた目に見えない微量の放射性物質が相手ですから、安全と断言することもできませんし、危険と断言することも暴力的だと言えます。
そのような中で、原子力発電への評価を、安全か、安全でないか、ということで終始することの無意味さを感じてきました。これはマンションの耐震偽装事件のときと同じです。なぜなら人体実験ができないからです。
原子力発電については、安全か安全かろわからない問題が多く、原子力の平和利用と言い始めて15年程度で開発した技術として技術的に経験が少なく、実際に事故が起きてみてこんなにやっかいなことを起こす危険性を持っています。これからも私は反対していきたいと思いました。安全か安全でないか、客観性や正確さを求める議論を展開しても無意味だと福島に行き感じたものです。
●公務員数の削減がこうしたときの支援活動の滞りにきているなぁと感じている。罹災地外の公務員を引っ張ってこようとしても、現在の仕事環境に余裕がなく、まとまった期間の支援活動に人を出せない状況になっている。また専門性のある職場をアウトソーシングしてきたため、職種も一般事務職ばかりになり、専門職や特殊技能を持った組合員が減っていると実感している。
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